中深海の岩礁部に生息し、漁獲が難しいことから「幻の魚」と称されるアラ。今回は、石川県の諏訪丸からスロージギングでアラを狙った釣行をレポートしよう。
(アイキャッチ画像提供:WEBライター・村山雅治)
輪島沖スロージギングで巨大アラ狙い
4:00出港~15:00帰港の予定で、石川県の輪島へアラ釣行に向かった。 お世話になったのは「諏訪丸」。輪島では人気の釣り船として有名であり、県外からも多数の釣り人が訪れている。
アラとはスズキ目ハタ科の魚であり、北海道から九州南部の太平洋側、青森から九州南岸までの日本海側で生息が確認されている。九州では「クエ」もアラと呼ばれているが、それとは全く異なる魚である。
中深海スロージギングでもめったにお目に掛かることができず、市場にもあまり出回ることがない。びっくりするような高値がつくことがある高級魚であるが、それに見合う旨さがあり、特に刺身やしゃぶしゃぶなどは絶品である。
アラ狙い釣行日の状況とタックル
釣行日の状況と使用したタックルを解説しよう。
当日の状況
当日の天候は、曇りのち小雨、波高は1m前後。雨は降ったりやんだりで、雨が降らなければ非常に釣りやすい状況。 北陸圏で釣れるアラのサイズは60cm~1mがメイン。岩礁に潜んでいる為、ベイトはスルメイカ、サバなど目の前に落ちてきたものにはなんでも食ってくるとのアドバイス。
当日のタックル
当日は電動タックルを2本、ベイトタックルを1本を準備した。150~300mの中深海で250~350gのジグを思い通りに動かすことは至難の業であり、状況に応じたタックルのセッティングが重要になってくる。今回の釣行で使用したタックルは200g前後のジグ用、250~300g前後のジグ用、350~400g前後のジグ用の3種類。
リールはハイギヤとローギヤ、ジグはフォールが速いものやスローなものなど、挙げていくとキリがなくなってくる。こればっかりは経験を積んで自分に合ったものを選ぶ必要がある。
当日の戦略
アラは個体数が少なく、簡単に釣れるターゲットではないので、「諦めないこと」が前提の釣りとなる。しかし、中深海ジギングでは本命が釣れなくても、色々な魚が相手をしてくるので退屈せずに楽しめるだろう。
今回の釣行では以下のように戦略を立てた。
潮流速度に合わせたジグ選定
アラ狙いの中深海スロージギングでは、潮流の流れの速さが影響してくる。 それによって、ジグの重さも変えていく必要が出てくるため、3タックルで釣りに臨んだ。まずは、200gのジグで潮流の強さを測り、流され過ぎるようであれば、350gの平ジグに変更する。
底付近を丹念に攻める
アラ狙いにおいてはポイントを広く攻めるのが有効であり、アピール力の高いロングジグを使用するのも一つの手段だ。また、狙うレンジは底付近となる。底から約5m前後を平ジグなどでのフリーフォールでネチネチと落としながら探っていく戦略で攻めてみた。
アラをファーストキャッチ
当日の戦略が功を奏し、午前中に船中で初となるアラのヒットを取ることができた。アラのサイズは1.63㎏だったが、サイズとしてはまだまだというところだろう。
ジグのアクションとしては、ロッドアクションをつけず、ジグザグに落ちるようなフォールを繰り返さないようにした。底付近で強めのサミングを入れ、ジグを横に向かせるテクニックを使った。
あまり激しくロッドをシャクらずに、ゆっくりと上げ下げする感じでのアクションがアラには効果的だと思う。 前半戦は、ヤナギハチメやメヌケなどの外道がちょくちょく掛かってはきたが、アラはこの1本だけとなり、我慢の時間が続いた。