大阪湾奥波止の伝統釣法とも言えるエビまき釣り。前回の「エビまき釣り名手のこだわりタックルをのぞき見してみた【大阪北港】」では、道具を中心に解説。新宅功治さんに密着しての第2弾は、実際の釣り方の基本と、春に見られるハネ(フッコ)の食い渋り対策を紹介していきたい。
ポイント作りのコツ
エサの準備までできたら、いよいよ実釣に入る。まず、毎回の釣りで大切なのは自分のポイントを作ること。最初のポイント作りのために持参したシラサエビの半分近くを使用してしまうのがキモだ。
まきエサは水深にもよるが、深ければ底まき器を使って、狙ったタナの1ヒロほど上で底まき器を割る。その時もあまり底で何度もまかず、1、2回のまきエサにとどめておき、以降は上まきをする。浅ければ上まきのみでOKだ。
当日の釣り座の水深は2ヒロ弱と浅く、終始上まきのみで通した。まきエサの基本は潮上に。ポイント作りの場合はシャクに多めに入れてまき、以降はウキ投入ごと、または2回に1回のペースで5、6匹のシラサエビをまく。重要なのは一定のペースで少量ずつまき続けること。
「エサの切れ目がハネとの切れ目」とも言われ、エサを切らしてしまうとハネがすぐに離れてしまう。また、忘れていたからといって、慌てて大量にドカまきするのもよくない。あくまでも少量ずつ一定のペースで!
『誘い』のやり方
「エサが生きているので、ホホ掛けやアゴ掛けの場合は勝手に泳いでくれるけど、そのままジッと待っていたのではアタリは少ない」と新宅さんは言う。そこで必要な作業が「誘い」である。サオ先でイトを張り、チョンと引っ張ってみたり、50cmほどスーッと持ち上げてまた沈めたりと5~10秒に1回は繰り返す。
「エサを引っ張って戻した直後にアタリが出ることが多い」と新宅さんが話すように「誘い」は絶対に必要なのである。
二枚潮でも50cm本命ハネ登場
最初に入った釣り座では、上層の潮が風に押されて左へ、中層以下は左から右へ流れる二枚潮。棒ウキを使用しているのでウキの傾き方で仕掛けがどの方向に入っていくのかがよく分かる。誘いは基本的に潮上へ向けて仕掛けを引っ張る。この時点では底潮が速く、ウキがやや沈み気味になっているが、そのウキがほんの少し押さえ込まれた後、斜めにスーッと入っていった。これがアタリ。
ウキがしっかりと沈んでから大きくアワせると、がっちりと掛かった。横走りしながら浮いてきたのは50cmほどの本命ハネ。
移動しキビレを追加
ここから続くかと思われたが、さらに二枚潮が強くなり、まきエサが分散しすぎて効きにくいと判断して、今度は波止の内向きへ移動した。こちらは潮がほぼ止まっているようで、水深もかなり浅く1ヒロ+矢引きくらい。
再びまきエサを多めにまいてポイントを作る。少し沖から誘いながら手前に寄せてくるように釣っていると、何の前ぶれもなく一瞬でスッとウキが消えた。しつこい引きを見せて上がってきたのはキビレ。キビレもこの釣り場に多い、エビまきターゲットの一角だ。
ただ、キビレやチヌとハネの釣り方は微妙に違う…と新宅さん。ハネの場合、基本となるタナは底から30cmほど上でスタートする。つまりはやや浮き気味。逆にチヌやキビレの場合は底で這わせるくらいのタナを設定する。