酒の肴や惣菜魚として定番的な人気を誇るホッケ。近年はかつてのように大漁には獲れなくなり、多くを外国からの輸入に頼ってきましたが、今年は久方ぶりの豊漁に湧いているようです。
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北海道でホッケが大漁
太平洋に面し、なだらかな海岸線が伸びる北海道・苫小牧市。ここでは毎年春~秋にホッケ漁が行われるのですが、今年は記録的な豊漁となっているといいます。
漁期となった4月1日から7月7日までの水揚げ量は、前年対比なんと9.7倍となる155t。3カ月強で、ここ数年の平均年間水揚げ量をも上回る形となっているそうです。
苫小牧漁業協同組合は「ここ20年なかったような大漁」と語り、ホッケはこれから脂が乗り、さらに美味しくなってくるのでお勧めしたいと言います。(『ホッケ記録的大漁 3カ月で近年年間水揚げ量上回る 苫小牧漁協「脂乗りおいしく」』苫小牧民報 2021.7.9)
ここ数年は不漁だった
工業港が有名な苫小牧ですが、実は漁業も大変盛んな土地。日本一の漁獲を誇るホッキガイをはじめ、秋サケ、スケトウダラ、カレイなどがメインの漁獲物となっています。
一方、ホッケはもとよりさほど盛んに獲られていたわけではなく、各種メイン漁獲物の隙間を埋めるようにほそぼそと漁獲されていました。さらにホッケ沿岸刺し網漁は近年不漁が続いており、2020年度は66t、19年度はたったの37tにとどまっていました。
しかし今年は1日あたり10tを超える漁獲がある日もあったといいます。豊漁であるのに加え、6月中頃からはサイズも良くなっており、はじめは低かった魚価も徐々に上がってきています。ここ数年、秋から冬のサケやスケトウダラが不振続きとなっており、漁獲の柱となりうる魚が増えるのはありがたいことと漁協は語っています。
ホッケの「刺身」がメジャーに
そんなホッケですが、皆さんはホッケの料理といえばどのようなものを思い浮かべるでしょうか。おそらく多くの人は「開き」と言うのではないかと思います。
ホッケの開きは今でも惣菜や酒の肴としてメジャーな存在です。しかし現在ではスーパーのホッケ開きは、主にロシアから輸入した「縞ほっけ」で造ったものがほとんど。国産ホッケは漁獲量の減少などで価格が上がっており、そのため近年は単価が高くできる「生食」で提供される機会が増えているのです。
ホッケは大変鮮度落ちの早い魚で、かつては生食ができるのは漁獲地周辺くらいでした。しかし近年の流通技術の発達により、鮮度を保ったまま首都圏などにも出回るようになり、広い場所で刺身や寿司ネタとして食べることが可能になりました。
ホッケ自体は白身魚ですが、その刺身はニシンやイワシにもにた青魚の風味があり、脂たっぷりで非常に美味です。鮮魚店で「生食用」として売られているホッケがあれば、ぜひ試してみてください。今年はチャンスだと思います!
<脇本 哲朗/サカナ研究所>