水族館で人気のチンアナゴ。かわいい見た目は想像つくけど、生態まで知っている人は少ないかもしれません。新型コロナウイルスによるまさかの影響も含めて紹介していきます。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
チンアナゴは本州にも生息
人気者のチンアナゴは、ウナギ目アナゴ科に属する海水魚で、インド洋から西太平洋の熱帯域に生息してます。実は日本でも小笠原諸島、静岡県富戸、高知県柏島、屋久島、琉球列島などにも生息しており、砂浜の海底を好みます。
なんとなく日本にはいないようなイメージのチンアナゴですが、本州でも見られるのはあまり知られていないかもしれません。
トンネル掘りの名手
さらにチンアナゴの大きな特徴と言えば、サカナなのに泳ぐ姿はあまり見せず、まるで植物のように地面からニョキっと生えたような様子でしょう。
砂浜の海底で気に入った場所があると尻尾を使ってまるでドリルのように砂を掘り進め、一気に砂の中に潜って巣穴を作ります。この時、掘り進めると同時に体から粘液を出し、巣穴を固めてしっかりとしたトンネルを作っています。
自分の体長よりも長い穴を作ることで外敵が近付くとスっと身を隠すことができ、シェルターのような役割にもなっています。
名前の由来
チンアナゴの「チン」とは何でしょう。少し変わっているからといって「珍」アナゴというわけではありません。これはチンアナゴの顔が狆(ちん)という犬に似ていることに由来しています。
また、チンアナゴの体色は白く、体全体に多数の細かい黒点があります。また、えらぶたと肛門、その間の5か所に大きな黒い斑紋があること、砂底から伸びている姿が庭で育つ草木に似ていることから、英名では「spotted garden eel(スポテッド ガーデン イール)」と呼ばれています。
似ているサカナたち
水族館で展示されているチンアナゴたちを見ると、同じようなルックスで色の違うサカナがいくつか見られると思います。あまりサカナに興味がない人はひとまとめに「チンアナゴ」と呼んでしまうかもしれませんが、もちろん彼らは別種です。
水族館でチンアナゴとともによく展示されているサカナは2種類います。1種目がオレンジで縞(しま)模様があるサカナが「ニシキアナゴ」、2種目が白色でヒレがひらひらしているのが特徴的な「ホワイト スポテッド ガーデン イール」です。
実はチンアナゴは群れを作るサカナです。そのため、展示されている水槽の中を見ると種類ごとにまとまっている姿を観察できると思います。「あーこのあたりはこの子たちのスペースなんだー」と言う目線で見てみると面白いかもしれません。
みんな同じ方を向く理由
チンアナゴたちは、水中を漂っている「動物性プランクトン」を主食としています。大きく特徴的な目でキョロキョロとよーく周りを見回し、流れてくるプランクトンを見つけると勢いよく食べつきます。
チンアナゴたちが砂から顔を出しているのは実はエサであるプランクトンが流れてくるのを待っているため。そのため、チンアナゴたちはみんな決まって水の流れてくる方向を向いています。