旅行や出張、キャンプなど、旅先で釣りを楽しみたいときに便利なのがコンパクトロッド。このタイプのロッドの出番が増えるシーズンを迎え、オリムピックのコンパクトロッド「コンパット」シリーズに、新たにテレスコ(振り出し)タイプが加わることになった。まもなく発売されるこのロッドについて、開発を手掛けた同社の友金さんが、完成までの道のりや製品の特長について案内してくれたので紹介する。
(アイキャッチ画像提供:オリムピック)
コンパクトロッド『コンパット』
皆さんこんにちは、オリムピックで企画開発を担当している友金です。今回はライトゲーム全般をカバーするテレスコタイプのコンパクトロッド、当社のコンパットGCMS-776L-TLについて紹介したいと思います。
各ガイドとブランクスの理想を追求
このロッドは、仕舞寸法アンダー50cmでの携帯性と、取り回しの良さを条件に開発に着手、継部をテレスコ式にすることでより利便性を確保することを狙いました。
開発初期、過去に培った鮎ザオ設計での知見が下支えとなり、ファーストサンプルまでは楽に形にすることができました。
しかし、単純な振り出しのノベザオとは異なり付帯部品も多いため、取り付けてテストをしないことには正当な評価ができない……。この作業に多くの時間を費やしてしまい、完成形への道のりを困難な方向へ傾けてしまっていました。
なかでも最大のネックとなったのがガイド! テレスコ用ガイドは既製品もあるにはありますが、理想とするサイズ展開やロットの問題で、今ひとつしっくりくるものが見つかりませんでした。
これに対し、既製のガイドサイズの展開に合わせるようなブランクスも組んでみましたが、思い描いているライトゲーム用としてふさわしいアクションにはならない…。
その一方で、MやMHクラスのアクションとしては、「これはこれで良いのでは?」と思えるロッドもできあがることになり、その結果アイテム数だけが増えていく事態に違和感を覚えました。
当初のコンセプトを見直し
もとはライトゲームに広く対応できる1アイテム限定での展開を予定していたので、ライトゲーム寄りにブランクスのコンセプトを見直し、再度調整を進めることにしました。
既製のガイドにとらわれず、新たなガイド設定を模索しながらようやく理想のイメージに到達することができ、スペックも煮詰まりました。
コンパットに求めた能力
「PE0.3~0.6号のメインラインを使用し、7g前後のルアーで対象魚を狙う」このようなゲームにおいて、全世界で通用する振り抜けの良いファーストアクションとすることを追求しました。
また、フィーリング面についても、6本継ぎであることを感じさせないようなバランスを持たせることで快適なキャストフィールと操作性を生み出し、「パックロッドであることに驚きを隠さずにはいられない……」そんなブランクス特性を追求しました。
そして、操作性においてはリグを選ばない対応力を持ち、ソルトでもフレッシュでも出番の多いスモールプラグとの相性が抜群であることを目標としました。
釣行意欲を掻き立てる万能さを
釣りをしたいときに釣りたい魚を釣らせてくれること、それがコンパクトロッドの使命と考えました。
ルアーというスタイルに拘らず、テンビン仕掛けのチョイ投げキス&ハゼなんかにもちょうどよいサオであることや、電車を用いた釣行でもかさばらないことなどです。
これらを実現することで、一人でも多くの釣り人が「遠のいていた釣りへの想いが、身近に熱く感じられる」そんな感覚を取り戻す呼び水となるパックロッドを目指して作り込みました。