リールはエントリー機種とハイエンド機種で、最大9万円ほどの違いがある。1万円のリールと10万円のリールで何が違うかといえば、いろいろだ。リールを選び方としてよく言われるのが、「この釣りには、これだけのスペックは要らない」というものである。ではライトゲームの目線では、エントリー機種とハイエンド機種で、実釣に露骨に出るスペックの違いは何だろう?
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター井上海生)
ライトゲームのスピニングの必須要件
前提としてスピニングリールの1000番2000番で話を進める。
ライトゲームのスピニングリールの必須要件といえば、軽さと、ドラグ性能だ。タックルの総重量が軽ければ軽いほどアタリが取りやすいので、合わせる竿との相性にもよるが、リールの自重は目安として170gくらいに抑えたい。ドラグ性能は、今のリールは本当に良いので、エントリーモデルでも問題なしと考えてもいいだろう。しかしここは、ハイエンドに持ち替えると、「嘘だろう?」と驚くほど違いが出る部分でもある。
ちなみにリール二大メーカーのエントリーモデルの自重は、実売1万円ほどのライトゲーム番手では175g~190gまで。合格ラインではあるが、190gは少し重いかな。
ハイエンド機種は「違い」を見せつける
筆者は、ごく普通に釣りを楽しむくらいの気持ちならば、エントリーモデルでいいと思う。ロッドと共に、2万円近いものを勧めはしない。というか、ミドルクラスは現在、あまりエントリーモデルと違いが出ないような気がする。あくまで個人の考え方だが。
だが突き詰めるならハイエンドだ。目に見えるばかりの「違い」を見せつけてくる。
軽さ
何が違うか?まずは軽さだ。リールの二大メーカー共に軽量モデルがあるが、エントリーモデルと比べると、最大40gほど軽い。
ドラグ
ドラグも、特にバラシやすいアジを相手にしているとわかるが、ハイエンドはまあバラさない。エントリーと比べると、バラシは半分以下に低減できる。ドラグ機構にはいくらでも繊細な話があるが、簡単に言うと、細かい部分の調整がものすごくいいのだ。特にライトゲームはドラグを出す釣りなので、「出しすぎないこと」に関してハイエンドのドラグ機能は格別である。
巻き感
ハンドルを回したときの「巻き感」は、グリスの粘性やローターの軽さでかわる。こればかりはリールの方向性によってしっとりさせるか、かちっとさせるか、すかすかの軽さを追求するかで異なり、釣り人の好みにもよるが、どれも良い。リーリングが多いメバリングでは巻き感は非常に重要なトコロ。ちなみに私は巻き感も軽ければ軽いほど良いと思う派だ。
見逃せない「ラインローラー」性能
ライトゲームに関して、リールの機構として不可欠なものがある。それは「ラインローラーのベアリング」だ。2024年現在、エントリーモデルには、ラインローラーのベアリングは基本的に入っていない。ラインローラーとは、下の画像のラインがかかる部位である。
ここがシムという樹脂素材か、ベアリングという金属素材かで、ラインの収まりがかわってくる。ラインローラーがベアリングできれいに回ってくれる方が、スプールにラインがきれいに収まり、トラブルが圧倒的に少なくなるのだ。
ただ、エントリーモデルにもラインローラーは後付けできる。パーツも安く、作業もカンタンなのでご安心を。
カスタムでハイエンド性能と同様に?
リールはいじるのも楽しい娯楽品だ。たとえば1万円のリールを買って、2万円ほどかければ、フルベアリングで、軽いハンドルを付けて、ハイエンドに迫るスペックにできるだろう。ただそれでも自重はミドルクラスを抜けないと思うが……。趣味的にいじるのが好きな方には、サブで持つときには面白い廉価品だ。
気を付けたいのは――ハイエンドを触ってしまうと、もう元には戻れないことだ。それくらい違う。ただ、釣りの方向性というものもあり、私はライトゲームに、汎用モデルの最上位機種は、自重の重さでむしろ適さない気がする。そのへんの特徴も理解しながら、エントリーモデルとハイエンドモデルを、ぜひ一度手に持って釣り比べてみてほしい。
<井上海生/TSURINEWSライター>