シーバスがもっとも簡単に釣れるのは、なんといっても春だろう。この時期のシーバスはバチと呼ばれる多毛類を主に捕食する。マッチ・ザ・ベイト。このバチを模したルアーを投げると反応する。実はLT化も可能で、愉快な釣りだ。身近な大物、シーバスをバチ抜けパターンで釣る術を紹介しよう。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター井上海生)
春のシーバス定番パターン「バチ抜け」
まずは、「バチ抜け」とは何か?
バチとは、ゴカイやイソメといった多毛類のことだ。多毛類の産卵時期は主に春先で、この時期になると、夜になると海面に浮上してきて常夜灯や月の光によって光合成した植物性プランクトンを荒食いする。
そしてそのような、遊泳力の低いバチを捕食するのが、この時期のシーバスなのだ。
春のシーバスフィッシングの常套として、バチパターンは非常に有名である。ポイントは河川、河口部、常夜灯下、サーフなど。海底が砂地の場所では、バチが抜けやすい。条件としては、植物性プランクトンが光合成によって増殖しやすい、常夜灯の光が当たる場所である。月回りとしては、圧倒的に満月回りが望ましい。
バチ抜けは、本州では東からスタートし、徐々に西へとおりてくる。筆者のフィールドの大阪湾奥では、例年4月頃から始まる。
産卵で体力落ちたシーバスが食う
シーバスはもっとちゃんとした小魚的なベイトを食べるのではないか?と考える人も多いかもしれない。実際そうである。バチパターンと関係なく、デカいシーバスほどこの時期もシンキングペンシルに反応しやすいらしい。
しかし、シーバスがバチを追うことにも、理由がある。この時期は、シーバスのアフター・スポーニングなのだ。産卵の後。つまり、シーバスに体力がない。バチパターンで食ってくるのは、主にはそのように、産卵によって体力を失った個体である。
よって、がちがちのシーバスアングラーによると、バチパターンのこの魚はあまり引きがよくないという。60cmに満たないセイゴサイズが多いのも特徴的だ。しかし、何より釣り人口の増加などによって年々反応しにくくなっているシーバスを、確実にマッチ・ザ・ベイトで絞り込み、反応させやすい時期といえる。数が出やすく、シーバス入門にはぴったりなのだ。
ゲストボラはどうかわす?
バチは魚にとって、あまりに食いやすい対象に違いない。そして、まあ人間が想像するべくもないが、釣りエサとしてもよく使われるのだから、味もそんなに悪くないのだろう……。ということで、バチパターン対応のルアーを放っていると、実にいろんな魚が食ってくる。
特に汽水域で多いのが、ボラである。シーバスよりよっぽど食ってくる日もある。そして異常に引く魚でもあり、また独特の臭いがするため、何度も掛かると正直迷惑。では、そのボラをどうかわすべきだろうか?
筆者もこれは研究途上なのだが、プラグに反応するボラは、ほとんどリアフックに食ってきているように思う。通常のフィッシュイーターは本能的にエサ(ルアー)の頭を押さえてくるのだが、ボラはそんなこともないようだ。そこで試してみてほしいのが、ルアーのリアフックを外してしまうことである。ボラのヒット数を減らせるかもしれない。ただ、これでは食うのが下手なシーバスの乗せ数も減るかもしれないのだが……。