6月11日、シーズン真っ盛りの船マダコを狙って、兵庫・高砂市荒井漁港の浜栄丸を訪れた。明石周辺と違い、まだまだタコ釣りのイメージが少ないためかのんびりと広々した釣り座でマダコを釣ることができた。
荒井漁港からゆったり出船できる
浜栄丸の出船する高砂市荒井漁港は、明石、林崎、東二見と並ぶ、明石漁場の乗合船基地とは加古川を挟んで西側に位置する。
まだまだ「明石の船タコ釣り」というイメージが浸透していないため、マダコ狙いでも比較的空いていることが多い。
お世話になった浜栄丸は大型で快適なクルーザータイプの乗合船ながら乗船人員は12人と少なく設定しているので、満船でもお隣さんの釣り座とは間隔が開き、ゆったりと釣れるのがいい。もちろん、明石海域のマダコについてはれっきとした漁業権を持つ組合員なので、堂々と乗船して思い切りマダコ狙いができる。
早朝の時合いを目指せ
通常は6時出船だが、前日に船長に確認をすると「朝イチ、潮が走り出す前をちょっと釣りたいので5時出船でもいいですか。」少しでも快適にマダコを釣らせようとする浜谷彰船長の計らいで早めの出船となった。
当日は、7人が乗船したが、そのうち2人はマダコ釣りが初めてという。船は一路、東の明石漁場方面へ。
明石沖のマダコは西側で釣れ始め、シーズンが進むにつれて、西へとメイン漁場がかわる。二見沖で釣れ出し、それも浅場で数釣れるようになると、高砂出船でもすぐに漁場に到達できるが、この日は少しクルージング。
まずは水深35mラインでスローダウン。少々深いので潮が本格的に流れ出すまでの数10分が勝負だ。さあこい、モーニングサービス!
新子サイズが数多く登場
オモリ50号にタコエギ2個付けがこの日の乗船者全員のスタートアイテム。カラーは定番のイエロー、ホワイト、グリーンと様々だが、まずマダコを乗せた左舷トモの人は少し濃いレッド系のエギだった。
そして、左舷トモから2番目の人にもヒットしたが、これは100gあるなしで即リリース。この1週間前まではほとんどいなかった小型のサイズが登場した。サイズ的には300~400gのやや小型の部類がメインとなったが、乗りはまずまず。それよりも驚いたのが、100g前後のいわゆる「新子サイズ」がやたらと触ってきたり、乗ったりとシーズンの進行を感じる。
そもそも、明石のタコ釣りは今季に限って言うと、早い船で4月中旬からスタート、その後、5月に入るとほとんどのタコ狙いの船が出船するようになる。
このころ釣れるのは昨年の秋に新子として出てきたマダコだ。そして、例年、7月の声を聞くころにこの冬に生まれた当歳の新子が登場する。
ここ数年の明石海域では、この新子が出てくると船タコシーズン本番入りとなる。ということは、新子がかなり出てきているので、これからの本番はかなり期待が持てる…ということか。
機動力生かして見切り素早く
さて、浜栄丸の浜谷船長は長年の漁師歴から得た感というか、その経験からの潮読み、ポイント読みが早く的確だ。そして、クルーザータイプの船の機動力を生かして、少々離れたポイントへでも一直線。少しでもいい潮が残っているエリアを求めて走り回ってくれる。
かと思えば、「あと30分ほどで潮が緩んでいい感じになるので、それまではコーヒーでも飲んで休憩しておいてください」と、冗談とも、本気とも取れるアドバイスで乗船者を和ませてくれる。
当日も、二見沖の水深25mラインでその言葉が飛び出した30分後には、本当に突然マダコが上がり始めた。大ドモの人は少し投げては船から離したポイントへ流し込み、ごくごく小さく誘いを駆使してハイペースで掛けていく。
浜栄丸のイケスは前(流水式のコンテナ)と後ろ(船槽)にあり、洗濯ネットなどに入れて協同で使用する。昼を迎えるころには数の差こそあれ、イケスが各自のネットで埋まっていく。
心から資源を大切にする船長
この日、釣れたマダコのサイズは400g前後がアベレージで、リリースサイズも多数現れた。資源保護の観点から、明石沖では「100g以下のマダコはリリースを」と呼びかけている。
浜谷船長は「タコをできるだけ下に置かず、そっと海に返してあげてください。」とリリースの際に言う。本当に、自分の生まれ育った播磨の海が好きなのが伝わってくる。
さて、この日はかなりの移動をしたが、最終的に潮が緩んだ午後からの1時間ほどで、プチラッシュが入り、多い人で20匹弱のマダコをゲット。ここ数日ではかなり渋い日に当たってしまったようだが、それでも初心者も含めて全員がマダコをお土産にできた。