伊藤さとしのプライムフィッシング。テーマは「流れ川のドボン釣り」。今回は流れ川に適したエサについて考えてみよう。
(アイキャッチ画像提供:週刊へらニュース 伊藤さとし)
ドボン釣りの弱点
ドボン釣り最大の弱点は、エサ落ちが分からないことだろう。エサがハリから抜けてしまっても、水面上に出るトップの目盛に変化が現れない。つまりややもすると、いくらでもアタリを待ってしまう。もはやハリにエサが付いていなければ待っても釣れない。これを防ぐには、自分で打ち返しのリズムを作ったり、持ちのいいエサを作るしか方法はない。
「ボクの釣友に面白い人がいてね。釣り場にタイマー(アラーム)付きの時計を持ってきてる。エサを打ったらボタンを押して、3分するとアラームが鳴る。鳴っても触りがない場合は打ち返し、触りがある時のみちょっとだけ待ってみる」
3分というのは、どこから出てきたんです?
「おそらくは、自分が使っているエサの持ち具合から判断してるんじゃないかな。通い慣れた釣り場であれば流れの強さとかが分かってるから、自分のエサがどこまで持つかおおよその判断がつく。それが、その人の場合は3分ってことなんじゃないかな」
でも3分とはずいぶんと短いですね。もし仮にウキが動かなければ、1時間に20投もエサ打ちする計算になりますよ。しかもこの真冬に?
「でもね、その人はそれでよく釣っているんだ。時には周囲を圧倒するほどにね。だからあながち、3分が短かすぎるとも言えないんじゃないかな。あとはこれはあくまで想像だけど、その人はある程度開くエサを打っているとも考えられるよね。3分持てばいい。それにはどこまで開かせられるか、ってね」
なるほど。それは確かにありますね。流れ川だからといって、消しゴムみたいなエサでは釣れる気がしませんしね。
「開く・膨らむ・バラける。これらの要素は、ヘラ釣りに関しては必須要素。それはたとえ、流れ川であっても変わりはない。ところがエサ落ち目盛が出ないドボン釣りでは、どこまで待てるかの判断がつかない。ゆえに強制的に、エサを打ち返すリズム作りが必要だってことなんだ」
簡単で便利な『凄グル』
ハリにエサが付いていなければ魚は釣れない。しかも相手は流れ川。必然的に、エサは締めた方向で作りがちになります。でもそれだけではダメってことですか?
「バラケを打たない釣りならそうなるよね。バラケがあるなら、もう片方のエサは食わせることだけに集中すればいい。でもたとえば両グルテンであれば、集魚力も兼ね備えたいよね。そこで開きのいいグルテンを使う。そうなると今度はエサ持ちが心配になるから、繊維の強いグルテンエサとのブレンドが必須になる」
つまり『アルファ21』『へらグルテンLL』などですね?
「そうだね。あとは近年よく使われている『凄グル』も使いやすいよ。何せグラフ上では『アルファ21』よりもバラケ性が弱いカテゴリーになるからね。しかも粉と水の比率が1対1でOK。これが『凄グル』最大の特徴だろうね」
粉1に対して水1でいいのなら、ブレンドしても比率が分かりやすいですね。たとえば『新べらグルテン底』とのブレンドであれば一つのカップの中で自由に粉比率を変えても、水は1のままで済みますからね。
「そういうこと。つまり何が言いたいかっていうと、自分がこれから使うエサの持ち加減を簡単に、しかも正確に変えられるってことなんだよね」
たとえば流れが速い川なら『凄グル』0・7+『新べらグルテン底』0・3に水が1。緩やかなら0・5ずつとか、ですよね?
「そういうこと。でも一つだけ考えてほしいんだけどドボン釣りって、エサは止まってるんだよね。正確に言えば、仕掛けが流されない。だから思ってる以上に、エサは持つんだ」
それは流れが速くてもってことですか?
「速い流れでも、エサは底を引きずらない。であれば、流れが緩くても底を引きずってしまうバランスの底釣りよりも、もしかしたらエサ持ちはいいかもしれない。まあ一概には言えないしケースバイケースだけど、流れが速い川であってもドボンでしっかり仕掛けを止めているなら、開きのいいエサを打ってみる価値は大いにあるよ」
なるほど。それはたしかにそうですね。
次回も「流れ川のドボン釣り」です。
<週刊へらニュース 伊藤さとし/TSURINEWS編>