全国各地で問題になっている特定外来生物ブラックバス。彼らはどこからきたのか、それを調べる研究が進んでいます。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
ブラックバスは「どこからやってきたか」
北米原産の肉食魚で、いまや全国の広い範囲に定着しているブラックバス。生態系に与える悪影響の大きさから特定外来生物に指定されています。
ブラックバス(提供:PhotoAC)なぜ分布が拡大?
ブラックバスの分布が拡がっている理由は主に人による放流であると推測されていますが、どのように移植されたのかがはっきりしないことが密放流抑止の足枷になっているとされていました。しかし先日、移植過程の一端を明らかにしうる手法が開発され、期待が高まっています。
ハプロタイプ解析
その方法とは「環境DNAを用いたハプロタイプ解析」というもの。詳しい説明はかなり難解なので省きますが、この手法を用いることで、例えば「地理的な距離が離れるほど遺伝的な多様性が大きくなっている場合は、近い距離からの移植が繰り返し行われた」「地理的な距離が離れているのに遺伝的多様性が小さい場合は、一度に大量の、あるいは同じ場所からの複数回の移植が行われた」などの推測が可能となるそうです。
移植の過程は3種3様
我が国では現在、おもにオオクチバス(ラージマウスバス)、コクチバス(スモールマウスバス)、フロリダバスの3種が定着しています。これらについて、いずれもハプロタイプ解析が行われました。
その結果、我が国で最も広く定着しているとみられるオオクチバスは、やはり近距離で多数の移植が行われたとみられるそうです。その逆に、ごく一部の水域でのみ確認されているフロリダバスは、導入地である奈良の池原ダム湖で9つのハプロタイプが、そこから距離のある琵琶湖でそのうち3つのハプロタイプが確認され、他の生息域ではいずれも一つずつであったことから、池原ダム湖から琵琶湖へ直接的かつ大規模な移植がなされたとみられます。
コクチバス(提供:PhotoAC)そして現在その分布拡大が最も問題となっているコクチバスについては、現在たった2つのハプロタイプしか確認されておらず、一方で東北から近畿までの広い範囲で行われた調査にもかかわらずそのほとんどの水域で両方のハプロタイプが検出されています。これはすなわち、大規模かつ複数回にわたる移植が行われたと考えることができます。
密放流が横行していた事実
ブラックバス類は特定外来生物に指定されており、生きたままの輸送が法律で禁止されていますが、釣り人や企業による密放流が横行していると見られています。
ブラックバス釣り(提供:PhotoAC)オオクチバスについてはその拡散様式から、地域によっては自然拡散の可能性も否定できませんが、他の2種についてはその規模や拡散様式から人為的な拡散の可能性が高いです。とくにコクチバスについてはブラックバス類の特定外来生物指定より後に分布が拡散しており、違法行為が当然のように行われていることが示唆されます。
とはいえ、多くの関係者にとってこの結果は「知ってた」以外の何者でもないでしょう。一部のバス釣り人が「ブラックバスの拡散は自然に起こったもので密放流はない」たどと世迷言を言っていますが、現実を直視し、釣り人による違法行為を許さないという姿勢を出していかないと、今後ますますバス釣りは肩身の狭いものとなっていくでしょう。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>


