エステルラインといえばアジングでその名を知られた素材だ。しかし、メバリングにおいてもエステルラインが有効な場面が多々ある。そんな状況を解説したい。
(アイキャッチ画像提供:WEBライター・井上海生)
メバリングにおけるエステルライン
メバリングにおいてエステルラインの出番はあるか?答えは「イエス」である。水に対して比重の重いエステルラインは、何かと便利なラインだ。アジング「専用」と思われがちだが、メバリングにも「兼用」でき、さらに優先的に使用すべきシチュエーションもある。今回はメバリングにおいて、エステルラインが有利なシチュエーションを紹介したい。
利点
メバリングのメインラインの主候補は、PEラインか、フロロカーボンラインだ。エステルラインは後回しにされがちだが、便利な面が多いし、個人的に私はかなり好きなライン素材でもある。
エステルラインの特徴は、まず、水に対する比重がおよそ1.48と重い。これに対し、PEラインは0.98程度。比べると明らかに、エステルラインは「水なじみが良い」。感覚的に言うと、すっと水に入っていく。特に軽量リグを使った際にその使用感が顕著だ。
欠点
ただし欠点もある。それは、号数に対する張力限界が弱いこと。0.3号でも、1.4lb程度しかない。リーダーとの結束でさらに若干落ちるので、実質、500g程度の魚しか垂直に持ち上げることができない。つまり、メバリングに使用するにしても、抜き上げが難しい個体もいる。さらに、素材の、ライン同士が「ひっつきやすい」性質上、バックラッシュが多くなる。これは練習して減らすしかない。
ただ、この張力の弱さについては、ドラグの設定で大部分が補える。簡単に言うと、ゆるゆるに設定しておけば、ラインがずるずる滑って出ていくので、ほとんど魚の引きで切れることはない。筆者も現にエステルラインでチヌやシーバスなどの大型ゲストを相当数取っている。
感覚的に、8割は取れる。現にメバリングをしていると、大型ゲスト襲来はよくある。特にこの手の魚影が濃い湾奥エリアでは、ドラグは緩めの設定にしておこう。
強風下での有利な点
強風下でのメバリングでは、エステルラインが活躍する。水なじみの良いエステルラインだと、強風時でもレンジキープの釣り、リトリーブの釣りがしやすい。風の感覚に慣れれば、あえてその風を利用して1g程度という少し重めのジグヘッドを使い、ナチュラルに表層ドリフト(リグの漂わせ)をする…、という技もエステルラインならばできる。
PEラインと比べて強風時の釣りの違いは顕著だ。比重の軽いPEラインの先についているリグは、強風時は海面から出ているラインが吹き上げられるままに、簡単に浮いてしまう。
ただ、実は「強風の吹き上げ」に関するラインの弱点は、PEラインもエステルラインも、そこまでかわらない。同じように吹き上げられるのだ。ただ、水中での水なじみがよいエステルラインの方が、リグを海中に定位させやすいという強みがある。また、ロッドティップを下げて操作することで、エステルの場合、吹き上げそのものもかなり低減できる。
アジの混泳時に出番
メバリングをしていてよくあるのが、ずっと波止際を狙っていたのが、ちょっと気分をかえて前に投げた時に、アジがヒットするというものだ。つまり、ある一定の範囲に、メバルとアジが混泳している時は、エステルラインの出番である。
特に常夜灯の明暗打ちでは、「明」に打てばアジ、「暗」に打てばメバル、というパターンがよくある。最初から常夜灯エリアにエントリーするつもりならば、エステルラインを準備していくことをオススメする。
ご存知のようにアジは非常に繊細なバイトを出す魚で、比重の軽いPEラインが水中で弛んだ状態だと、フッキングしない。無理にアワせようとすると、糸鳴りが海中に響き、せっかくのアジの群れをスレさせてしまうという、残念なこともありえる。
海中でラインが一直線に近くなるエステルラインならば、ナチュラルにアジの口に合わせられるので、メバリングメインでも、アジが混泳している時はエステルラインを使おう。