鮮度を保つための魚の『冷凍』&『解凍』方法 ひと手間で食味アップ!

鮮度を保つための魚の『冷凍』&『解凍』方法 ひと手間で食味アップ!

スーパーの特売で思わず多めに買ってしまった魚。その保存に困ってしまったことはありませんか?とりあえず冷凍庫へ。そう対処したはいいものの、いざ使おうとしたらカチコチで使い物にならない。こんな経験、誰しも一度はあるかと思います。今回は、「魚の正しい冷凍&解凍方法」を紹介します。

(アイキャッチ画像出典:Pixabay)

TSURINEWS編集部 TSURINEWS編集部

その他 サカナ研究所

冷凍、冷蔵、チルドの違い

まず、魚の冷凍方法をお伝えする前に、どこで保存するのが良いか、解説していきます。

魚の身が余った時、その食材の冷蔵庫での行き先の候補は3つかと思います。

【冷凍室】【冷蔵室】【チルド室】

これらはどれも食品を低温で保つための部屋である点は、共通しています。しかし、食品の状態、次回食べる時期などによって、どこに入れるべきか、判断は変わってきます。

まずは3つの部屋の特徴を知りましょう。3つの部屋の違い、それはズバリ「温度」です。

冷蔵室内の温度

まずは冷蔵庫について。「冷蔵庫」の温度は、だいたい3~7℃に設定されています。

実は冷蔵室内の温度は場所によって、温度にムラがあります。ドアポケット付近は扉の開け閉めがあるため、温度が 6~10℃です。

このように同じ冷蔵室内でも場所によって温度に違いがあります。冷気は下に溜まりやすいため、上段よりも下段のほうが1~2℃低くなります。

また、冷気の吹き出し口付近も温度が低くなりやすいため、同じ室内でも腐敗しやすい食品は吹き出し口に近い奥に保存しておくのが良いとされています。

反対に冷え過ぎを避けたいものはなるべく上段の手前側へ。しかし詰め込みすぎると冷却効率が落ちてしまうので注意が必要です。

冷凍室内の温度

次に冷凍室について。冷凍室内の温度は、基本的に–18℃ 以下になるように設定されています。

冷凍食品やアイスなど凍った状態を維持したい食品や、長期保存したい食品に向いています。意外かもしれませんが、冷蔵室と違い、冷凍室は詰め込むほどに冷却効率が高まります。

チルド室の温度

最後はチルド室。近年、このチルド可能な冷蔵庫が増えています。チルド室は別名「フレッシュルーム」。

冷蔵室よりも温度が低く、冷凍室よりも高い温度に設定されています。食品が凍る–2~0℃の直前の温度のため、冷蔵室よりも長期の保存に向き、鮮度が落ちやすいですが、凍らせられない(凍らせたくない)ものに最適と言えます。

食材の種類や次回使うタイミングで保存場所を選ぶ

先述のように冷蔵室の中は、意外と温度設定に差があります。入れる物の特性や想定保存期間に合わせて場所を選ぶことで、より長く保存できるようになります。

早々に使う場合なら冷蔵。少し期間が空くけど新鮮に食べたい場合はチルド。しばらく使う予定がない場合は冷凍。このように使い分けるのが望ましいでしょう。

ちなみに、代表的な例外は、今すぐ食べたいけどアニサキス対策で48時間凍らせなくてはならない場合でしょうか。

間違った冷凍方法

では本題です。魚を冷凍した際、カチカチになってしまって、全く使い物にならなかった経験ありますよね?

おそらくそれは、プラスチックのトレーからそのままラップにくるんでポン。

こんな感じで保存したときだと思います。魚の身には水分が多いため、しっかりとした手順で保存しないといけません。

冷凍すると細胞が壊れやすくなる

水を凍らせると氷になり、その氷を溶かせばまた水に戻ります。しかし、食材は一度凍って、その後解凍をしても、冷凍前と同じ状態には絶対に戻りません。

魚の身には約60%の水分が含まれており、これらの食品を生の状態で冷凍すると、食品細胞の一部の水分が凍り始め、「氷の核」ができます。

氷の核は、まわりにあるより小さい氷や水分を抱えこみ、体積を増やして「氷の結晶」に変化していきます。
※ペットボトルに水を入れて凍らせると、翌日パンパンに膨らんで凍っているのと同じ現象

