危険な水難事故から釣り人の身を守ってくれるライフジャケット。しかしそんな便利な道具も、きちんとメンテナンスしておかなければ、まさかの事態に正しく作動しません。今回はインフレータブル(膨張式)ライフジャケットの手入れについてお伝えします。
(アイキャッチ画像撮影:週刊つりニュース関東版編集部 佐藤理)
ライフジャケットの着用が義務化
釣り船やプレジャーボートなどの小型船舶乗船者に対し、国土交通省が関係法令を改正。平成30年2月~ライフジャケット着用が義務化された。さらに、2022年(令和4年)2月以降、違反点数制度が導入され、違反した船長には罰則が付与される。
ライフジャケットのタイプとは
タイプA~タイプDに分けられていて、国土交通省により釣り船に乗船するときはタイプAを着用しなければならない。固形式と膨張式に大別されるが、軽量で、着けていてもさほど邪魔にならない後者が人気。
ベストタイプ、ウェストタイプやポーチタイプほか形状やカラーはさまざま。価格は安くないが、もしも落水したときのことを考えると値段には代えられない。
間違った着用はダメ
本来、ウエアの一番上(外側)に着用するものだが、「高額だし汚したくない」と、レインウエアやサロペットのなかに着けている人をよく見かける。しかしこれでは、水感知式の場合膨張しなかったり、手動式タイプではひもを引けず、その間におぼれて死に至った事故も報告されている。
正しい着用方法を守ってほしい。
釣行後の洗浄方法
膨張部分がカバーから外せるウォッシャブル(セパレート)タイプは、外カバーだけ取り外してうすめた中性洗剤で手洗いできる。
そうでないものは、うすめた洗剤を付けた布で汚れをゴシゴシ拭き取り、その後濡らしてよく絞った布で軽く拭く。
「ボンベや感知センサーを外せば水洗いできるのでは」という人もいるが、少しでも水気が残っていると作動してしまう可能性があるので、やめたほうがいい。
保管方法
雨や波しぶきで濡れた場合、そのままの状態で車内やバッグで保管すると、センサーが水を感知し自然膨張することがあるので気をつける。使用後は水気を拭き取ったうえで、部屋干しして乾燥させよう。
また、自動膨張式のメンテナンスに防水・撥水スプレーを使用することはNG。センサー内に防水成分が付着すると、水をはじいてしまい正常に水感知できなくなる。
点検・交換について
感知センサーの交換時期は最長3年。よくボンベの使用期限と思っている人は多いが、これは間違い。
点検・センサー交換はメーカーへ依頼(有償)することを勧める。ボンベも一緒に交換すると安心。このとき手動で古いボンベからガスを注入させ、一晩放置し、エアーが抜けていないか確かめてみよう。
もちろん、自分でも穴が開いていないか点検できる。「誤ってルアーフックを刺してしまった」なんてときは、一度膨張させてみよう。口で息を吹き込むことができるので、パンパンに膨らませて、同様に一晩放置。状態が変わってなければ問題ないので、折り目に沿ってたたむ。
いずれにしても、「膨張」しなければ着用していても意味がない。自分のライジャケの製造年月日や点検・交換時期はしっかり把握しておこう。
取材協力:高階救命器具(株)
<佐藤理/TSURINEWS・関東編集部>