魚を釣り上げた後、ハリから外すのに、子供たちはポーンと竿を地面に置いて魚をつかみにいく。しかし、ちょっと待った!実は竿を地面に置くのはタブーだ。その理由を解説しよう。
(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS関西編集部・松村計吾)
初心者にありがちなミス
船釣りなどスペースが狭い釣りは別にして、波止釣りなどスペースがある場所での釣りをしていると、特に子供たちは釣り上げた魚に夢中になって、竿を地面に置いてしまう。そんなシーンをよく見かける。子供に限らず、ビギナーの皆さんも振り返ってみればそんな経験ありませんか?
一見、竿を波止の上などに置いても、そこまで気にする事はないのでは?と思うかもしれないが、竿を地面に置く事による弊害はけっこうある。今回はそんな弊害と、竿を地面に置かない方法を紹介したい。
地面は固く竿に傷が付く
これは容易に分かる話だが、竿を地面に置くと固い地面との接触面で竿に傷が付く。これは竿を地面に置く事の一番分かりやすいデメリットだろう。特に魚を釣り上げた後に竿を波止に置いて魚をハリから外しに行くと、竿の周りをウロウロする事にもなるし、仕掛けに掛かった魚に集中するあまり、竿を引きずってしまう事だってある。
竿の周りをウロウロすると間違って竿を踏んでしまう事もある。一見、平坦に見える波止もよく見れば、固くてザラザラしたコンクリートである。そんな上で竿を引きずれば竿に傷が付くのは明らかだ。
他人に踏まれるかも
波止は誰もが自由にウロウロしている釣り場だ。全員が足元を注視しながら移動している訳ではない。波止の上に竿を寝かせていると、移動する他の人に踏まれてしまう可能性もある。
以前、筆者が一緒に釣りをしていた人が、エギングでアオリイカを釣った後に、一瞬だけ竿を波止上に置いてイカを外してクーラーへ。その一瞬に、作業をしにきた職漁の方が軽トラで船の前へ。竿が確認できずにそのままタイヤの下になったのを目撃した。タイミングもあるので、一瞬とは言え竿を地面に置いてはいけない例となった。
砂が継ぎ目に入る
波止もそうだが、もっともタブーなのが、サーフなど砂の多い場所での竿置きだ。砂は柔らかいので大丈夫?まったくそうではない。傷は付かないかもしれないが、この場合の難点は砂そのものである。
たとえば振り出し竿で、継ぎ目に砂が入り込んでしまったら、砂を取り除くのが非常に困難になるのをご存じだろうか。サラッとした小さな粒の砂であっても、それは同じ。
継ぎ目に砂が入ってしまったら、竿を伸ばす時や継ぐ時に表面に付いた砂によってかなり傷が付く。
たいていは砂が入り込んでしまうとジャリッと音がして、最後まで竿が伸びなかったり、継げなかったり。無理に伸ばそうとするとガリガリと傷の入った部分があらわになる。そうして取り返しのつかない傷が入ってしまう。
リールへの傷や砂の付着も
竿だけではない。竿を地面に置くというのは竿に付いているリールも地面と接する事になる。リールも固い地面で傷が付く。それがリールのスプールだと大変だ。スプールの端は糸が常に接する部分であり、そこが傷付いたり欠けたりすると当然、道糸にも傷が付き、釣りの最中に道糸が切れてしまう事態にも。
また、リールにとってもっとも厄介なのが砂の付着だ。リールの中身はギアで、円滑に回転するようにグリスやオイルも使われている。砂がリールの内部に入り込むと、ギアを損傷する事もあり、グリスなどに付いて除去するのが困難だ。除去するには完全に分解して洗い直して……という、かなりマニアックで面倒くさい作業を強いられる。