梅雨がおとなしい、どこが雨やら嵐やらとんとお水が落ちて来ず空空地面お空は青く澄みわたり開けてしまった梅雨だったのに、7月になって降るわ降るは戻り梅雨ならもうかんべんしてくれぇだ。
河は溢れ川は満ちて流れる水は黒く濁り襲いかかるように岸を洗い橋桁を揺るがすように荒れ狂う。
これでは釣り以前の状況に唖然呆然自然の猛威に脱帽するしかない。
数日後、さらに状況は悪化。
九州は未曾有の災害に見舞われた。
震災の恐ろしさも水害の脅威も自然災害には変わりない。
今度の豪雨で死亡された方々の冥福を祈るほかない(合掌)。
菊池川との合流点から少し上流の階段で
ヘラブナ釣り日誌は過日ご紹介した菊池川の支流の一つ「岩野川」。
この川は夏になると上流の岳間渓谷で涼を楽しめる実に水清く周囲の緑を伴った美しい光景を見せてくれる。
ヘラブナ釣り場としてはやや隠れた存在で、堰の上では数釣りと、時として大物釣りも楽しめる結構な釣り場だが、大雨で様相が一変して轟々と音を立てて流れる。
とてもヘラブナ釣りには適さないと思われたが、吉田川での高速流れのドボン仕掛けを駆使して堰下の流れの強い岩野川でヘラブナを釣りたい気持ち大いにありで、そこでドボン釣りの名手で盟友・鍋島さんと誘い合わせて7月4日は早朝から岩野川でサオ合わせとなった。
仕掛けは先週の吉田川で成功した高速流れドボン仕掛けで先週は40cmが釣れているので、今回はのっけから大仕掛けの10尺にミチイト2号、ハリス1号、ハリ8号の高速流れドボン仕掛けで要領は流れを利用してミチイトとハリスをぴーーんと一直線になるようにして鋭いアタリが出るように。
また、ウキを長い時間見ることなく馴染んだら数秒後にはエサを切る超速攻釣りに終始するのを基本形として、エサも流れに耐えられるように蒼天と粘りのダンゴをじっくり練りこみ、そこに荒粒ペレットを加えて、やや重いエサながら大型のヘラブナのあおりでエサはフワッと浮く瞬間にお食事をしていただくという思考思惑懇願釣りで、菊池川との合流点からやや上流にある岩野川の階段に釣座を設置する。
頃合いの良い増水でタナはサオ10尺での流れ幅いっぱいにしてのチョウチン釣りなのだが、開始早々「なぬ?あれあれっ?」っと、早速難題が降りかかったのだ。
ビックリするテクニックを試し……
大雨の前とはちょっと違って予想を上回る流れの速さにドボン専用のKAZU8ウキがどうにもしもってトップの動きが見えない状況になった。
これでは釣りにはならないので「あきらめようかな?」と思っていたら、それを助けてくれたのは隣で釣る鍋島さんが見せてくれたビックリするテクニックだった。
鍋島さんは何と、しもるウキを強引に穂先で起こして釣っている。
漫画「あしたのジョー」の丹下段平のあの名セリフ「ジョー何をしている、貴様そのくらいで終わるのか。立てー、立て~立つんだジョー」とウキに言っているような光景は、これこそ驚くべき老練のこれが技か。
鍋島さんのウキは流れを押し返して強引に自立してアタリを出している、こんなヘラブナ釣りの光景とは思えないが~これは勉強になる~と習いでないかと早速やってみるとウキの動きが~なるへそ雷様の出ベソ~ウキのトップは元気を取り戻したかのよう、さらにサワリを見ることができるようになったので期待は本家・菊池川のヘラブナとはひと味違った、美形の岩野川のヘラブナを見ることができそうな雰囲気に釣り気分がグンと上昇だ。
超速攻でのエサ打ちしながら30分ほど経ったとき、ウキがスッと沈み加減で穂先がスッと曲がり、その瞬間ウキは呼応して消し込みガツンと手応えを感じた。
ぐっと堪えるが岩野川のヘラブナの絞りと重量感は半端じゃない、ようやくの思いでタモに収めるがのっけから尺2寸(約36cm)が姿見せ、この芸当は魚影の濃い岩野川だからできることだが、これで一気にテンションが上がる。
先日の吉田川での高速流れドボン仕掛けが穂先のテクニックを加味しての超高速流れも克服するという自信が、さらなる運を呼ぶことになった。
以後は入れ食いとはいかないが待ちの釣りでは時々ガツンとの手応えで、馴染みギワの小さなツンで、と釣れるヘラブナは全て尺上(30cm超)、岩野川のヘラブナは通常の場所ではほぼ浮き加減で釣れるのでドボンのオモリとの段差で底から強制的にエサ浮かせているのでマブナやコイの食いはほとんどない。
沈みアタリをアワせると
2時間過ぎたとき、ウキがスーッと沈んで動きが止まる。
「これって鍋島さんがよく言うドボンの特有のアタリ沈みのアタリ」か。
アワセると強烈な手応えでこれは大きいと感じるが、グイグイと流れを味方に暴れる魚はコイかもと思ったが水面に浮かんだのは巨大なヘラブナ!
「キター~くまもと~」と思わず声が出る。
ハリ掛かりしている大きな口と怒り肩の様相はまぎれもない40cm級ヘラブナだ、より慎重にタモに収める。
計測してみたら41cmとビックらこ。
見れば鍋島さんのサオも大きく曲がっている、この高速流れでも通常と変わらず釣れるとは恐るべし岩野川の釣りがそこにあった。
気がつけば早朝はウグイスの声が心を和ませてくれたが、日が上がり暑くなるやクマゼミの鳴き声に変わっていた。
暑いなんて釣りをしている時は屁とも思わなかったころは遠い日々、日没をどうにか止められないかと思った愚かな時期があったことはもう忘れた。
2人は10時過ぎにはさっさとサオを納めて「十分ばい」と笑顔で言える今日~お茶でも~と言える余裕があるのも「今日」なのです。
<週刊つりニュース西部版 APC・一美湖次郎/TSURINEWS編>