釣り餌として非常にメジャーですが、その見た目から触ることもできないという人も多いゴカイ。しかし実は「食べると意外と美味しい」です。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
魚に大人気のメジャー餌「ゴカイ」
釣りをする人としない人で知名度が大きく変わる生き物はいくつもありますが、「ゴカイ」はその一つでしょう。環形動物というグループに含まれている生き物で主に水中にすむゴカイは、釣りの餌として圧倒的な人気を誇ります。
ゴカイで釣れたシロギス(提供:PhotoAC)餌としてのゴカイには様々なメリットがあります。生命力が強いので生きたまま持ち運ぶことができる、細長いので適度な大きさに切って使える、派手に動いたり強い匂いを放つことで魚を寄せる…など、他の餌にはない特徴を多く持っています。
何より魚にとって「ふだんから食べているため安心して口にできる」というのは大きいでしょう。魚が今後どれだけ進化しても、ゴカイ類で釣れなくなるということはないのではないかと思います。
人が食べても美味しい種類も
そんなゴカイですが、釣り餌としては大きな「難点」もあります。それは見た目がとてもグロテスクなこと。ミミズに毛が生えてはい回っているような外見に加え、口元には鋭い牙があり、われわれ人に根源的な恐怖を呼び覚まさせます。
しかしそんなゴカイ類、実は人間の食べ物としても利用されることがあります。例えばベトナムやタイなどの東南アジア諸国では、産卵期に一斉に泳ぎ回る大量のゴカイを集めて食べる文化があります。卵と一緒にお好み焼きのように焼いた料理がポピュラーなようです。
ゴカイ入り卵焼き(提供:茸本朗)わが国でも、北日本に生息するエラコという巣を作るタイプのゴカイを、おやつ代わりに食べる文化が残っています。
味はというと、あんなミミズみたいな見た目からは想像がつかないほどうまみと甘みがあり、全体としてはホタテガイのひもやホヤのような味わいです。万人受けというほどではないですが、海産珍味としては十分ありといえます。
食べない方がいい種類は?
ただし、ゴカイ類の中には口にしないほうがよいと考えられるものがいくつかあります。まずは刺激成分を持っているもの。
瀬戸内海でマダイを釣るのにつかわれているタイムシというゴカイは、ちぎると茶褐色の体液を出し、これが肌に触れると激しい肌荒れを起こします。そのようなものを口にするのはやめておいたほうが無難でしょう。
ゴカイ食べたい?食べたくない?(提供:PhotoAC)また、ゴカイ類の中でもイソメ科に属するいくつかの種はネライストキシンという神経毒を持っており、農薬などに利用されています。ヒトへの害については不明ですが、マウスには影響があることが示唆されており、大量に口にするのはやめておいたほうが良いかもしれません。
ちなみに釣り餌で最もポピュラーなアオイソメはイソメとついていますが、グループとしてはゴカイ科になり、ヒトに効果のある毒性分は持っていないと考えられています。しかしシンプルに大変不味いので口にする価値はないでしょう。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>

