春はヘラブナの乗っ込みの季節。野釣りで良型の数釣りはもちろん、超大型を仕留めるチャンスでもある。今回は「春の乗っ込み、大型狙い」をテーマに釣り方やセッティングを解説できればと思います。
(アイキャッチ画像提供:WEBライター・土屋ナオト)
春のヘラブナ
今年は暖冬の影響から暖かくなるのが早く、やはりサクラの開花予報も例年より早いタイミングになりました。一足早い春。釣り人が待ちに待った季節がやってきました。管理釣り場などでヘラブナの活性が高くなっていくのはもちろんですが、ダムや野池といった野釣り場で春といえば、一大イベントである「乗っ込み」です。
乗っ込みとは冬場深場でじっとしていたヘラブナたちが産卵に浅場にやってくることです。その時ばかりは警戒心の強い大型も、釣り人の手の届く距離を群れで泳ぎ回る姿が見られ、産卵している個体はエサを食べることは少ないですが、産卵を控えた個体が同じ群れの中に居て、それらがターゲットになります。条件が揃えば40cm以上の大型の数釣りやヘラブナでは超大型といえる、夢の50cm超えの可能性も高くなります。
乗っ込みを狙える時期
3月中旬から5月までが基本的な時期になります。山上湖などは気温の影響で遅くなります。気温が高い日が続いたり、暖かい雨が降ったりした後などは活発にハタキ(水草などにヘラブナが卵を産み付ける行為)が行われます。ヘラブナはこの時期に複数回に分けて産卵します。
狙うポイント
ワンドなどの水流の影響が少なく、水草やアシなどが生えている場所になります。ハタキが始まっている時は浅瀬の水草やアシの真横などをダイレクトに狙うのですが、乗っ込み直前やハタキ後の一服状態の場合にはワンド入り口の水深がある場所の立木なども、ヘラブナが溜まる場合はポイントになります。基本的には何もない場所にはヘラブナが止まらないので、障害物があることが大切です。
その他にも水位の影響や濁り、気圧などの要素も密接に釣果に影響します。居るけどエサは食べない場合もあり、そのあたりは釣り場の癖や釣り人各自の判断が必要になります。管理池とは少し違う見極めが必要になりますが、条件が揃えば爆釣も期待できるでしょう。
セッティング
野釣りでは普段から水深のある場所や水流のある場所など管理池に比べれば過酷な状況にいるヘラを相手にします。野生の力強いヘラ。しかもこの時期は産卵で重量があり、水深も浅い場所、障害物の横、サオは短く、とラインブレイクの可能性がかなり高くなるので、頑丈なタックルセッティングがオススメです。
サオ
サオは6~15尺前後を使用することが多いですが、障害物が沖にあれば長くする必要もあるので、そのポイントに合わせて長さをかえていきます。もちろん、力強い引きに耐えるしっかりとしたサオで、硬いが胴から曲がるようなサオがハリス切れを防ぎます。
ミチイト
2~2.5号を使用します。水深が3m近くあり、サオが15尺以上など仕掛けに負担が少ない場合は2号、水深が3m以内、障害物の横、サオが短いなどの仕掛けに負担が掛かる条件が揃えば、2.5号を使用します。
ハリス
ミチイトの半分の号数を使用します。長さは水深によってかえていきますが、私の基本的な長さはタナ1.5~3m付近なら上45cm下60cm。その長さを浅ければ短く、深ければ長くします。調整は10cm単位です。
ハリ
底釣りの場合は10号前後、宙釣りの場合は15号前後を使用します。どちらの釣り方の場合も強度のあるしっかりとしたハリを使用します。
ウキ
ハリ、ラインともに太いので、細いトップやボディだとバランスが合わなくなります。しっかりとオモリの乗るウキを使い、ヘラのアオリやイトズレなどに惑わされないように太めのトップを使用します。
エサ
関西園では乗っ込み時期の大型狙いはマッシュベースのエサを使う釣り場が多いので、今回はマッシュベースのエサを紹介します。
宙釣り
徳用マッシュポテト400cc +マッシュダンゴ400cc +藻べら200cc +水600ccで70回ほどしっかりと押し練りしてから浅ダナ一本200ccを絡めて完成。
底釣り
徳用マッシュポテト200㏄+尺上100㏄+水200㏄で50回ほど練り込み、しっかりしてきたら野釣りグルテンダントツ50㏄を振りかけ均一に混ざるまで練り、5分放置し、完成。
マッシュ系のエサはエサ打ちを繰り返しても底にきれいに広がるため、魚がついばみにくいイメージになります。ハリに付いたエサ以外は、塊のまま残らないと言えばイメージしやすいと思います。
集魚効果が薄いため、大型が回遊してきたタイミングで釣れるといったイメージです。
釣り方
まずは宙釣りと底釣りの選択ですが、底がきれいな状態 (根掛かりやハリに水草などが着いてくるかで判断)だと底釣りを選択します。底釣りの場合にはエサ落ち目盛りよりも2目盛りほどエサで沈むようにウキ下を調整していきます。
底がきれいではない場合には底から10cmほど切った宙釣りから始め、アタリが出るタナを探っていきます。
基本的にはどちらの釣り方もウキが立ってから深馴染みするまでにサワリ、深馴染みした直後に『ドン』としっかりしたアタリを狙うのがポイントです。サワリがあれば待ちますがあまり待ってアタリがあってもマブナやスレが多くなる傾向があります。
ウキが沈没してしまうのが続けば手水を打ち、軟らかく調整します。
産卵場所ではウキの近くに沢山のヘラブナが回遊し、イトズレなどが多いので力強く入るアタリを冷静に判断する事が重要になってきます。
以上が春の乗っ込み、大型狙いです。この時期は本当に大型が身近に狙えるタイミングです。自己記録更新を、夢の50cm超えを目標に、皆さんも釣行してみてはいかがでしょうか。きっとワクワクと興奮が釣り場にはあります。
<土屋ナオト/TSURINEWS・WEBライター>