暖冬の影響で価格が高騰するサカナ3選 フグ大発生でアジの漁獲が減少?

暖冬の影響で価格が高騰するサカナ3選 フグ大発生でアジの漁獲が減少?

記録的な暖冬が続き、それに伴う様々な現象が報告されています。我々の食べるサカナにも、その影響を受けるものはあるのでしょうか。

(アイキャッチ画像出展:PhotoAC)

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その他 サカナ研究所

暖冬で漁獲が減少するサカナ

記録的な暖冬だったと言われる2019年~2020年の冬。降雪が少なすぎてスキー場がほとんど営業できなかった、野菜が豊作過ぎて価格が大幅に下がったなど、身近なところにも様々な形で影響が出ています。この暖冬も地球温暖化の影響であると考えられており、早急な対策が求められるところです。

さて、当サカナ研究所では、もっとも気になるのはやはり魚に関する影響。暖冬や地球温暖化によって漁獲高が減少し、価格が高騰してしまうような魚があると困ってしまいます。

実際、暖冬のときは様々な理由で漁獲が減少するサカナがあります。暖冬の年は特に沿岸部における海水温が上昇するため、気温の低下に伴って本来接岸するべき魚がしなくなったり、網に入る魚の種類が変わったりすることがあるのです。

しかしそれだけではなく、もっと意外な理由で暖冬が漁獲高の減少につながるサカナも存在します。

日本海寒ブリ:時化ないと水揚げ減る?

暖冬の影響で価格が高騰するサカナ3選 フグ大発生でアジの漁獲が減少?脂の乗った寒ブリ(提供:PhoteAC)

氷見の寒ブリなどのブランドで知られる日本海のブリ。富山湾から佐渡島にかけて水揚げが多く、冬の日本海を代表する味覚として知られています。しかしこの寒ブリ、実は暖冬の年は不漁になりやすいことが知られています。

冬になると、日本海沿岸では北西の季節風が強く吹き、連日時化が続きます。理由ははっきりしていませんが、時化の前後はブリをはじめとした多くの魚の活動が活発になり、盛んに泳ぎ回ることが知られています。そのため網に入る数も多くなり、漁獲が増えるのです。

しかし暖冬の年は、大陸と海上の気温の差が小さくなる結果、季節風が弱くなり、時化が減ります。その結果、ブリの動きが鈍くなり、漁獲が減ってしまうと言われているのです。(『新潟県水海研だより』第16号,2007年3月)

釣り人や漁師を困らせる冬の日本海の時化ですが、少なくても悪影響が出てしまうのですね。

サンマ:今年もまたまた不漁?

暖冬の影響で価格が高騰するサカナ3選 フグ大発生でアジの漁獲が減少?今年もサンマは高級魚かも(提供:PhoteAC)

ここ数年不漁が続き、すっかり庶民の味ではなくなってしまったサンマ。この傾向はしばらく続く可能性が高いと予想されます。というのも、サンマが獲れなくなった理由のひとつは温暖化であると考えられているからです。

サンマは、夏は北大西洋を北上して北洋で餌をとり、秋になると産卵のために再び南下します。このとき、冷水を好む彼らは、通常であれば沖合よりも海水温が低い岸寄りを通って南下していきます。その結果、日本の経済水域内に入ってきてくれるため、日本の漁師がほぼ独占的に獲ることができていました。

しかし温暖化の影響によって岸寄りの海水温が下がらないと、回遊ルートがより沖合に変わってしまい、サンマたちは日本の経済水域を通過しなくなってしまいます。そのため、公海上での漁が可能となってしまい、結果として日本で水揚げされる量が減ってしまうのです。(『NHK解説委員室』2017年9月7日「サンマ不漁 原因と対策」)

秋の味覚であるサンマの不漁に、暖冬は直接関わってるわけではありませんが、温暖化が根源の問題となっているという点は同じです。暖冬傾向が続いている現状を考えれば、この秋もサンマの漁獲が上向く可能性は高くないのではないでしょうか。

次のページで「関アジ」「関サバ」への影響を解説