春はシーバス釣りを愛する人たちが待ちに待った季節。バチのニョロニョロとした動きはちょっと気持ち悪いけど、大興奮する「バチ抜けパターン」が開幕する。バチ抜けは良型の数釣りが楽しめ、シーバスフィッシングを始めるにも絶好のタイミング。今回はそんな激熱のバチ抜けパターンを楽しむため、バチが抜ける条件や狙いたい場所、おすすめのルアー、釣り方のコツなど、釣果に直結するポイントを解説していこう。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 橋本広基)
バチ抜けとは?
まずは、「バチ抜け」について説明しよう。バチとは、ゴカイやイソメなどの総称である。そのバチが産卵のため、生殖群泳と呼ばれる海底の砂や泥から抜け出し水面付近へと浮上する繁殖行動を、「抜ける」と表現したのが「バチ抜け」の語源だろう。
バチ抜けパターンとは?
このバチ抜けのタイミングはシーバスが産卵後の体力回復を目的に、沿岸部で積極的な捕食行動を見せる時期と重なる。
遊泳力の弱いバチは捕食しやすい格好のターゲットとなり、バチ抜けパターンとはこのようなバチをシーバスが荒食いするタイミングをルアーで狙う釣り方のことだ。
バチ抜けの条件
ゴカイやイソメが繁殖行動を取るには条件がある。特に重要なのが時期と潮回りだ。
バチ抜けの時期
バチが抜けるタイミングは地域やポイント、その年の水温などによっても差がある。私のホームグラウンドである伊勢湾エリアでは、2月上旬から徐々に始まり、春の訪れとともに、3月後半に最盛期を迎え、ゴールデンウィーク前後まで楽しめる。
シーバス釣りの盛んな所では、東京湾は荒川や多摩川などの大型河川で1月~3月ごろに大型のバチが抜け、港湾部で4月~6月ごろに中小型のバチが抜けるというパターンが多く、大阪湾では3月中旬から6月ごろまでと開幕が遅い傾向がある。また、全国的にも基本は晩冬から春あたりが中心となる。
バチ抜けの潮回り
バチ抜けが発生するタイミングは月の周期と大きく関係することから、月齢同調産卵と呼ばれており、満月と新月の前後の大潮のタイミングが最も期待できる。また潮汐の条件は日没前後に満潮を迎え、その後の下げ潮のタイミングが狙いめだ。海面へと浮上したバチが一気に潮流に流され、それをシーバスが待ち構えて、捕食するといったシナリオだ。
バチ抜けシーズン初期は日ムラもあり時合いも短いことから、必ず満潮前から釣行し満潮後のチャンスタイムを狙いたい。また水温が上がってくるシーズン中盤から後半はバチの量も増え、潮回りやタイミングにかかわらず、期待できる状況が増える。非常に釣りやすい時期となり、夕マヅメを中心に潮が動いているタイミングで狙ってみたい。
私の経験上シーズン中盤からは大潮だけでなく、大潮後の中潮も非常に実績が高く、水深の浅いポイントでは好天が続くなど、水温の上昇が期待できる状況も好要素だと感じている。
バチ抜けで狙うべき場所
代表的なポイントは、海底が砂泥質の河口付近や漁港内。普段はスルーしてしまいそうな小規模河川や奥まった位置にある漁港なども、流れが緩く海底に泥や砂がたまりやすいため、バチ抜けが発生しやすい。
そのためそのようなフィールドに隣接する堤防やミオ筋は、流されるバチの通り道となりやすく、河川であればバチがたまりやすい大きくカーブになっているポイントや河口付近の流芯、川幅が狭まっているポイントなども狙いめだ。また、常夜灯下や橋脚下の明暗部などは集光性のあるバチがたまりやすく、シーバスの捕食場となりやすい。
海面付近を漂うバチは目視できることが多く、釣行時だけでなくポイント選択の際も、じっくり足元など海面の様子を観察することもお勧めしたい。