Dr.近藤惣一郎のフィッシングクリニック【5分で分かる完全フカセ釣り】

Dr.近藤惣一郎のフィッシングクリニック【5分で分かる完全フカセ釣り】

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春の乗っ込みの季節になにか釣りたいと思っています。そんな時、日本海ではマダイやブリ、ヒラマサといった青物の魚影も非常に濃いエリアがあると聞き、是非トライしたいのですが、どういった釣りがおすすめなのでしょうか。

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近藤 惣一郎

医学博士・京大卒。SOグレイスクリニック院長。脳外科・美容外科専門医。DAIWA沖釣りフィールドスタッフ。ロンリー侍ドクターとして各種メディアで活躍中。

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船釣り エサ釣り

仕掛けの投入と送り込み

魚の感度をとらえたら、船長がその潮上にアンカーを打って船を架けます。どの程度潮上かは、当日の潮流速、水深、船長の考え方にもよります。船上からまきエサ(オキアミ)を撒き、狙った魚を潮下に集める。まきエサは、少量をとぎれないように撒くのがコツです。

『手繰り出し』がキモ

仕掛け投入前後、丁度自分の仕掛けをサンドするように、まきエサを行います。餌を付けた先針、そして枝針の順に仕掛けを海に投入したら、引っ張られるテンションを無くし、仕掛けが潮にスムーズに乗って流れるように、いわゆる道糸の「手繰り出し」を行います。通常は10〜20mラインほど。

この「手繰り出し」は、手繰り出した道糸自身の重みで、仕掛けを沈め、仕掛けが通る経路を変える役割も担っています。「手繰り出し量」が多いとそれだけ手繰り出したフロロカーボンの道糸自身の重みで、仕掛けは初めから沈み、そこから潮に乗って流れはじめるようにできるのです)。

たとえば水深が70m以上ある深場などタナが深い時、仕掛け重量を増し、沈みを早くしてしまうとマダイ、特に良型マダイのヒットする確立は下がってしまいます。しかし、このテクニックを用いれば、深場であっても、仕掛け重量は増やさないまま、ふかせるように自然に、マダイが居るポイントで付けエサをゆっくり漂うように沈ませることができるのです。また、二枚潮時、手繰り出し量を多くすることで、底潮とは逆方向の上潮に乗って仕掛けが魚が居るポイントとは逆向きに流れてしまうことを防ぎ、早く魚の居る底潮に仕掛けを入れ、糸ふけも減らし、アタリを出しやすく出来る貴重なテクニックにもなるのです。

三次元的にイメージする

仕掛けが潮に乗ると、やがてフリーにしたリールスプールが回転し始めます。以後、潮に任せて道糸を出せば良いかと言えば、必ずしもそうではありません。

クラッチを切ったフリーの状態で、リールスプールのブレーキを緩めたり、ふかせ専用リールに装備された糸送り機能を用いて、スプールの回転を速めると、道糸のテンションが減り、仕掛けは沈みがちになりながら、より速く潮下に運ばれる。逆にブレーキをきかせスプール回転を絞ると、沈降速度は減じ、仕掛けは張りながら、浮き上がり気味となります。

当日の潮の流れの向き、速さ、水深、ポイントまでの距離、魚のタナなど、海の中を三次元的にしっかりイメージし、狙った魚の居るポイントに仕掛けを送り、そこで少しでも長い間付けエサをアピールする時間、距離を保つことがこの釣りで釣果を出すコツになります。

潮の流れを把握しよう

その日の潮にもよりますが、道糸の傾きが海面に対して30度の場合、出したライン長の半分が針が位置する水深になります。つまり60mをカウンターが示せば、針は水深30mにあります。とりあえず、潮が緩いときは水深の2倍程度、たとえばポイント水深が60mなら120m、また潮が速いときは3倍の200mほど、仕掛けを流し回収します。

この時、付け餌が残っていれば、次回の投入ではもうすこし潮下まで仕掛けを送り込むか、仕掛けの沈みを早めるため、スイベル重量を上げたり、個数を増やしたり、浮きを取ってみたり変化を加えます。

