夏のヘラブナ釣りの定番といえば「チョウチン両ダンゴ」。サオ操作が安易で良型の引きが楽しめるのが魅力だ。今回は初心者入門にも最適なこの釣りを紹介していきたい。
(アイキャッチ画像提供:WEBライター・土屋ナオト)
夏のヘラブナ釣り
今年の梅雨は長かった。海は水潮で基本的にはよくない状態になることが多いが、淡水のヘラブナ釣りはこの季節、増水し活性が高くなることが大いにあり得る。この梅雨の雨で産卵後に下がった活性が復活し、梅雨明け、夏本番に気温の上昇とともに本格的な高活性期に突入する。まさに最盛期本番といったところだ。
もちろんこのタイミングでは本命は共エサの釣り。両ダンゴの宙釣りがメインになる。今回は初心者でもサオ操作が安易でなおかつ好釣果が期待できる「チョウチン両ダンゴ」を解説したい。
「チョウチン両ダンゴ」とは?
サオ先近くにウキを付けた宙釣りで、サオいっぱいの水深を釣る釣りをチョウチンという。穂先からウキが垂れた様子がチョウチンのようだというのが由来といわれる。そして両ダンゴとは、上下にダンゴエサを付けた釣り方をいう。
チョウチン両ダンゴのメリット
この釣りのメリットは、浅ダナのように沖に振り込む必要がないところ。穂先の周辺にゆっくりとエサを振り込むだけと難しいサオ操作が必要ではないので、初心者でも安定してエサ打ちすることができる。なおかつ、穂先からウキまでの距離が短く、風の流れの影響も受け難い。
また、ヘラのサイズも浅ダナよりも深い分体力がある個体が多く、一回り大きなウエイトのヘラが狙える。これは総重量競技において、浅ダナで20枚8kgに対し、チョウチンでは20枚10kgという釣果になることも珍しくなく、大きな利点となる。
そして、活性が高い場合はセット釣りよりも両ダンゴの方が釣りが簡単で、エサ合わせなどが理解しやすい。セット釣りは基本的に下のクワセをヘラに食わせる釣りだが、上バリのバラケを調整し、寄せやバラケの範囲を調整する。食わせる物と別の所を調整するのはやはり想像力と慣れが必要だが、両ダンゴの場合はヘラが口に入れる物自体を調整するので、理解がしやすい。イメージは両クワセといったところか。
チョウチン両ダンゴのデメリット
デメリットは浅ダナに比べて、タナが深い分、エサがタナに届くまでの時間がかかり、エサ打ちペースは浅ダナが有利になってしまう。チョウチンで3投している間に浅ダナでは5投となる場合もある。釣りの速さでは浅ダナに負けてしまう。
また、混雑していない場合など一人当たりに対するヘラの供給量が多い場合(ヘラがウキの周りに大量にいる場合)などは、深いタナまでエサを入れるのが難しくなってしまう場合もある。釣り場によっては水深が浅いとサオいっぱいの宙釣りをすると底に着いてしまいチョウチンができない場合もあるので、釣り場の水深は要チェックだ。
チョウチン両ダンゴのタックル
では基本的なタックルを紹介する。
サオ
事前情報などがなければ、サオはまずは釣り場に使える「最短のサオ」からスタートする。関西では7尺、関東では8尺が最短ということが多いので、その辺りは釣り場で確認したい。基本的にはしっかりとした硬めの胴調子がチョウチン釣りでは使いやすい。深ダナから引き上げる力と引き込まれた時に胴で耐えるサオが理想といえる。
ウキ
両ダンゴということはセット釣りに比べるとトップの長さが必要になる。セット釣りはダンゴ一つ分の重さを支えるが、両ダンゴは二つ分の重さを支えるトップが必要になり、ゆっくりとエサを落下させアピールさせるためにはセットに比べてウキのボディの肩やボディと足の付け根の絞りが緩い、スッとしていない形状が理想的だ。
ボディサイズは、私はサオの長さと同じサイズからスタートする。7尺なら7cm、8尺なら8cmからスタートしている。エサ落ち目盛りはトップ全体の長さの3分の1程度が水面に出るように調整する。トップの太さは1.2mm径が使いやすい。
ミチイト
しっかりとした硬めの物が使いやすい。小型~中型中心の釣り場では1号をメインに大型ばかりの場合は1.2号を使用する。
ハリス
ハリスはミチイトの半分の太さを使用する。長さは上40cm、下50cmからスタートし、10cmずつ調整していく。活性が高ければ短く、活性が低ければ長くしていく。私の場合は最長で上70cm下85cm、最短で15cmと25cm。段差は活性が高いと10cm、低い場合は15cmにする。
ハリ
フトコロが広めのしっかりとした中軸~太軸のハリを使用する。5~8号を使用する。7号を基準に活性が低ければ小さく、活性が高ければ大きくしていく。ハリのサイズをかえずにエサ持ちが悪ければ、太軸にすることでエサのサイズはそのままにエサ持ちを強化することもできる。
エサのブレンド
私が最近オススメするブレンドは、コウテン400cc+ガッテン400cc+水200ccを50回ほどかき混ぜたブレンド。エサ持ちが悪ければBBフラッシュを200ccブレンドに加えた物もオススメだ。
基本的な釣り方
続いて基本の釣り方を紹介していく。
1.ハリより一回り大きなエサを針付けしスタート。まずはしっかりとウキのトップ先端付近まで馴染ませることを意識する。セット釣りよりもエサがタナまで持つことを意識する必要がある。ダンゴ自体を食わせる釣りなのでこれは大切だ。
持たない場合は小分けしたエサを練っていく、10回ずつウキの入りを見ながらしっかりと入るように調整する。
2.ウキが動き出すまではサワリがなくトップ先端まで馴染めばエサ切りしていく。途中にサワリがあればトップ先端で停止した状態で一呼吸待って、再度エサ打ちしていく。毎投ウキの動きが悪ければ角ばらせてエサ付けし、入りが悪ければ圧をしっかりかけ丁寧にエサ付けする。
3.ウキが動き出したら、同じ位置でしっかりとしたアタリを取る。最初はウキのトップ肩付近の動きは手を出さずに、しっかり入ったトップ先端付近のアタリに的を絞るとタナが安定しやすい。同じ位置、同じタナにエサを置いてくることがポイントだ。色々な位置でアタリを取るとタナがバラバラになり、結果釣りにくい状態になる。
4.理想のアタリはフワフワと触りながらトップ先端付近まで馴染んで「ドンッ」というもの。そのアタリを意識しながらエサの付け方を毎回工夫し、アタリを出していく。