12月1日から新しい漁業法が施行されました。今回は私たち釣り人は特に注意したい、「密漁」に関連した改正点などを紹介します。
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それ、密漁かも?
密漁と聞くと近隣諸国からの船が日本の排他的経済水域で行うものと思われがちですが、実はもっと身近な犯罪だということをご存じでしょうか?近年、この漁業者以外による密漁が問題になっており、12月1日から施行された新しい漁業法では罰則の強化など、対策がされています。
たとえば、釣りをしていて海中に発見したアワビやナマコ、ちょっと手を伸ばせばとれそうですが、とってしまえばそれは密漁です。家族で消費するためで、売るわけではないというのは言い訳にはなりません。
漁業者以外による密漁が増加
平成30年1月~12月における、海上保安庁、警察及び都道府県による検挙件数(都道府県調べ)を見ると、漁業関係法令違反(密漁)の検挙件数は、1569件で、近年の特徴は漁業者による違反操業が減少している一方、漁業者以外による密漁が増加傾向にあるとのことです。
これらを受け、平成30年の漁業法改正(施行は令和2年12月1日)において、大幅に罰則が強化されました。
アワビ・ナマコは採捕禁止
注目すべきは「特定水産動植物の採捕禁止違反の罪」の新設で、悪質な密漁が行われているアワビ、ナマコ、シラスウナギ(シラスウナギについては令和5年12月から適用)を特定水産動植物に指定し、その採捕を原則として禁止しています(ただし、漁業権、漁業の許可等に基づいて採捕することは可能)。
これに違反した者に対しては、3年以下の懲役又は3000万円以下の罰金が科されることになっています。3000万円という罰金額は、個人に対する罰金の最高額とのことです。漁業者、一般人を問わず、採捕する行為が禁止されますので、採捕した数量や場所にかかわらず、罰則が適用されます。
同様に「特定水産動植物の密漁品流通の罪」が新設されるほか、無許可操業等の罪、漁業権侵害の罪などの罰則を引上げ、全体として罰則が強化されました。
水産庁の取組
もちろん罰則を重くしただけではなく、水産庁では漁業者によるパトロール、監視カメラの設置等による物理的対策、取締事例や効果的な防止対策等の情報共有、密漁対策への支援、関係県との連携による密漁防止を目的とした合同取締り、水産物流通の適正化を行い、発生の防止に取り組んでいく姿勢とのことです。
特定水産動植物に指定された3種以外でも、イセエビ、タコ、サザエ、ワカメ、ウニ、サケなどは漁業権が設定されている場合がほとんどです。簡単にとれるからと手を伸ばす前に、それらに漁業権が設定されていないか、再度確認するように心がけましょう。
<中西/TSURINEWS編集部>