マグロキャスティング、それは究極のオフショアゲームといってもいいだろう。
タックルやルアーだけでなく、アングラー自身の心技体が充実していないと、決してキャッチに至ることができないターゲットなのだ。
技、体力、道具を突き詰めて挑むバケモノ級との限界ファイト
全身の血がわき立つようなナブラに遭遇すれば、アングラーの興奮度はマックスになるが、タイミング、アクションなどが合致しないと賢いマグロは決してヒットしない。
首尾よくヒットに持ち込めたとしても、ロッドは限界まで絞られフルまで締めたドラグはワッシャーが摩擦熱で溶けるほど高速で回転する。
これだけの限界ファイトにおいては、タックル、アングラーのどこかにほころびがあれば、必ずそこで破断してしまう。
ロッドやリールはもちろん、ライン、リーダー、フック、スプリットリング、さらにはアングラーの体力、持久力に至るまでが完璧でないとキャッチすることはできない。
愛知県から大物マグロを狙う
中部エリアにおいてメジャーなマグロフィールドといえば、三重県の熊野灘と静岡県の遠州灘。
マグロもいろいろ種類があるが、このエリアでのメーンターゲットはキハダマグロだ。
どちらのエリアも今年は好調で、30kg、40kgオーバーのキハダがコンスタントにキャッチされていた。
だが、ここ愛知県にもマグロに情熱を燃やす男がいる。
愛知県・南知多町は片名漁港の祐英丸船長、奥村祐司さんだ。
普段はマダイや青物、タチウオなどを狙ってジギングで出船しているのだが、数年前から本格的にマグロキャスティング便を出すようになり、今年はすでに30kgオーバーもキャッチ。
奥村船長が狙っているのは遠州方面のエリアだが、今年はとにかく盛況のようで8月に入ってからも連日のようにカツオやマグロの釣果が聞かれていた。
そんな状況にマグロ便を企画したのが8月17日。
情熱を燃やす船長、悲願達成
この日は奥村船長の読みがズバリ当たり、6バイト1ヒット1キャッチ。
このヒットまで持ち込んだのが、祐英丸スタッフのヒサ君。
ところがこれがとんでもないバケモノで、限界まで締めたドラグを平気で引き出し、あっという間にヒサ君の体力は限界に。
その後3人が交代でファイトし、ファイトタイム30分で浮かせたのは、今まで見たことがないほどデカイキハダマグロだった。
30kgクラスなら余裕で上がるギャフが2本ひん曲がり、4人がかりで頭と尻尾をつかんで引き上げたのは、なんと83kgのモンスターキハダだった。
この日船長にも3バイトあったが、突っ込んでくるキハダの水圧で水面のルアーが弾き飛ばされ、ヒットには至らず。
この日は水面よりやや下を泳がせ、マグロの突進してくる水圧にルアーを飛ばされないようにする工夫が必要だったようだ。
マグロが狙えるシーズンは、そろそろ終盤に向かう。
祐英丸では定期的にマグロ便を出しているわけではないが、状況次第ではスクランブル発進があるかもしれない。
祐司船長と大海原で夢とロマンを追いかけてみてはいかがだろう。
<週刊つりニュース中部版 編集部/TSURINEWS編>