桜の花が咲き始めると各イカダ&カセにも春が訪れて、クロダイ(チヌ)のカカリ釣りファン待望の乗っ込みシーズン到来となる。まだ水温が不安定な時期だが、入門者にとっても初めての年無し(50cm以上の通称)を手にしやすい絶好機でもあるのだ。良型のクロダイに出会うためには何が求められるのだろうか……。そこで今回はイカダ&カセで狙う春の乗っ込みクロダイ攻略法を紹介したい。
釣り方
釣り座に着いたら、まずはモーニング(まきエサ前のひと探り)。
ダンゴの準備をする前に、さしエサだけで仕掛けを落とし込んで、サオ下とポイント周辺を探ってみよう。
この時、オモリは付けても付けなくても構わないが、底上1ヒロからは穂先にテンションをかけ、アタリに注意しながら落とし込みたい。
モーニングでの釣りは、クロダイがいればすぐに結果が出る。
気配がなければ、早々に見切りをつけてダンゴの準備に取りかかろう。
さて、ダンゴ釣りだが、まずは様子見も兼ねてポイント作りだ。
着底したダンゴからさしエサが出たのを確認したら、穂先を少し下げてアタリを待つ。
いわゆる「底トントン(海底とさしエサの位置がスレスレ状態)」と言われる釣りで手返しをして、エサ取りの活性を上げよう。
ポイントを作り上げていくコツ
春の釣りでは、エサ取りの存在が大きな助けとなる。
まきエサの匂いは潮下にしか広がらないが、エサ取りがさしエサをついばむ音は全方向へと伝わり、きっとクロダイにも届いているはず。
エサ取りばかりの時間帯が続いても、1投ごとクロダイにつながると信じて打ち返そう。
エサ取りに翻弄(ほんろう)されずポイントを作り上げていくコツとしては、一日をいくつかに区切って手返しすることをお勧めしたい。
例えば、ダンゴをオケ3杯分持参したならば、開始から納竿までの時間を3等分して、何時から何時までにオケ1杯分を使い切るとか、早めにポイントを作りたいなら、半分の時刻までにオケ2杯分を使い切るなど目安を決めておくといい。
手返しだけで打ち切れない分は、1投ごとダンゴを空打ちするとか、決めた時刻がきたら残った分をまとめてポイントへ放り込むようにすれば、自然と本命を迎え撃つステージが出来上がっていくだろう。
気配を感じたら……
手返しの最中に気配を感じたら攻め時だ。
たとえ早い時間帯であっても、自分の勘を信じて反応したいところだ。
「気配」とは、ダンゴアタリが出だしたとか、急にさしエサが残るようになったとか、エサ取りがさしエサへアタるまでの間が長くなったなど、ちょっとした変化のこと。
違和感があったら釣りのテンポを落とし、1投ごとにかける時間を長く取ってみよう。
本命があっさり釣れることもあるが、この時期のクロダイはとにかくスローテンポ。
狙う魚体のペースに合わせて、ダンゴが割れてから5分は待つようにしたいところだ。
底トントンの釣り方で本アタリが出なければ、ハワセ釣りが効果的。
ダンゴが割れるのを確認する前にラインを半ヒロ~1ヒロ余分に出し、仕掛けを大きくなじませて待ち伏せしてみよう。
サオを手持ちにすると、つい潮流に合わせついていきたくなったり、誘いをかけたくなるようなら置きザオにしてもいいが、ハワセ釣りに切り替えたときは仕掛けが底に接しやすくなるので、ハリやハリスの傷には気をつけたいところだ。
また、回収時にハリ先を親指の爪に立ててみて、滑るようならすぐ取り替える。
ハリスは余分に出した分まで指で傷の有無を確認しよう。
ハリとハリスの小まめなチェックは、この時期に限らず釣果に影響してくる。
私も悔しい思いを何度したことか。
毎投、確認する癖をつけていきたいところだ。
ハワセ釣りと併せてお勧めしたい攻め方が「落とし込み釣り」。
ダンゴから出たさしエサに反応がないポイントへ、さしエサだけで落とし込んだら一発で食った、ということが過去に何度かあった。
ポイントの周辺も含め、ぜひ試してほしい。
アタリの見極め方
アタリの見極め方について。
特に入門者が悩みがちなクロダイのアタリだが、アワせるかどうか迷った時は、とにかく手を出さずに見守ろう。
アタリを出しているのがクロダイなら、穂先を押さえ込むことが多い。
居食い(さしエサを口にしたまま、動かずジッとしている)も多い時期だが、それでも最後はのみ込んで走るだろう。
バラシを避けるためにも、慣れないうちは「穂先を押さえて戻らない本アタリ」だけを待って、力いっぱいアワせよう。
最後に
さて、今年の2月から「ライフジャケットの着用が義務化」となった。
ライフジャケット着用の義務を怠れば、渡船店にも迷惑をかけることにもなり、何より自分の命を守るために大事なこと。
必ず着用して、安全第一で楽しもう。
<横山大幸/TSURINEWS編>