6月8日、兵庫県神戸市の第7防波堤にサビキで大サバとツバス、落とし込みでチヌを狙って釣行した。
内側の壁面を3ヒロまで
外側はルアーマンたちが釣り座を構えているので、西端から東向きにカーブと呼ばれる波止の曲がったエリアまで、まずは内側を探り歩くことにした。ハリにはイガイの房掛けを繊維に絡ませるように縫い刺す。
タナは先週ヘチ釣り師に教えてもらった通りに3ヒロまで。壁面ぎりぎりに、ゆっくりと一定の速度で落とし込んでいく。魚に違和感を与えないような落とし方ができるかが勝負の分かれ目となる。ただし、7防の壁面は所々で段ずれしているので、チヌの付いている壁面は手前なのか、少し奥なのかを判断しながら落とし込んでいくことが必要だ。
アタリがなければ、先へ先へと場所をかえていく。7防は長大な波止。自分から積極的に攻めていく姿勢が釣果につながる。当日は小潮ながらも、潮はほどよく流れ、水は澄み気味。透け潮はよくないという説もあるが、私の経験ではこういう日は釣れそう感じがする。
鮮明な引き込みアタリでチヌ44cm!
カーブに近づいてきた。先週のヘチ釣り師もこの付近で1匹釣っていた。壁面の形状を意識して、変化のある所は丁寧に攻める。すると9時過ぎ、2ヒロ余りのところで、目印が引き込まれ、サオ先にクンッといった感じの感触が一瞬伝わった。ここまで鮮明な引き込みアタリは珍しい。反射的にアワせるとヒット。力強い引きをかわして、水面に浮かせると、見事な魚体のチヌが姿を見せた。この瞬間を待っていた。
内側は波止と海面との高さの差はほとんどないので、魚とのやりとりは容易だ。タモ入れもスムーズに成功。今年初めて釣ったチヌは44cmの良型。ゆっくりと喜びに浸りたいところだが、魚の活性が高いうちにと、チヌをストリンガーに吊るして落とし込みを続行する。
カーブからは折り返し、ルアーマンたちが一足早く納竿して空いた外側のエリアにフィールドを転じて西向きに探り歩く。しかし、貴重な一度のアタリをアワセに失敗し、結局この日の釣果は、先ほどのチヌ1匹に終わった。
持ち帰りの際、血抜きと内臓処理をすると、チヌの腸の中にはイガイが入っていた。これでエサがわりを確認できた。
当日はヘチ釣り師のグループが2ケタ釣果の人を含む大釣りを堪能していたが、私は狙って釣った1匹に格別の喜びを得て大満足。先週の丸ボウズのリベンジも果たし、12時の迎えの便に乗り込んだ。
神戸第7防波堤の概要
今回釣行した神戸第7防波堤は、六甲アイランド沖に位置する東西約4.5kmの長大な防波堤で、今回私が釣り歩いたのは西側の一部のエリアだ。沖向きは回遊魚の好ポイントとして人気があるが、幅が狭く、海面からの高さが6m近くあり、足場が非常に悪い。武庫川一文字のような沖向きに上がる梯子もないので、安全面には特に注意が必要だ。
西端の赤灯台周りは安全面からもベストポイントで、人が絶えない。内向きは幅が広くて足場がよく、根魚狙いやサビキ釣りに適しているが、満潮時や大型船の航行時には潮が足元までかぶってくる場合もあり、荷物の置き場を含めて、足元と潮位の様子に気を配る必要がある。落とし込み、ヘチ釣りは沖向き、内向きの両方がフィールドだ。
なお、7防の中央一帯は、人工島としての将来計画に基づいて、沖向きの埋め立てが進んでいる。
渡船店は今回利用した松村渡船のほか数軒あるが、出船場所や出船時間が随時変動するので、各店のホームページなどで釣行前に要確認。乗船時には救命胴衣の着用のこと。
今後の展望
「回遊魚は初夏までにいったん落ち着くが、豆アジが釣れるようになるとそれを捕食する魚が回ってきて再び活発化し、盛夏のころにタチウオが回ってくるようだと一層面白くなるのでは?」と、松村船長は話してくれた。チヌは波止のイガイの着生状況が今なおよくないが、今回の釣行で私やヘチ釣り師が獲物を仕留めていることから、落とし込み・ヘチ釣りがシーズンインしたのは確実。これから夏に向けて本格化することを期待したい。
<伴野慶幸/TSURINEWS・WEBライター>
松村渡船