すると、膨張した氷の結晶は、魚の身の細胞膜や細胞壁を押しつぶしたり、こわしたりしてしまいます。

その状態から冷凍した食品を解凍すると、細胞内の氷が溶けて水になり、傷ついた細胞から流れ出ていきます。この水分は以前の記事でも説明した「ドリップ」と呼ばれるものになります。これには、うま味や栄養も含まれています。それが流れ出るということは、正しく解凍しないと味わいがぐっと落ちることを意味しているのです。

ダメージが少ない冷凍方法

「じゃあ、もう冷凍できないじゃん。」

そんな事はありません。

しっかりとした手順で冷凍することによって、限りなく少ないダメージで冷凍することができます。

そのためには冷凍室へ入れる前にしっかりと準備をすることが大切です。

1.エラ・内臓を除去する

サカナを丸ごと1尾冷凍する場合、内蔵から傷み始めるため、エラ、内蔵、ウロコは冷凍前に必ず取り除くようにしましょう。

サカナは内臓から腐敗が始まります。

サカナの臭みの原因は血液であり、エラには血液が特に多いため、保存前には必ず処理をしましょう.

2.水分を拭き取る

ドリップが付着したまま凍らせると、臭みの原因となるので、必ずドリップを拭き取ってから冷凍室へ。

お腹を開いたサカナの場合は、お腹の中も隅々までしっかりと拭くこと。切り身の場合は、身の表面に付いた水分をキッチンペーパーで拭き取りましょう。

この一手間が非常に大事なのです。

3.空気に触れないようにする

上記の下処理をしたらあとは冷凍室へポーン。といきたいところですが、このままの状態で入れてしまうのはNG。

最後まで丁寧に。サカナの身を凍らせる際はラップにくるむだけでは物足りません。

これは空気に触れると細菌が繁殖しやすくなるからです。

なるべく空気に触れないようにラップでしっかりと包み、さらにジップロックななどの保存バッグに入れ、空気をできる限り抜いて冷凍保存しましょう。

正しい解凍方法

では、丁寧に冷凍した身を解凍するにはどのようにすればいいのでしょうか。

この時も、しっかりと解凍してあげないと、冷凍のときと同じように、サカナの身が壊れてしまう恐れがあります。

美味しさをキープして失敗しにくく、家庭でも実践しやすいのオススメの解凍方法は「流水解凍」です。

その他にもいくつか解凍方法があるので解説していきます。

流水解凍

ボウルなどの容器に冷凍したサカナをシップロックごと入れ、流水にあてる。

触ってみて、中心がまだかたい状態が半解凍状態、触ってやわらかくなっていれば完全に解凍できていると言えます。

冷蔵庫解凍

冷凍したサカナをジップロックごと、冷凍庫から冷蔵庫に移すだけの解凍方法。少し時間がかかりますが、ゆっくり解凍できるので身へのダメージをある程度抑えられます。

魚の厚みや種類などによって差はありますが、6時間程度で完全に解凍されます。

氷水解凍

氷水にシップロックごと魚を入れ、随時氷を足して冷たさをキープしながら時間をかけて解凍する方法。

時間がかかりますが、鮮度がキープされやすいため、身へのダメージが最小限に抑えられるため、ドリップも出にくくなります。

おすすめできない解凍方法

電子レンジ解凍

電子レンジの解凍モードで解凍する方法。

これは、非常に加熱ムラを起こりやすいです。

常温解凍

冷凍した魚を常温におく方法。

常温では細菌が繁殖しやすい温度帯に長時間さらされることになるため、衛生的にもあまりおすすめできません。

使用用途にあった保存&解凍方法を

次回使うタイミングや、身の状態によって冷蔵するのか、冷凍するのか判断できると良いでしょう。

その際、少しの工夫で、美味しさを次回に持ち越すことができます。今回紹介した方法を是非試してみてください。

<近藤 俊/TSURINEWS・サカナ研究所>