厳寒期に朝からダンゴを打ち返したが、クロダイからのアタリがないまま納竿時間を迎えたなんて経験はないだろうか。しかし近年、この時期に三重県の鳥羽エリア、五ケ所湾、的矢湾などで人気というか定番になってきているのが「カキチヌ(カキエサ釣法)」だ。
カキ棚の真横にカセを設置したり真上にコンパネを敷いたりしたポイントから、サシエのカキを落とし込んでクロダイを狙っていき、ヒットすれば大型の確率も高い魅力的な釣法でもある。そこで今回はカキチヌの入門編を紹介してみたい。
マキエとエサの落とし込み方法
さて実釣だが、早朝にポイントへ着いたらまずマキエをまいていくが、潮流が速いポイントなら必ず潮上からまいていくようにしたい。
マキエが釣り座から遠く離れた場所まで流されると、せっかくのマキエ効果が薄れてしまう。
潮流を把握して、位置を考えながらマキエをしよう。
マキエはカキのクラッシュをスコップなどで2~3杯まき、そのマキエが着底するかどうかぐらいのタイミングでサシエを落とし込む。
クロダイがいれば即反応することも多いので着底間際から穂先に集中するが、落とし込み方にもポイントがある。
あまり最初からテンションをかけて落とし込むと、カキの身が軟らかいので着底までに外れてしまう場合もある。
途中までラインにテンションをかけず落とし込み、底上1ヒロ(1.5mほど)ぐらいからテンションをかけ、サシエの重みを感じながら底まで落とし込む。
クロダイの誘い方
クロダイは上から落ちてくる物に反応するので、活性が高ければ結構上からアタってくることもあるので、落とし込んでいる途中も注意が必要だ。
着底してアタリがなければ、ゆっくり誘い上げてからまた着底させて待つ。
この動作を繰り返すのだが、釣り始めはあまりしつこくせず、ある程度のスパンで繰り返していきたい。
その間にもマキエはまくが、アタリが頻繁に出ている場合は少しずつコンスタントにまくようにしてクロダイを寄せ続けよう。
メリハリのあるマキエワークで時合を逃さない
いくらチャンスがあるとはいえ、やはりシーズンは厳寒期。
クロダイの活性が高くなるのを待つことが多くなり、チャンスは朝一よりは昼から、または夕方が多い。
しかし、アタリがないからといっても、マキエを怠ると到来すべき時合いを逃してしまうこともある。
やたらとマキエをまいても仕方がないので、メリハリのあるマキエワークを心がけたい。
例えば、コンスタントにまいていたマキエをやめたり、一気に大量にまいてから場を休ませてみたりと、目先を変えていくのも釣果につながることが多い。
ダンゴの併用も
ダンゴの効果も高い。
やはり魚を寄せないと釣りが成立しないので、アタリが多くあればいいが、アタリが少なければダンゴの投入を併用していくこともお勧めしたい。
この場合だが、カキのむき身を作るときに切り取った貝柱より下の部分をダンゴへ混ぜ込むようにする。
ダンゴにもカキの匂いや成分を染み込ませれば効果は絶大だ。
フグがアタリだしたらクロダイの期待大
さあ、いよいよ時合いの到来。
いきなりクロダイがアタってくることもあるが、やはり何かしら変化を感じ取っていくことも必要だ。
これまでの経験から、何もいなかった海中にエサ取りが寄りだし、アタリか頻繁に出るようになるとチャンス到来。
この時期のエサ取りはフグ、ウミタナゴ、カレイなどだが、一番多いのはやはりフグだろう。
ダンゴ釣りの場合はボラの寄りが本命ヒットのキーワードにもなってくるが、カキチヌの場合はフグがキーワードになる。
フグが頻繁にアタりだしたら期待大だ。
エサ取りのアタリだが、やはり口が小さいのでカツカツとしたアタリが多く、ストロークも短く細かなアタリが続く。
しかし、クロダイの場合は力強くてストロークの長いアタリが多い。
アタリの取り方がよく分からないという人も多いようだが、ダンゴ釣りの場合はのみ込ませてからしっかり掛けていくイメージで、大きなアタリでアワせていく。
カキチヌの場合、クロダイがエサを突いて一気に身の部分を吸い込んでいくので、エサが口の中にある時にアワせていかないと、ハリがすっぽ抜けてしまう。
カキは身が軟らかく簡単にハリが抜けてしまうので、タイミングを見計らって積極的に掛けていこう。
しっかりと大きくアワせてフッキングしないとハリが歯に引っ掛かってしまい、やり取りの途中で外れることもある。
アワセのタイミングは人によっても違うが、私の場合は前アタリからの穂先がフワフワするアタリを見て、その中で一番長いストロークのアタリで迷わずアワせるようにしている。
穂先にテンションをかけながら待ち、アタリが出てもその位置をキープしていく。
むき身の場合は送り込むのもいいが、殻付きカキの場合は穂先の位置をキープ。
アタリを明確に導き出して積極的に掛けていこう。
魚を掛けたらやり取りのスタートとなるが、周りは障害物だらけなので、先手を取られてロープに巻かれたらラインブレイクでジ・エンドなので、少し強引なぐらいで上げていく。
魚に先手を取られることなくやり取りして、スムーズにランディングしよう。
Lダンゴ式釣法
三重県の五ケ所湾ではノーマルなカキチヌ釣法だが、私は鳥羽エリアではマキエはダンゴをメーンに使用して、カキのむき身をサシエにした方法でも釣っている。
まずダンゴにカキのむき身や貝柱などを混ぜ込み、これを打ち込んでいきながらサシエはカキのむき身のみで攻めていくようにする。
カキのむき身は非常に軟らかいので、仕掛けをLダンゴ式(着底した時にミチイト・ダンゴ・サシエの並びがL型)にしてアタリを待つ。
カキのむき身の場合、クロダイは一気に吸い込むので、大きなアタリが多くて分かりやすいだろう。
最後に
ここまでいろいろ解説してきたが、カキチヌでの一連の流れはこのような感じ。
しかし、やはり自然の魚が相手。
日によってはムラもあり、真冬の厳しい釣りを強いられることもある。
魚も何かしら捕食しており、カキ棚に居着いているクロダイはカキを捕食している場合も多く、真冬でも非常にパワフルで、魚体もきれいで丸々とした立派なクロダイが多く感じられる。
寒いからと家の中に閉じこもっていてもチャンスは到来しない。
今年の厳寒期はカキチヌでクロダイをゲットしよう。
<橋本直/TSURINEWS編>