伊藤さとしのプライムフィッシング。テーマは「秋の浅ダナ両ダンゴ」。今回は埼玉県狭山市にある「智光山公園前山の池」での実釣編。
(アイキャッチ画像提供:週刊へらニュース 伊藤さとし)
前山の池でヘラブナ釣り
盛期に比べて魚の活性は若干劣るものの、まだまだ共エサで食わせられる。秋はタナを釣れが定説だが、こと管理池に関しては通年浅ダナで通用する。上層にいる魚をいかにダンゴで食わせるか考えてみよう。
9月29日(火)、6時30分に到着し北岸・くぬぎ釣り座の25番付近に座る。特作伊吹8尺竿を継ぎ、タナ50cm前後を両ダンゴで狙う。タックルとエサは下図。
エサの芯を食わせる
パターンAのブレンドでスタート。打ち出してすぐに小雨が降ってきたがすぐにやみ、徐々に青空が見え始めた。それとともにウキの動きもよくなり、ナジミが入れにくくなる。
「それこそがっつり練り込めばタナまで入れられるけど、それではカラツンが目に見えているでしょう。できればあまり麸をつぶさずに対応したいよね」
盛期(夏)の両ダンゴと今のシーズンとでは、このへんが対応の差となって現れる。硬かろうがネバリが出過ぎていようが魚にヤル気さえあれば、”エサ玉”をちゃんと削ってくれる。ところが水温が下がり始めたこの時期は、水面直下に魚は湧いてもエサの芯にアタックする量が減る。つまり魚任せの釣りが効きにくく、こちらからエサを食いごろにしてやらないと、ヒット率にはなかなか結び付かない。
「そうして徐々にエサの芯にアタックしてこなくなり、やがて両ダンゴシーズンが終了する。今はその端境期だから、アタリはあっても乗らないことが多くなるよね」
活性に応じた調整を
ここでブレンドパターンをAタイプから、やや重さがありネバリもあるタイプBにシフトする。
「こっちのほうが断然ナジミを入れやすいね。少し前から晴れて暖かくなってきたせいもあるんだろうね」
秋は日並みではなく時間単位で活性が変化すると言われる。朝のうちは冷え込んで口を使わなかったヘラも、気温が上昇し始めると夏のような動きを見せる。
「つまりそれだけ小まめな調整が必要になるってことなんじゃない」
ちなみにアタリは千差万別だ。着水と同時に引ったくるかと思えば、ナジみきってのツン、または揉まれに揉まれて、そのまま食い上げてくるなどさまざまだ。
「アタリがパターン化してくれば釣りも簡単になるのだろうけど、いる魚の活性がマチマチだから、どうしてもいろいろなアタリが出るよね。大きさ、強さもまちまちだから小さなアタリにも反応するためにも集中力は切らせないよね」
気温変化でタナも変化
なお現状では宙釣りのしかもタナは浅ければ浅いほど釣りやすい状況下ではあるが、今後朝晩の冷え込みが増せば、水温低下に伴ってタナも深めにシフトするだろう。
「日中はセミカッツケで釣れても、朝はウキ下1m以上でないと触りが出なかったりもするよね。浅ダナだからウキ下は1mなどと固定概念を持たずに、タナ規定がない池なのだからさまざまなタナを探るべきだろうね」
解説をしつつ”流す程度”での釣りではあったが、ブレンドをチェンジしてからはほぼ入れアタリを楽しんだ伊藤。環境もよく時に上空を飛行する戦闘機を眺める。このミスマッチさえも前山の池の特徴と言ってもいいだろう。
釣り場は完全禁煙なので、非喫煙者や子ども連れでも安心して楽しめる。弁当もあるので一日のんびり楽しむもよし。智光山公園の中でのウォーキングもお勧めだ。
次回も「浅ダナ両ダンゴ」です。
<週刊へらニュース版 APC・伊藤さとし/TSURINEWS編>