ちりめんじゃこは目の小さな網で捕獲するため、その中にはさまざまな魚が交じっている。ただし、スーパーに並ぶころにはほとんどが取り除かれているためあまり目にする事はない。そんな小さなゲストを「チリメンモンスター」と呼び、ちりめんじゃこの中から取り分ける作業が子どもたちにも大人気だ。
(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS関西編集部・松村計吾)
チリメンモンスター(チリモン)とは
チリメンモンスターは略して「チリモン」と呼ばれ、学校や科学系のイベントではかなりの人気となっている。そもそも、チリメンモンスターは大阪・岸和田のきしわだ自然博物館が名付け親で、同館では毎年、館内でのイベントはもちろん、インストラクターが出張しての「チリモン探し」イベントも数多く開催されている。
探せば探すほどにいろいろな生き物に出あえるのがこのチリモン探しの醍醐味であり、家族ぐるみでチリモンをコレクションしている家庭もあるほど。
また、ちりめんじゃこを採捕した海域が明確であれば、そこに住む生物を調べる事ができ、さまざまな調査、研究にも役立っている。
新しい発見が続々
さて、このちりめんじゃこの中に潜むモンスターを探すには、まず、食用の市販品のように不純物(いわゆるチリモンの事)を取り除いていないちりめんじゃこが望ましい。市販品でもよくよく見てみると、少しピンクがかった小さな甲殻類などが入っている事もあるが、見つけてシアワセが押し寄せてくるような生き物は希である。
どんな海の生物が出てくるかと言うと、イカ、タコはもちろん、カワハギ、タチウオ、フグ、カマス、シログチ、ウナギ、トビウオ、アジ、サバ、タツノオトシゴなどなど、その海域に生息する魚の稚仔魚である。大きくなった若魚や成魚はまず、交じっている事はないが、出てくる「モンスター」は全てが愛らしいのひと言である。
また、親とは似ても似つかない形態をした稚魚が多く発見されるのも、子どもたちにとっては非常に大きな発見となる。
このチリモンの種類を調べるのも楽しみの一つで、すでに「チリモン図鑑」なる本が発行されていたり、WEBサイト「チリモン図鑑」では様々なチリモンが紹介されているほか、見つけたチリモンの画像を投稿できるようにもなっている。
チリモン探しができる方法c
それほどの盛り上がりを見せるチリモン探しをやってみたいと思われる人もいるはず。もちろん、前述のきしわだ自然博物館の行事などに参加してみるのも楽しいし、実はもう一つ、簡単に入手できる手段がある。
それが、和歌山・湯浅にある釜揚げシラス、ちりめんじゃこなどを販売している「カネ上」さん。こちらでは無判別(いわばチリモン入り)のちりめんじゃこを分けてくれる。現場に行って購入もできるし、通販でもOKだ。
筆者も家族で楽しむために、釣りの帰りに購入してみたが、もう、選別用に大きめのお皿に出しただけで、あちこちにチリモンが見え隠れして、もう興奮がおさまらなかったのを覚えている。
チリモン探しのコツ
このチリモン探しのコツは、とにかく全体を探すのではなく、小分けにして丹念に探す事。たとえば購入した1袋で200gなのだが、これでもかなりの量があり、だいたい1回のイベントで使うと5、6人分となる。家庭で少人数で探す場合は、小皿に入れ分けて、少しずつ探すといい。
モンスターを探して図鑑と照らし合わせながら、稚魚の標本も作製できちゃうチリモン探し。これから始まる夏休みの自由研究にいかが?
<松村計吾/TSURINEWS関西編集部>