生産額が右肩上がりを続ける「養殖漁業」。海外では、われわれ日本人にとってはちょっと意外な魚介類も養殖されています。
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漁業生産を牽引する「養殖魚介」
世界の食糧生産の統計を作成している国際機関「国連食糧農業機関」によると、2024年の世界における水産物生産量は約2億3400万tを記録したそうです。これは前年度と比較すると2.9%の増加になります。
ただこれは「世界中で魚が豊漁」だったというわけではありません。海面漁業や内水面漁業などの「漁船漁業」の生産額は横ばいかやや減少しています。
魚の養殖場(提供:PhotoAC)その分、増加しているのが「養殖漁業」。生産量では前年度から3.8%増となっており、金額ベースではなんと6.3%の増加となっているそうです。
世界の「意外な養殖魚」
これほどまでに養殖生産量が伸びているのは、いったいどんな魚によるのでしょうか。わが国であれば養殖魚といえばマダイ、ブリ、カンパチなどの海水魚が連想されますが、海外では全く別の魚が盛んに養殖されています。
例えば中国では、四大家魚と呼ばれるコイ科のハクレン、コクレン、ソウギョ、アオウオといった4種の淡水魚が古くから養殖されています。それぞれの生態の特徴を組み合わせたシステマチックな手法により、今でも中国の養殖生産量の4割以上をこれらの魚が占めています。
市販されるパンガシウスの切り身(提供:PhotoAC)またベトナムやタイでは、同じく淡水魚の「パンガシウス」の養殖生産量が伸びています。この魚はナマズの一種で、淡白な白身がフィレオフィッシュや白身魚フライの原料として欠かせず、日本にも多数輸入されています。
実は巨大市場の「海藻養殖」
拡大中の養殖市場は、魚類に限りません。実は近年、世界中で「海藻養殖」への注目が高まっています。
例えば韓国では、国の強い後押しもあり、ノリの生産量が大きく増加しています。わが国では最大産地である有明海のノリ不漁の影響もあって、近年は韓国製のノリを非常に多く輸入しています。
寒天(提供:PhotoAC)また、世界的にはオゴノリやキリンサイという、ちょっと聞きなれない海藻の生産量が伸びています。これらの海藻はそのまま食用にされるよりも、食用や工業用の増粘多糖類、あるいは寒天原料として利用されることが多くなっています。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>