逆に回収した仕掛けに、付け餌が無くなっている場合は、本命が居るポイントにたどり着くまでに仕掛けが速く沈みすぎ、エサ取りに餌がとられていると判断します。その際は、サルカンサイズを小さくしたり、より浮力のある発泡浮きを使用したり、道糸の出し方を多少絞り気味にして、仕掛け経路を浮かせてみるのです。こうして、付け餌が残り出せばチャンス。本命がいれば、ヒットして来ます。

アタリとやり取り

あたりは、鮮烈に訪れます。潮の流れで静かに回転していたリールスプールが、突如、唸りをあげて急回転。この釣りを行う釣り人が味わう至福の瞬間です。しかし、慌てて竿先をあげアワセを入れると、リールがバックラッシュして、魚を逃してしまいます。

まず行うことはリールクラッチを入れること。この時点では、魚が餌をくわえているだけで、針掛かりしていない場合も多く、魚は異変を感じれば、これを吐き出してしまう場合もあります。先述のふかせ専用電動リールなら、ラインの出を感じ取ると自動的にクラッチが入るので安心です。クラッチを入れた後も慌てずに対応できます。

二枚潮の場合

特に二枚潮などで、糸フケが多いときは、糸フケを取らせるべく魚を走らせて多少待ちましょう。道糸が張り、竿先がグッと曲がり込んだら、竿を立て、あわせを入れます。この時、未だ糸フケがある時は、電動レバーで急速に巻き上げ、糸フケを取り除きます。

Dr.近藤惣一郎のフィッシングクリニック【5分で分かる完全フカセ釣り】ヒラマサ

根に入りやすいヒラマサ狙いの場合、ドラッグは目一杯締め込んでおきます。粘りの有るロッドでフロロカーボン7号の道糸、ハリス8号以上を用い、確実にハリスに針を結紮していれば、ドラッグを締めすぎでいることでハリス切れを起こすことは殆どありません。ドラグが緩いとラインが出て根に入られたり、テンションが下がり、針外れのバラシ原因になることもおおいのです。 

Dr.近藤惣一郎のフィッシングクリニック【5分で分かる完全フカセ釣り】ドラグが鳴り響く

ドラグ調整を忘れずに

錘を用いない完全フカセは魚の生命エネルギーがダイレクトにロッドを撓らせます。良型であれば、絞め込んだドラグであっても、道糸が「ジッ、ジッジー」と引き出されます。この最初の抵抗が落ち着いたら電動中速で、ラインを巻き上げてゆきます。

出ているライン長や水深を考慮して根に入られるリスクが無くなった時点から、上手くドラグを調整して慌てずやりとりしてゆきます。

途中、魚が引き込みを見せた際は、サオの弾力を活かし耐えます。青物でも大鯛でもこのような強い引き込みが数回訪れますが、慌てることなく、時間をかけてやりとりしましょう。

Dr.近藤惣一郎のフィッシングクリニック【5分で分かる完全フカセ釣り】あと少し

仕掛け接続部の発砲浮き・サルカンが見えたら、サオをキーパーに置き、ハリスを掴んで手繰ります。蒼い海から大鯛やヒラマサ、ブリが現れる瞬間は、何度味わっても至福の時です。同乗者と協力して、慌てずタモ入れしましょう。

Dr.近藤惣一郎のフィッシングクリニック【5分で分かる完全フカセ釣り】これぞ醍醐味

中毒性の高い完全フカセ釣り

中部、関西地方の方は勿論、関東はじめ他の地域にお住まいの方も是非今回の記事を参考に、魚の生命エネルギーをダイレクトに体感して、大鯛、ブリ、ヒラマサを完全フカセ釣りで仕留めてください!一度経験すれば、誰でもこの釣りの大ファンになるはずです。

Dr.近藤惣一郎のフィッシングクリニック【5分で分かる完全フカセ釣り】この釣りはやめられない

<近藤惣一郎/TSURINEWS・WEBライター>