ウキは浮くだけにあらず。沈むウキだってある。それが水中ウキだ。チヌやグレのフカセ釣りやカカリ釣りでも使用するほか、フロートリグとしてメバリングやアジングでも使われる事が多い水中ウキの基本的な考え方とその有効な使い方を紹介したい。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWS関西編集部・松村計吾)
水中ウキとは
水中に沈んでいくウキなので水中ウキと呼ばれるのだが、その使い方は実に様々だ。古くから知られているのは、フカセ釣りで浮力のあるウキに対して、マイナス浮力(沈む)のウキを合わせる事で、水中の潮の流れをとらえるために使われる。
またルアーではメバリングやアジングでフロートリグと呼ばれる「飛ばしウキ」を使ってロングキャストを可能にした釣法では、攻めたいレンジに合わせて、浮くタイプ、沈むタイプを利用する。
オモリと水中ウキの違い
水中ウキがマイナス浮力で沈む方向に力が働くのなら、ナマリやタングステンのいわゆるガン玉などのオモリと役割は同じではないかと考える人もいるだろう。
ところが、下の写真を見ていただきたい。同じマイナス浮力のガン玉3Bと水中ウキの-3Bである。極端な大きさの違いを挙げてみたが、これが仕掛けに付いていると思えば分かりやすい。
水中ウキの方は体積が非常に大きく、水中では潮の流れの抵抗を受ける力が大きくなる。いわば、これが水中ウキを使用する理由である。「大きな抵抗物=潮流をとらえる力が大きい」と言う理論が成り立つ。
そして、水中ウキは同じマイナス浮力でも、その形状を様々な形として表現できる。細くても丸くても同じマイナス3Bの浮力である。大きな違いはガン玉との比較と同じ、抵抗である。
浮力と形状選びの基本
丸かったり体積が大きかったりするほど水流の抵抗は大きくなり、仕掛けが潮に流されやすくなる。逆にスリムなほどガン玉などのオモリに近くなる。
水中ウキを使用するに当たっての、形状のチョイスやマイナス浮力の選定は、水中での抵抗の違いであると理解しておけば間違いない。
実はその形状はバラエティーに富んでいて、その使い方に大きく関わってくる。たとえば、下の写真のように上部が平べったくなっている形状だと、潮を受ける面が抵抗を増し、体積以上に潮をとらえる力が大きくなると言う訳だ。
フカセ釣りでの有効性
では、どんな状況でどのような水中ウキを使うのか・・・。具体的に挙げてみると、たとえばフカセ釣りで潮がぶっ飛んでいる様な状況だと、水中ウキを付けると抵抗が大きすぎて仕掛けが浮き上がってしまったり、流されすぎたりする。
水中ウキをもっとも有効に利用できるのは、仕掛けが潮をとらえにくいような、緩い潮の場面である。その場合もあまり抵抗の大きな水中ウキを使用すると、水中ウキばかりが抵抗を受けて流されてしまうので、さしエサ先行にならず特に警戒心の強いグレなどは食いが悪くなる。
そんな場合は、水中ウキを小さくしたり、抵抗の小さい形状のものにしていき、ちょうど潮に合わせて流れるように調整する必要がある。これがばっちり合った時に即釣果に現れるというわけだ。
ルアー釣りの水中ウキ
フカセ釣りの水中ウキと少し考え方が違うのがメバリングやアジングでの水中ウキ使い。ルアーの場合は、フロートリグと呼ばれ、ルアー用に開発されたフロート=ウキを使用するが中身は同じである。
有効性
ルアーでこのフロート=ウキを使用する目的は大きく2つ。一つはジグヘッド単体では仕掛けが軽量で、あまりロングキャストができないので、ウキの自重を使って遠くへ飛ばす。もう一つは、フカセ釣りとも関連するが、潮の抵抗を使った釣法。
前者はウキで飛ばす・・・と言う役目なので分かりやすいので後者について説明してみよう。
フカセ釣りの項で、水中ウキは抵抗物であって、潮の抵抗を大きく受けると解説したが、まさにその状況を利用したのがメバリングなどでの水中ウキ使いである。
超スローリトリーブ
水中ウキを仕掛けに付けると潮の抵抗を大きく受ける。メバリングなどの場合は、投げてから巻き寄せてくるので、潮の流れとリーリングによる引っ張りの抵抗も生まれる。この時には水中ウキが受ける抵抗が大きいので、少しでも速く巻けば浮き上がってしまう。
それを利用したのが超デッドスローでのリーリング。ごくごくゆっくりとレンジをキープしたまま巻き取れるのが有効な攻めとなる事がある。
この時も、ターゲットの食いやすい速度に合わせるべく、水中ウキの形状や浮力を試してみたい。
大きく水中ウキの2つの使い方を紹介したが、水中ウキにはまだまだ無限の可能性があると思っている。皆さんも水中ウキを利用して自分なりの最強釣法を見つけてみてはいかがだろう。
<松村計吾/TSURINEWS関西編集部>