アマゴやヤマメ、イワナといった渓魚は、エサ釣りでもルアー釣りでも楽しむことができる。では、「最初の1匹が釣りやすい」のは、はたしてどちらだろうか。彼らの生態を考えたうえで、考察していく。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)
渓魚は肉食性
渓流釣りの対象となるアマゴ・ヤマメ・イワナは、川に棲息する生物を好んで捕食する。
この性質を利用して、エサ釣りでは川虫類や昆虫類・イクラを使用し、ルアーでは小魚や落下昆虫を模したもののほか、川虫が羽化する最中の動きを再現したとされるスピナー等を使用する。
中には「フェザージグ」という、フライとルアーの中間と呼べるものもある。
それではまず、渓魚が日頃どんなものを食べているかを紹介しよう。
川虫
川虫というのは、カゲロウやカワゲラといった昆虫の幼虫で、トンボのヤゴのように幼虫期を川の中で過ごすものが多い。
渓流釣りでは、キンパクやヒラタ、クロカワムシにオニチョロ等と呼ばれているものをエサとして使用する。羽化時期のあとは、成虫であるカゲロウやカワゲラを現地で捕獲して使用するのもおもしろい。
落下昆虫や魚類
川虫が減り昆虫が増える時期になると、頭上(樹上)から落下してくるバッタやカナブン、セミ、果てはハチといった昆虫を捕食する。
口に入るサイズの小魚も活発に食べるし、イクラをはじめとした魚卵も食べる。
大型魚の食性
より大型になるヤマメやイワナは、ときにトカゲやカエル、小型のヘビまで襲って食べるというのだから驚きだ。実際に大型のイワナの胃袋からヘビやネズミが出てきたという話は、渓流師の間では有名かもしれない。
エサ釣りのメリット
では、エサ釣りで渓魚を狙う具体的なメリットを挙げてみたい。
警戒されにくい
渓魚たちが日常的に、もっともよく食べているのが川虫の仲間。そのため、川虫をメインのエサとして使用するエサ釣りは、渓魚たちがもっとも警戒し難い釣りといえる。
小場所が狙いやすい
小さな落ち込み、川幅が狭いポイントでも、渓魚たちは流れてくるエサや落ちてくるエサに敏感に反応する。
ときに「こんな小場所で!?」と思えるような所でもヒットすることがあるので、みえている範囲すべてがポイントになりえる。
コスト面が優秀
エサ釣りで使用する小物は針、オモリ、目印、糸など多岐にわたるが、1つ1つが数百円と安価なため、トータルコストは意外と安い。
また、仕掛けが切れたときにすぐに同じものを用意できるのも強みだ。
数釣り可能
うまく流れを読んで、そこへ仕掛けを流せば、場荒れさせずに手前から1匹ずつ釣っていくことができるので、1か所で数を稼ぐことができる。
エサ釣りのデメリット
逆にエサ釣りの場合に、どんなデメリットがあるのかを考えてみたい。
装備がやや大がかり
延べ竿は長く嵩張り、きちんと片付けないと車に乗って移動できないし、エサ箱は常に首から下げた状態となる。川虫を捕獲するなら川虫用の網もいるし、釣行前に仕掛けをつくるのも手間と時間がかかる。
エサが採れないと悲惨
そもそも川虫をエサとして使用する場合、エサ採りの時間がそれなりに必要なので、すぐに釣り場に行けないのがネックだ。
また、川虫たちの羽化時期に当たる4月と、第二の羽化時期の6月以降は、川虫がほとんど採れなくなるため、釣具屋でミミズやブドウムシ等のエサを買う機会が増えてしまう。数百円とはいえランニングコストがかかる。
届かないポイントがある
川によっては、川幅や立ち込める水深の関係で、目の前の好ポイントに仕掛けが届かないことが多々ある。ポイントによってはその場所をスルーしなければならないのがつらい。
小型が口を使いやすい
基本的にアマゴは、力関係が上位となる大型が、その流れの最高のポイントに着くことが多い。うまく流せば、最初に大型アマゴがヒットする。
しかし、流し方を間違えるとさきに小型ばかりが口を使ってしまい、良型が食う前に場が荒れてしまう危険性がある。