ルアーロッドにはサオの仕様を示すアルファベット表記がいろいろある。このへんは本当に複雑である。今回はロッドの調子などの関連用語を解説しよう。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター井上海生)
各部位の呼称の確認
サオの仕様、剛柔の味付けなどを示す、アルファベット表記される用語を見ていく前に、まずは基本的なところ、3パートに分かれるロッドの部位の呼称について確認したい。
ティップ
サオ先のこと。大体トップガイドから、第二、第三ガイドくらいまでのことを言う。
ベリー
サオの胴のこと。サオの真ん中部分。この部分の剛柔などが、魚とのやり取りに大きく影響する。釣り物によってはベリーで魚を乗せ掛けこともあれば、魚の動きを止め、サオの制御内に置くという役割を負うこともある。
バット
サオの根元の部位のこと。強い引きをする魚の制動や、根魚のポンピング、また、抜き上げなどに関して重要なところとなる。ショアジギングやエギングなど、重いルアーを大きく動かす釣りでは、この部位の硬さが重要となる。
ロッドの調子についての用語
では、次にアルファベット表記されることも多いロッドの「調子」について見ていこう。
と、その前に「ロッドの調子とは何か」という説明を。「調子」とはルアーロッドの世界では「テーパー」とも呼ばれるもので、サオがどこで曲がるか、どんな曲がり方をするかを表すものである。ロッドの調子の理解は釣り(各釣り物の性質とのマッチング)においてかなり大事なので、しっかりと頭に入れたい。
EX.F(エクストラファースト)
いわゆる「超先調子」といわれるテーパーだ。ロッドの先端くらいしか曲がらない(負荷に応じてベリー近くまで曲がり込むこともある)。握ってみるとサオにブレがなく、しゃきっとした感触がある。各メーカーによって微妙に異なるが、大体、ロッドのグリップ側から8:2くらいの割合で曲がる調子となる。
アジングロッドに多い調子で、その硬さゆえに反響感度が高く、またフッキングレスポンスもいいという長所を持つ反面、実際、持った感じ「棒」のようなロッドでキャストするには慣れが必要で、またサオが曲がり込みにくいため魚をバラしやすいという短所もある。
F(ファースト)
「先調子」のサオ、これがファーストテーパーだ。ロッドのグリップ側からおよそ7:3程度で曲がり込む。メーカーの味付けにもよるが、ほとんどEX.Fと感触は変わらないものの、若干、キャストのしやすさ、そして魚のバラしにくさに安定感がある。
R(レギュラー)
ロッドの全体、5:5程度で曲がりこむサオ。「胴調子」「本調子」とも呼ばれるもので、キャスティングや巻物のリーリングなどが、おそらくはほとんどの釣り人にとってもっとも自然にできる。筆者の印象ではあるが、傾向として、従来メバリングで長年の主流であった「スローテーパー」も、だんだんとこちらの調子に近くなっているように思われる。
RF(レギュラーファースト)
ファーストテーパーとレギュラーテーパーの間を取ったような調子のサオ。乗せ掛けのアジング、ダートアクションやプラッギングメインのメバルチューブラーのサオに多い。
S(スロー)
ロッドが全体的に軟らかく曲がる調子。感覚的には「ペナンペナン」という感じのスローテーパーのサオで、ルアーロッドではメバルのソリッド、またトラウトロッドによくある。
P(パラボリックス)
スローテーパーに似た調子のロッドで、ロッド全体が緩やかに曲がる。どこか局所的に曲がりこむというよりも、魚の引きに追従して全体が平均的に曲がりこむという特徴を持つ。