伊藤さとしのプライムフィッシング。その日その釣り場で最良の釣りを目指す。1か月をメドに釣り方、エサ紹介などを伊藤の実釣を交えて解説する。第2回は埼玉県さいたま市にある武蔵の池での段差の底釣り。厳寒期の食い渋りに威力を発揮するこの釣りを、シーズンイン前に復習を兼ねて今一度おさらいしておこう。2週目は食わせ、タナなどおもに下バリに関することについて考えてみよう。
エサのブレンド
段差の底釣りバラケには欠かせない銘柄・段底についてが前号の話。
では肝心のブレンドは?
「それはタックル図を見てもらえばいいけど、忘れてならないのが食わせのバリエーションだよね。取材では重めの感嘆Ⅱを使ったけど、厳寒期の本食い渋りではそうもいかない。もっと軽い食わせが必要になるだろうし、大きさも無視できないだろうからね」
準備すべき食わせの銘柄は?
「私の場合、重い順に『魚信』↓『感嘆Ⅱ』↓『力玉大粒』のさなぎ粉漬け↓『感嘆』は常に用意してある」
そんなに準備しないとダメなのですか?
「ダメとは言わないけど、より釣果を出したいなら最低でも重中軽の3品は準備したいよね」
使い分けは?
使い分けは要するに魚の活性ですか?
「そういうことになるけど、たとえば低活性イコール軽めの食わせとは限らないのが、面白いところでもあり難しい面でもある。ただしどのような食わせを使おうとも、ハリ抜けしないことが絶対条件。そうでなくてもこの釣りでは〝食わせの置き直し〟のような誘いをかけるのだから、大きめのアクションでも絶対にハリから抜けない食わせが必要だよね」
置き直しですか?
「流れがあって食わせが定位置に止まっていない時に、元の位置に食わせを戻す。このことを通常・置き直しと言うのだけど、この際に竿尻を持ち上げて食わせを底から離すことになるよね。この時に食わせがダレている(極度に軟らかくなるなど)とハリから抜けてしまうでしょ」
ちなみにスタート時の食わせは何を使います?
「もっとも軽い感嘆から始めることが多いね。これで余計な動きが出過ぎたりタナが合っているにも関わらずカラツンが多発するなら食わせをもっと重めにしてみようか的な判断になる。逆に重めから入ってしまうとウキが動かずに情報を何も得られないことになりかねない」
つまり、もっともウキが動かせるであろうセッティング(食わせの銘柄も含めて)から入るわけですね。タナという言葉が出てきましたが、空バリの状態で下バリトントンが基本ですよね?
「基本かどうかはともかく、私の場合はトントンから3cm程度ズラしたタナからスタートすることがほとんどかな。釣り場に関係なくね」
なぜですか?
「下エサを確実に底に着けるイメージかな。トントンだと流れとかでラインが湾曲すると底を切る可能性があるしね」
だったらもっとズラせばどうですか?そのほうがより安心では?
「食いが渋いから段差の底釣りをやっているのにアタリを殺す方向に持っていくのは逆効果でしょう。ハリスを寝かせば寝かせるほど、アタリの出方は緩慢になるし、そもそもスレが多くなってよくないよ」
バランスの場合、流れが出たらズラし気味にしたりしますよね。この釣りでも同じですか?
「それで流れが止められるならね。段差の底釣りは1本バリと同じようなものだから、バランスに比べて流れやすい。それに流れるとバラケと食わせをリンクさせるのが難しくなるよね。当然、アタリも出づらくなるのは通例。だから流れが出てアタリが出せなくなったのなら釣り方を替えたほうがいいよね。」
<週刊へらニュース 伊藤さとし/TSURINEWS編>
武蔵の池