「報われない釣り」が年に何度かある。そういうものだ。期待をかけて行ったぶん外したり、過酷な条件に泣かされながらのボウズなんかしたり。誰もが経験していることだろう。ザッツ・フィッシング。しかし今回の私の泣かされ方といえば、魚の活性も、気候条件も、自分のうっかりの失敗も重なり辛かった。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター井上海生)
冬の深日港へ
釣行日は11月23日。深日港へと向かった。私の家から深日港は、電車を乗り継いで1時間40分かかる。釣り場まで歩いてそこから釣りの準備をすれば、実質釣り開始まで2時間。なんだかこう言うだけでも「報われないフラグ」が立っているみたいだが、果たして今冬のはじめての深日港は厳しかった。
秋の日はつるべ落とし、と今年に関しては感じている間もなく冬になってしまった感がある。急激な気温低下が原因で、どうにも秋がすっ飛ばされたみたいだ。服装も一気に厚手になった。それにも関わらず、この日の自分ときたら厚着はしてもグローブを忘れたのだから、まったく不注意なものである。日没が思っているより早いので、デイの様子見もかねて、午後2時半にエントリーした。
穴釣りではカサゴだけ
ジグヘッドにイカゲソをつけて、消波ブロックの間にするすると垂らしていく。穴釣りだ。夏にカサゴがたくさん釣れたのが嬉しくて、冬もしばらく継続することにした。冬はカサゴだけじゃない。泉南までくればクジメやアイナメの姿も見られるかもしれない。
この日は妙に雑魚が多かった。夏ほどフグやベラが威張り倒す時期ではないのだが、どうもまだ水が冷たくなりきっていないせいか、雑魚にかなり餌をやられた。結果、穴釣りで釣れたのはカサゴ一尾。
まだこんなものか。しかし日中のロックフィッシュの釣り方はこれだけではない。ボトムワインドに切り替えてみた。都合のいいことに深日港は遠浅の海で、ライトタックルならジグヘッド3gもあれば底が取れる。これでぴょんぴょんとボトムをはねさせていると、何かが反応。でも小さいな。
おなかにハリがかりしたカサゴくん。スレではないかな?おそらくアタックして反転した身体にフッキングしたのだろう。だが辛気臭い穴釣りよりも、オープンに投げてデイカサゴ、これはやはりなかなか面白いし、スッとする。私は何によらずフルキャストするアングラーではないので、爽快感を覚えた。
アジが思わぬ苦戦
まあ、仕方ないさ。まだ挽回のしようはある。ともあれカサゴ2尾は仕留めたのだ。この日は夕方から夜にかけては、アジングの予定できた。エステルラインのスプールにかえて、アジングスタートだ。
が。この秋まで高確率で入っていた「いつもの場所」に、この日はアジが不在だった。あっちこっち歩いてなんとか壁に溜まったアジの群れを見つけ、ここで3尾釣ったが、またしても豆々サイズだ。頼むから、もうちょっとハッキリしたサイズになってくれ!これだと釣れるものも釣れないのだと嘆く。
そのあとちょっとライズが立った。ワームに食わないのでメタルを通したら、2尾カマスが反応した。
寒すぎて撤退
ここまで書いてみても、寒々しい思いがしてくる。5時間半の釣行で10尾に満たないのは、ライトゲームでもそう珍しいことはないだろうが、アジングだけは何とかなる楽観があったので、キツかった。裏切られたという気持ちさえした。
この日ばかりは「潮が悪かった」という言い訳を、年に一回の約束で使わせてもらえないだろうか?潮通しがいい海だとは思うのだが、めりはりがなく、上げも引きもわからないうちに潮止まりになってしまった。先述の通りグローブを忘れたのも致命的だった。寒さで削られる、あるいは蝕まれる。凍える指先から「もうやめろ」という弱気が全身に伝わり、滲み、もはや退くしかなかった。
<井上海生/TSURINEWSライター>
深日港