休日に家族で回転寿司へ出かけることが定番となっている方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。そこで、今回は回転寿司の発祥と今後の進化について紹介します。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
回転寿司の発祥
私たちの生活の中で、お寿司が回ることは、既にごくごく当たり前になっていますが、いつごろから回っているのか、皆さんはご存じでしょうか?
実はその歴史は古く、回転寿司の発祥は1950年代にまで遡ります。意外と半世紀以上が経っています。なんとなく機械化が進んだ平成に生まれた食文化だと思いきや、戦後まもなく発明されていたのです。
そしてその発祥の地は東大阪と言われています。元禄産業(株)によって「廻る元禄寿司 1号店」がオープンしたのが、その始まりとされています。当時の社長がビール工場の製造に使われているベルトコンベアにヒントを得て「旋回式食事台」という今の回転寿司のベースとなるテーブルを開発しました。
全国での流行推移
今では、「〇〇寿司」と名の付く大手チェーン店が、車で街の大通りを走れば必ず1軒は目に入ってくると思います。そして全国展開している回転寿司大手3社は、だれもが一度は足を運んだことがあるはずです。
1位:スシロー
2位:くら寿司
3位:かっぱ寿司
現在、売上において業界TOPのスシローの店舗数は1984年に大阪で1号店をオープンしてから着々と増え、2019年11月現在の店舗数は535軒にもなっています。
すべての都道府県に店舗を持つスシローですが、そのうち大阪府には47店舗、愛知県には46店舗あり、都市部を中心に店舗を増やしています。(2019年11月14日現在)
この大手3社限らず、ほとんどの回転寿司チェーンが、1皿100円程度の低価格なお寿司を提供しています。
お皿の色で値段が変わる
今では1皿100円という金額形態が当たり前になっている回転寿司ですが、少し前まではお皿の色によって金額が決められていました。
例えば赤色のお皿に乗っているネタは100円、青のお皿に乗っているネタは130円、金のお皿に乗っているのは500円といったように、それぞれのネタで値段が異なっていたのです。確かに、遥か昔の記憶の中に、両親に「赤いお皿は、食べていいけど、絶対に金色は取っちゃダメ!」なんてことを言われていたような気がします。
では近年の回転寿司ではなぜ1皿100円という低価格帯で商品を提供できるようになったのでしょうか。それには大きく3つの要因があります。
100円回転寿司のメニューが安い理由
1.原価率が低いため
お寿司は高級品というイメージのとおり、生の魚は仕入れるコストが高いのも事実です。
原価で見てみると、ウニやマグロなどが高く75〜85円程度とされています。基本的に1皿100円(税抜)とすると、80%前後が原価ということになります。
しかし、最近ではメニューの中に、ツナマヨ、コーン、かっぱ巻き、タマゴなどのサカナ以外の原価率20%以下のネタを増やすことで平均の原価率を下げることに成功しました。
これは、原価率の低い味噌汁やサイドメニューが充実してきていることと同じ理由だと言えます。
2.ファミリー層向けに変容したため
回転寿司という食文化がファミリー向けに姿を変えたのも大きな理由と言えます。いまでは当たり前のボックス席も、少し前までは存在していませんでした。
全席カウンターというのが当たり前だった回転寿司にボックス席が導入された事により、家族でお寿司を楽しめる場が生まれたのです。
これにより前述の原価率の話にも付随しますが、子供がサイドメニューや低コストのネタを食べる機会を増やすことに成功しました。
3.機械化を進めたため
そして何よりも大きいのが、回転寿司の機械化。近年ではあらゆる場面でシステム化が進んでいますが、回転寿司においても同じです。
例えば、職人が一つ一つ丁寧に握っていたお寿司は、今ではシャリ握りマシーンが導入され、次々と握られるシャリの上に、数人で刺身のネタを乗せるだけになりました。
さらに、オーダーもタッチパネル式になり、好きなものを選んで注文するだけで、数分後にはおもちゃの新幹線のレールに乗って座席に届いたり、テーブルごとに色分けされたお皿にのってくるシステムが導入されています。
機械化によって人件費を削減すると同時に、ネタが流れてくるのを待つ時間をなくすことでお客さんの回転率を上げることができました。
経費を減らすことに繋がり、近年では少し高級なネタの提供も可能になっているようです。