和歌山・加太沖のマダイは関西でも有数の「ブランド」として、市場でも高値で流通している。なぜ加太のマダイはそんなに美味しいのか?釣り人、船長、専門家それぞれ聞きつつ、その謎に迫ってみた。
(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS関西編集部・平塚悠介)
和歌山・加太沖とは
和歌山県和歌山市にある一大漁港、それが加太港だ。
この港に停泊している遊漁船の数は関西でもトップクラス。その多くが古くからマダイ狙いで営業しており、一同に加太沖(友ヶ島沖とも呼ばれる)を目指す。
まさに「マダイの名釣り場」と言っていいポイントだ。
高仕掛けが特徴
この釣り場ではマダイが年中釣れる。春は「桜鯛、花見鯛」、秋は「紅葉鯛(もみじだい)」と呼ばれ好シーズンに。また、冬は越冬地として、特に2月ごろに大型がヒットする。釣りのポイントは港から近くて5分、遠くて20分ほどだ。水深は30~90m。
また、この釣り場の大きな特徴として、「高仕掛け」と呼ばれる長い胴突き仕掛けを使って釣りをすることが挙げられる。
釣り人に聞いてみた
加太マダイの特徴とは?加太沖の釣りをされるWEBライターの南雅文さんに聞いてみた。
南雅文さん「加太のマダイですが、まず第一に匂いが違いますね。他の釣り場ではマダイ独特の臭みを感じることもありますが、ここのマダイは無臭です。味はもちろん美味で、エグみやしつこさといった無駄な雑味がないのが特徴だと思います。おいしさで言えば、2kgまでの雌が一番おいしいですね。体の色も全然違います。
なぜおいしいのかは、おそらく海峡筋に住んでおり豊富なエサを食べているからではないでしょうか。」
釣り人の意見では、以下のことが分かった。
・加太のマダイは臭みがない
・美味の理由は豊富なエサを食べているから?
船長に聞いてみた
次は、加太港にて50年以上も釣り船をしている藤原丸の藤原明船長に、加太マダイの特徴を聞いてみた。
藤原明船長「加太のマダイのいいところは、一年中釣れること。それとマダイは時期によって味に変化があり、産卵時期~夏はあまりおいしくなく、秋~春にかけては美味と言われるが、魚のエサが豊富な加太では年中いつでもおいしく食べることができる。
それと、加太のマダイは巷で言われている通り、とても高級。藤原丸では一本釣りでマダイ漁もしており、正月前など高く売れる時期は、市場でキロ単価5000円という値が付くこともある。
また、速い潮の流れで生活しているから、加太のマダイは身の締まり方が違う。加太のマダイは、尻尾付近の骨にコブができていることがあるが、これは速い潮の中で育ったマダイにしかできないものらしい。」
船長の意見では、以下のことが分かった。
・加太のマダイは年中おいしい
・市場ではキロ単価5000円になることも
・引き締まった身をしている