釣りで使う『ハリ外し』の使い方 代表的な2つの状況別に徹底解説!

釣りで使う『ハリ外し』の使い方 代表的な2つの状況別に徹底解説!

魚釣りをしていると、ハリを飲み込まれてしまったり、口が硬くてハリが外せない、ハリが小さすぎて指でつまめない、などに状況に直面する事が多々ある。そんな時に古くから親しまれているのが「ハリ外し」と呼ばれる小物の出番。今回は代表的な使用方法を伝授!

(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

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お役立ち その他

ハリ外しの効用

ハリを外す道具だからハリ外し。もちろん、その通りなのだが、ハリ外しを使用する主な状況は、やはり魚が口の奥深くにハリが付いたエサを飲み込んで、喉奥にハリが刺さってしまった時。そして、口に掛かってもそれが毒魚であったり、口が硬くて手では外せない時などにも用いられる。

要は魚の口周りや喉奥の手では届かない部分に刺さったハリを抜いてしまう道具なのだが、そんな単純な作業のために、これほど形状や理論が進化してかわってきた小物も少ないのではないだろうか。

ハリを飲み込まれた場合

ハリを飲み込む魚は多い。と言うよりは、多くの魚がエサを吸い込んで咀嚼し、吐き出してはまた吸い込むのを繰り返してエサを食べるので、タイミングよくエサ=ハリを吸い込んだ瞬間に、喉奥にハリが刺さってしまったりすることだってある。

また、どん欲な魚ではエサをパクリと食べたらもう放さない(吐き出さすに一気に飲み込んでしまう)魚だっている。そんな魚に対しては、ほんの少しのアワセの遅れが飲み込まれる事に繋がるのだが、これを解消するには並大抵の技術では無理なのである。

そこで、飲み込まれたら仕方がないので、そこは人の知恵で解決。飲み込まれたハリを外すための「ハリ外し」は案外と多い。

シンプルなC型ハリ外し

釣りで使う『ハリ外し』の使い方 代表的な2つの状況別に徹底解説!シンプルなC型ハリ外し(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

非常に古くからあるハリ外しの原型のようなアイテム。金属製の細い棒の先には環が付いていて、1部が開いている。この開きが横にあればアルファベットの「C」にも見えるのでC型と呼ばれる。

このハリ外しの使い方は開いた環の中にハリスを入れて、糸は張ったまま、ハリ外しを滑らせてハリの方へ持っていく。チモト(ハリと糸の結び目)を環が通過すると、環がハリに引っ掛かるので、そのまま押し込めばハリが外れる仕組みだ。

このハリ外しを使う時のコツは、糸をしっかりと張っておく事。糸が緩むと環から糸が抜けてしまい最初からスタートするハメになる。それと、環からハリや糸が抜けた状態で、何度も魚の喉奥にハリ外しを突いても、ハリは外れないので、ハリまで環が到達してしっかりと環にハリが掛かった状態を確認したい。

環がハリに掛かると、ハリ外しを押すと、ハリスも同時に引っ張られるので分かる。魚の大きさ(ハリが掛かった喉の深さ)によって、あらかじめ何種類かの長さのハリ外しを持っておくといい。基本的には波止や川、池などの小物に用いられる。

ちなみに同じ理論でハリを引っ掛けてそのまま魚の口の奥へ押し込む事で外せるY型のハリ外しもあるが、こちらはY字の凹み部分にハリを引っ掛けてそのまま押し込むので、覗き込んで見えているハリでないとかなり難しい。

プライヤーは万能である

釣りで使う『ハリ外し』の使い方 代表的な2つの状況別に徹底解説!万能なプライヤー(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

とにかくハリ外しとして万能なのがプライヤーだ。ハリをプライヤーの先で挟んで抜き取れるので、確実にハリを挟んでキープでき、外しやすいのが特徴。また、ハリの形状に合わせてねじったり、押したりが自由自在にできる。

ただ、細いとは言え多少の太さがあるため、口が小さい魚には使いづらい。それと、挟んで使うためプライヤーの長さも考慮しなくてはならない。しっかりとハリを挟んだ状態をキープするにはグリップをしっかりと握り込まないといけない。

基本的にはガシラやベラなどの小物には長さ10cmほどの小型を、マダイ、青物などの口の奥が深くて頑丈な魚には、全長15cm以上の大型プライヤーがオススメ。大小2種類のプライヤーを常に持っている人や、釣りに合わせて持参するサイズを分けている人など様々だ。

製品によっては錆びやすいので、海水に浸けたら、必ず釣りが終わった後に真水でよく水洗いし、潤滑油などのオイルを関節部分に振りかけておきたい。

船の大物にオエオエ棒

釣りで使う『ハリ外し』の使い方 代表的な2つの状況別に徹底解説!商品化されているオエオエ棒(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

