大阪湾の波止釣りシーンでは欠かすことができないチヌの釣り方といえば落とし込み。そして、この釣りで定番となっているのが波止の壁面をきっちりとエサがキープできる「スライダー釣法」だ。手慣れたベテランなら身に付いているこの釣法だが、今さらながら聞けない基礎の基礎、考え方をスライダー釣法生みの親である中武幸司さんを取材した。
イガイの付け方
さて、実際にイガイの付け方を紹介して貰った。手順としては
①イガイの蝶番(2枚貝の貝殻が繋がる部分)の反対側の辺にハリ先を入れる
②少し開いた殻にツメを入れて開けた状態をキープしたらハリを抜く
③開いた殻の間にハリの軸側から押し込んでイトオモリの部分まで埋め込む
④ハリ先だけが出るように埋め込んだら、ハリスをイガイの上に持っていき完成
ハリはイガイの身に刺さっているのではなく、ハリを貝の中に押し込むことで、殻に挟まれて固定される状態だ。そして、ハリ先がイガイの少し下部から出るようにすることで、イガイの中のオモリが先の方になり、重心が先にくるようにするのがミソ。
エサの落とし込み方
エサの付け方が分かったらいよいよスライダー釣法の基本操作だ。エサを波止の壁際にそっと落としたら、目印を波止から離すように沖側へ並べる。これが実に重要な操作なのだ。
イガイの中のオモリ(重心)は、ハリス、目印とはイガイを挟んで反対側に位置する。目印を沖側へ置くのはイガイに対して軽く壁から離す方向にテンションを掛ける意味がある。
後方へ引かれるようにテンションがかかると、オモリの位置が先行してテンションがかかる方向とは別の方向へ行こうとする。つまり、沖側へテンションを掛けると、波止側へイガイがスライドしていく形になる。これがスライダー釣法である。
実はこの釣法のキモは、イガイ、オモリ、目印のセッティングにあるといえる。このセッティングさえしっかりとしていれば、非常に身につけやすい技術なのだ。
さて、次回の記事では6月4日に実際に、セル石で中武さんに同行して、みっちりとスライダー釣法を見せていただいたので、その模様を紹介したい。続編「2時間で13尾の爆釣にスライダー釣法の神髄を見た」をお楽しみに!
<松村計吾/TSURINEWS関西>