アジやメバルの捕食ターゲットとしてプランクトンが重要な役割を果たす。これらの魚たちのメインベイトはプランクトンであり、その発生のパターンを理解することが釣果に大きな影響を与える。また近年ではベイトフィッシュパターンの減少が指摘されており、代わりにプランクトンパターンを把握することが釣果のカギとなっている。今回は、海にプランクトンが発生しやすい条件について解説したい。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・井上海生)
プランクトン発生の主な条件
プランクトンが豊富に発生するためには、いくつかの条件が整う必要がある。
川からの流入
プランクトンの発生には、川からの栄養豊富な水の流入が重要な役割を果たす。特に河口付近や河川の近くでは、川から流れ込む有機物や栄養素がプランクトンの成長を促進する。川の水流は、プランクトンが集まりやすい場所を作り出し、これが魚の集まるエリアとなる。
川の存在は大きい(提供:TSURINEWSライター・井上海生)潮の要因
潮の流れもプランクトンの発生に大きな影響を与える。特に満潮時と干潮時の潮の変動が、プランクトンを水面近くに集めることがある。
潮流が速い場所や、潮の変動が大きい場所では、プランクトンが効率的に運ばれ、魚がその付近に集まりやすくなる。また、潮の流れが緩やかな場所では、プランクトンが安定して集まり、そこにアジやメバルが集まる傾向が強い。
人為的な富栄養化
都市化が進んだ地域では、排水や農業の影響により水域が富栄養化することがある。富栄養化とは、水中の栄養素(特に窒素やリン)が過剰に供給される現象で、これがプランクトンの爆発的な増殖を引き起こす。
都市周辺の港や湾内などで見られるこの現象は、時として急激にプランクトンの量が増える原因となり、それがアジやメバルのフィーディングゾーン(捕食のための区域)を形成する。
プランクトンにたかるアジ(提供:TSURINEWSライター・井上海生)日射時間と光合成の関係
プランクトンの増殖には光合成が欠かせない。春から夏にかけての日照時間が長くなると、太陽の光を受けてプランクトンの成長が促進される。
特に、春から初夏にかけての季節は、水温が上昇し、光合成が活発になるため、プランクトンが増えやすい時期である。プランクトンの増加は、アジやメバルなどの魚たちの餌場を豊かにし、魚たちが集まりやすくなる。
また、日射時間が長いということは、それだけ水中の光合成が進みやすいということだ。特に表層の植物性プランクトンは、日光を直接受けて活発に増殖し、そのプランクトンを餌にする魚たちも集まりやすくなる。これにより、釣り人にとっても好ましい条件が整う。
天候も重要(提供:TSURINEWSライター・井上海生)常夜灯下の光合成効果
常夜灯下でも光合成は行われるため、夜間においてもプランクトンが増殖する可能性がある。特に漁港や港湾施設周辺では、常夜灯の光が水面近くに届き、プランクトンが集まることがある。これにより、夜間においてもアジやメバルが集まる場所ができ、釣りのチャンスを広げることができる。
夜間の釣りでは、光源がプランクトンの集まる場所を作り出し、それに伴ってアジやメバルが集まるため、釣り人にとっては非常に効果的なタイミングとなる。常夜灯の下でプランクトンが発生し、その後それを捕食する魚が集まるというサイクルは、釣りにおける重要な要素となる。
要素の組み合わせがカギ
プランクトンが発生しやすい条件は、栄養豊富な水質、日光を十分に浴びる環境、適度な水温といった要素が組み合わさることだ。
川からの流入や潮の影響、人為的な富栄養化が大きな要因となり、これらが相互に作用することでプランクトンが豊富に発生し、アジやメバルの食糧源となる。また、日射時間が長くなる春から夏にかけては、プランクトンの増殖がさらに活発になり、釣りのチャンスも増える。
要するに、プランクトンが発生するための理想的な条件は「栄養豊富な水」「日光がたっぷりと注がれる環境」「適度な温暖な気候」の三つが揃うことだ。このような場所を見つけることが、アジやメバルを狙うための大きなカギとなる。目には見えないプランクトンの姿を、条件から逆算して探してみよう。
<井上海生/TSURINEWSライター>


