1年を通じてフグ釣りが成立する東京湾。そんな湾フグで、春から初夏にかけて人気を集めるのがショウサイフグだ。同魚は1年中狙えるものの、この時期限定でオスには食味のいい白子が入るため、これを狙って通うファンも多い。白子も含めて今シーズン状況を確認しようと、4月13日(木)に浦安の吉野屋から釣行した。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース関東版APC・田中義博)
吉野屋でカットウ釣り
舵を握るのは石原一樹船長。この日集まったのは9人。左舷に4人、右舷に5人が並ぶ。私は左舷胴の間に座を構え、7時に出船となった。
ポイントの大貫沖までは1時間10分で到着。「始めてください。水深は10.8mです」とのアナウンスでスタート。カットウ釣りタックル図(提供:週刊つりニュース関東版APC・田中義博)
この日の海象は、北寄りの風が3~5m。満潮が8時ごろ、干潮が16時20分の小潮で、実釣中はずっと下げ潮の時間帯となり、潮変わりのタイミングはない。
船がアンカリングされると、左舷ミヨシから右舷トモ方向へと下げ潮が強めに流れていた。私が使用した仕掛けは、自作のカットウ仕掛けのチラシバリ仕様。船中では、オーソドックスなエサバリ1本バリのカットウ仕掛けを使う人が多かった。
底付近で仕掛けを安定させる
オモリは8号をセット。海底で仕掛けが潮流の影響を受けるか、様子を見てみることに。誘いはエサのエビが海底でピョンと跳ねる動きをイメージして、竿先で小さくチョンと仕掛けを跳ね上げる。その跳ね上げたエサを周りにいるフグにアピールしながらゆっくり着底させるのが、一連の動きだ。
しかし、この日は速い潮流に仕掛けが乗ってしまい、仕掛けがストンと落ちるばかりか海底でも転がってしまい、まったく安定させられない。そこで、オモリを10号に替えて動きを抑制。仕掛けの安定を図った。
それでも潮流が速く、前方へ軽く投げてもすぐに手前に押されて船下に入り込む状態になり、思うように誘いもアタリの見極めもできない時間が続いた。
「基本に忠実」が近道
そんな私を尻目に、潮が払い出す右舷側はもちろん、左舷トモでもポンポンと本命が上がっている。とくに左舷トモの檜垣さん(足立区)は、良型のショウサイフグばかりを続けざまにキャッチ。どんな釣り方をしているのか聞いてみると、「とくにむずかしいことはしていないし、潮が速いなかでもしっかり誘ってアタリを見極めているだけです」とのこと。仕掛けが払い出される席のアドバンテージはあっても、基本に忠実な動きが本命キャッチの近道との答えだった。
自席で出来ることを考える
そこで、この潮流でも自席でどう釣りを組み立てれば基本の誘いが有効に実践できるかを考えてみた。船下だけでは誘うエリアも限定されてしまうため、広範囲を狙うことは必然。仕掛けが手前に寄せられるまでに長いストロークが必要なため、右隣の人に迷惑にならない角度で潮上に遠投。さらに、小さな誘いでは底付近で仕掛けが転がっているだけで、アピール力が弱いと判断。あえて高さを出す大きな誘いに変えて、潮に乗せて大きくカーブフォールさせた。
その結果、自席を支点として仕掛けの動きも大きな扇状に探れるようになり、左隣の人の誘いのスペースを邪魔しない角度の範囲で狙えるようになった。そして、その範囲内で誘いが直線的に効く筋を見つけたら、しっかり仕掛けを海底でステイさせ、アタリを見極めていった。さらに、仕掛けも横に広がるチラシ仕様では潮の抵抗が受けやすいと考え、1本バリに変更。