今回は自分の釣行を元に、LTアジの「手返し」について解説したい。チャンスタイムを逃さず、1匹でも多くのアジをゲットするためのノウハウを紹介しよう。
(アイキャッチ画像提供:WEBライター・古谷健太)
東京湾で人気のLTアジ
LTアジはイワシミンチを用いたコマセ釣りで、良い日に当たれば、一日を通して釣れっぱしとなる可能性もあり、初心者の方にも安心して挑戦できる釣りである。
東京湾周りでLTアジに出船している船宿は数知れず存在する。しかも、その船には多くの釣り客が乗っていることから、人気のほどがうかがえる。安定した釣果が期待できること、食味が良いこと、そして突き詰めていくと意外と奥深さがあるところが人気の理由だろう。
深川吉野屋でLTアジ
11月22日、深川にある吉野屋にLTアジで乗船した。3連休のど真ん中ということもあり、満員御礼の状態で、LTアジは仕立て船を入れて全部で3隻出し。ポイントまでは約1時間の行程で、午前8時頃から実釣開始。水面からのタナ取りで10m…と船長からの指示であったが、10mより下に落としても小アジの群れ、10mより上には良型といった感じで、高さのあるアジの群れにつけたようだ。
一日を通して少し流しかえる程度で、大きなポイント移動はなし。それでいて同乗した釣り客にはポツポツとアジがアタっているように見えた。隣にいた友人も飽きない程度には釣れているようであった。
一方の私自身は、自慢のように聞こえてしまうかもしれないが、一人で一日中入食い状態。休みを取る時間もなかったという状況だった。アタリが頻発する理由については、また別の記事を用意するが、こういった入れ食い状態の時に重要なのが「手返し」である。
「手返し」の重要性
当然だが、一度に釣れてくる魚の数はハリの数を超えることはない。いくら活性が高くても、2、3本バリの仕掛けでは、2~3匹の魚が限界である。そうすると、短い時合で効率よく数を伸ばすためには、投入回数を増やす必要があり、この手返しの良さがそのまま釣果に直結することになる。
手返しを早くしたいと考えた際、最大の敵は「オマツリ」である。他の方とのオマツリだけでなく、一番厄介なのが自分の仕掛けやビシが絡む「手前マツリ」と私は考えている。
手前マツリが生じる理由は、
・投入時に仕掛けとビシが重なっている
・コマセを撒く際に糸フケを生じさせていることが原因である
などであるが、前者に関しては目で確認できるので、よく見れば回避できる。後者に関しては、コマセを撒くためにシャクった竿を海側に下げてしまうことで発生するので、「小さく鋭く」シャクった後は、「ピタッ」と竿を止めることを意識的に行うと良いだろう。
手返しが早くなる一工夫
さらに手返しが早くなるひと工夫もある。できれば動画などでお見せするのが一番ではあるが、可能な限り文章でお伝えしたい。
アジの取り込み
アジの取り込みをする時は…
・海面までビシを巻き取る
・竿を立ててビシを手に取り、コマセ桶にビシを置く
・仕掛けを手繰って船にアジを抜きあげる
という一連の動作となるが、さらっと書いたこの一連の動きは、実に理に適っている動きである。海面でビシを止めると、竿を立てた際にだいたいちょうど手元にビシがくる位置となるし、コマセ桶にビシを置くと、手を伸ばしてアジを抜き上げるのにちょうど良い高さとなる。
この動作に慣れてもらうだけでも、相当な時間短縮を図ることができると思われる。
アジの外し方
アジの外し方であるが、複数のハリを使うことが基本のLTアジで、いちいち仕掛けの全てを船に取り込んでしまうと、アジが暴れた時に仕掛けが絡んだりしてロスが生じる。
なので、上バリに魚が掛かっている場合には、上バリに近い位置を手で持ち、アジを船に取り込んだら暴れないようにアジをつかみ、仕掛けにアジの体が触れないように外そう。この時、下バリは船の外に出しっぱなしにしておけば、仕掛けがごちゃごちゃになる恐れもない。ただ、隣の方に迷惑にならないように注意である。
下バリに掛かっている場合には、腕を大きく広げて仕掛けを広く持ち、下バリのみを取り込むようにすると良いだろう。
掛かりの位置を意識
私は3本バリの仕掛けを使うことが多いが、慣れてくるとアジが3本のうちの、どのハリに食ってきているかが、アタリや魚の引きで分かるようになる。巻き上げの間にアジが掛かっているハリの位置を意識して、取り込みのイメージをしておくとスムーズだ。
なお、移動の際も取り込みの際も、ビシはコマセ桶に置くことを励行しよう。この点、あまり意識的に行っていない人をたまに見かける。仕掛けが絡むくらいなら良いが、道具が損傷したり、ケガをすることもあるので、気を付けよう。
エサ付け
LTアジの場合、多く使用されるエサは赤タンである。これは1回付ければなかなかハリから外れることがなく、持ちが良いので手返し重視の時には最適なエサである。しかし、日によっては赤タンでは食い渋る時も多い。そんな時に使用されるのがアオイソメである。私が実際に釣行した11月22日も赤タンへのアタリは少なく、一方でアオイソメへの反応は相当に高いという状況であった。
とはいってもアオイソメはちぎれたりするため、エサ持ちが良いとは言えず、またヌメリがあるためハリ付けしづらいという「手返し」というテーマと相反する性質を持っている。そこでアオイソメを使用する際は、石粉などのヌメリ止めアイテムを使用したり、時間がある時にあらかじめ適当な長さに切ってタオルなどで包んでおくと良いだろう。
各動作の速度アップ
当たり前のことを言うが、コマセを詰める時間、巻き取りの時間、コマセを撒いてからアタリを出すまでの時間のそれぞれが加速すれば、その分投入回数も増やせる。
ほんの数秒の動作でも、全ての投入で数秒ずつ短縮できれば一日全体を通せば、投入回数の増加という結果につながる。細かな作業も無駄なく動けるように、時合の間は流行の言葉でいえば「全集中」で臨もう。