『太平洋クロマグロ』漁獲枠拡大は見送り マグロの価格は上がるのか?

『太平洋クロマグロ』漁獲枠拡大は見送り マグロの価格は上がるのか?

2015年より厳しい漁業規制が行われている太平洋クロマグロ。今後、法的な見直しをするかを話し合う国際会議が先日開催されました。

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その他 サカナ研究所

クロマグロ漁獲規制は撤廃されず

中西部太平洋における高度回遊性魚類(マグロ、カツオ、カジキ類)資源の長期的な保存と、持続可能な利用を目的とした地域漁業管理機関である「中西部太平洋まぐろ類委員会」の下部委員会である「北小委員会」が、2020年10月8日にオンラインで開催されました。

北小委員会では日本、中国、韓国、台湾、フィリピン、米国、カナダ、フィジー、バヌアツ、クック諸島が参加し、主に北緯20度以北の水域に分布する資源の資源管理措置について話し合う会合です。この中で日本は、小型魚(30kg未満)と大型魚(30kg以上)の漁獲枠を拡大することを求めていました。

『太平洋クロマグロ』漁獲枠拡大は見送り マグロの価格は上がるのか?大型のクロマグロは厳しい漁獲規制がある(提供:PhotoAC)

日本は「繁殖能力のある親魚の資源量が回復傾向にある」として「小型魚(30kg未満)と大型魚(30kg以上)の枠を共に20%拡大する」ことを提案しました。

しかしこの主張はアメリカの反対にあい、全会一致が原則である委員会の規則によって退けられました。(『「中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC) 第16回北小委員会」の結果について』水産庁 2020.10.8)

現行規制の内容とは

太平洋クロマグロは、2015年から現行の漁獲規制が行われています。この規制は数値上かなり厳しいもので、未成魚(魚体重30kg未満)の漁獲量を02~04年度の平均値から半減させ、成魚についても漁獲量を同期間の平均水準を上回らせないようにする、という内容になっています。

しかし、この規制内容、実は日本の提案によるものです。その前年に出された「太平洋クロマグロの資源量が歴史的最低水準に近づいている」という資源評価結果に基づき、提案されたものなのです。

『太平洋クロマグロ』漁獲枠拡大は見送り マグロの価格は上がるのか?競りにかけられるマグロ(提供:PhotoAC)

最大のマグロ漁業国であり消費国である日本が、もしこの現状に取り合わない姿勢を見せてしまえば、環境保護NGO等によって激しい「日本バッシング」が起こることは明らかでした。その事態を防ぐため、自ら提示したのです。(『なぜ日本はクロマグロ漁獲半減を提案したのか』imidas 2014.12.26)

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