あまり聞き慣れないかもしれないが、実は船釣りでのマダイや青物狙いなど大型魚には威力を発揮する。船長が自作で船に積んでいる場合もあるし、市販品もある。

ただ、見た感じはタダの真っ直ぐな木の棒である。これが時として非常に役立つハリ外しのアイテムとなるので驚きだ。

使い方は簡単で、釣り上げた魚がハリを飲み込んでいれば、ハリスを持ってぶら下げ、魚の口にオエオエ棒をしっかりと突っ込んで魚を回転させるように回すと、ハリが外れて魚がボトンと落ちる。

魚を回転させる事で木の棒にハリスが巻き付いて、刺さった部分の身を引きちぎるという、少々荒っぽい外し方となるので、細いハリスなどではハリスがヨレたり、切れたりする事もある。ハリスは4号や5号以上で、回しやすい自重のある魚を釣った時に使われる。

口周りに掛かった場合

「口周りに掛かっているのだから、指で摘んで外せばいい」と簡単に考えがちだが、簡単に外れる魚もいれば、そうでない魚もいる。たとえば、毒魚なんてのは、あまり指を魚に近づけたくないし、間違って触れるのもNG。なので、魚を触らなくてもハリが外せるのが理想だ。

また、魚の口の横にはカンヌキという部分があって、ここにハリが刺さると、ハリが外れずにバラシも少ないと言われている。と言う事は釣り上げた後もハリを外すのに苦労する訳だ。

その他、一見、ハリが見えていても歯にハリが食い込んでいたりするとなかなか硬くて外せないもの。そんな時のアイテムもいくつかある。

魚に触らないガンタイプハリ外し

釣りで使う『ハリ外し』の使い方 代表的な2つの状況別に徹底解説!ガンタイプのハリ外し(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

ガンタイプと呼ばれるのは古くはピストルの形をした商品が多かったからで現在は、いろいろな形に進化している。理論はほぼ同じで、本体の先に突き出た太い針金の先にハリを引っ掛けてから、レバーを引く事で針金が本体の中に入り込み、ぶら下がった魚の口からハリだけが外れる仕組みで、なんともうまく考えてあるモノだ。

漁師がアジやサバを釣る時に、指の外側に針金をL字型に曲げた指輪のようなものを付け、ハリスに引っ掛けたら魚の口元までスライドさせて、角度をかえるとハリが口から抜けるようになっていて、そのまま船の水槽へ落とし込むと言うアイテムがあるが、要はその理論を真似たモノだ。

ぶら下がった魚がぽとりと下に落ちるので、船釣りや波止釣りでリリースしたいゲストなどは、海の上に突きだしてレバーを引く事で簡単にリリースできる。
カワハギ釣りなどで、ベラやトラギス、キタマクラが多いエリアでは重宝する。魚に手を触れないので、毒魚などにも対応できるのがうれしい。

もちろんプライヤーは万能である

飲み込まれた時同様、プライヤーはハリを摘んで外すので、硬くて外しにくい時でも重宝する。ただ、しっかりと魚を掴まないとなかなか確実に外れてくれない事もあり、魚は手で掴むかフィッシュグリップなどでしっかりと掴む必要がある。特に毒魚の場合は、グリップから魚が離れないようにする必要がある。

ハリを摘んで外す力が強く入れられるので、飲み込まれた時とは違い、比較的小さなプライヤーでも大きな魚に使える。

基本的にはタチウオなど歯が鋭い魚もそうだし、イシダイやチヌ、マダイなど、時として貝類などを歯でかみ砕いて食べる魚種は、歯がまずまず鋭い上に、かみ砕く力が強い。不用意に手を近くに持っていって噛まれると、酷い目に遭うので確実にプライヤーなどで外したい。

飲み込まれても安心な魚

ちなみに飲み込まれた時の対処法がもっとも簡単なメジャー魚としてはシロギスが挙げられる。キスは砂泥底にいる甲殻類やゴカイなどの仲間を砂ごと吸い込んでは砂を吐き出して、獲物だけを捕食する。一気に吸い込むため飲み込まれる事も多い。

釣りで使う『ハリ外し』の使い方 代表的な2つの状況別に徹底解説!キスはハリを飲まれても安心(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

この場合はキスをひっくり返して、親指と人差し指でキスのエラブタを広げるように軽く突っ込んだ状態で、ハリスを引っ張ると、ズルッとハリが抜けるので一度お試しを!

<松村計吾/TSURINEWS関西編集部>