和歌山・加太沖のマダイは関西でも有数の「ブランド」として、市場でも高値で流通している。なぜ加太のマダイはそんなに美味しいのか?釣り人、船長、専門家それぞれ聞きつつ、その謎に迫ってみた。
(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS関西編集部・平塚悠介)
漁業関係者に聞いてみた
釣り人、船長から加太マダイのおいしさについて証言を得たが、ここからはより専門的な知識を持った方に聞いてみた。元大阪府立環境農林水産総合研究所の職員で、現在は大阪府海区漁業調整委員会の専門委員を務める鍋島靖信氏にインタビューをした。
鍋島靖信氏「マダイは本来、潮通しの良い岩礁帯に住み、雑食性でエビ、カニ、クモヒトデなどを活発に泳ぎ回りながら捕食する習性を持っています。つまり加太のマダイこそが、本来の姿ということです。
本来のマダイは運動を頻繁にしているので、全身の筋肉に栄養がいき渡っています。なので、養殖のタイなどは脂肪分をため込んでいますが、マダイの本当の味は、あっさりしていて甘味があるものなのです。
また、加太のマダイなどに見られる骨のコブは、“鳴門骨”と呼ばれ、活発な運動のし過ぎによる疲労骨折によってできたものです。
水のきれいな加太沖に住むマダイは、背中は鮮やかな赤で、腹部は真っ白、尾びれは揃っており、とてもいいプロポーションをしています。マダイを食べる時は姿造りや塩焼きなど、見た目をそのまま残した料理が多い気がします。目で食べるとも言われる和食において、魚体の美しさも重要なポイントになってきますね。」
とのこと。専門家に聞いて分かったことは、
・加太のマダイが本来の姿
・あっさりして甘味があるのが天然の味
・骨に付いているコブは活発に動いている証拠
・加太のマダイは和食にぴったり!
最後に
関西で珍重される加太のブランドマダイ。特別な環境で育ったからこそと思われたが、実はそれが本来の姿だったとは驚きだ!
加太沖のマダイは、釣り人なら遊漁船を利用すれば手軽に釣ることができる。マダイの本当の味を知らない人は、ぜひ一度狙ってみてはいかがだろう。
<平塚悠介/TSURINEWS 関西編集部>