4月25日、春の乗っ込みアオリイカ狙いで三重県・紀北町海山の白石湖から出船している第二竹丸のアオリイカ五目イカダに乗ってきた。
当日は晴れ、曇り、小雨と天候が安定せず、水温も低めでアオリイカの活性は望めない状況だったため、同時に最近好調のヒラメも狙ってみることにした。
出だしはスロースタート、ヤエン仕掛けに魚のアタリが
午前5時30分出船、1人、1人、2人、2人、そして私たち2人と5基のイカダに分かれ、それぞれ釣り開始となった。
ところが朝の無風の釣りやすい時間帯にもアオリイカのアタリはなく、周りのイカダでもまったりした時間だけが流れていた。
これはいけないと思い、ヒラメ狙いの仕掛けも出してみる。
よくあることだが、これをやるとヒラメ仕掛けにアオリがきて逃げられたり、アオリの仕掛けにヒラメがきて切られたりするが、そこはもう運でしかない。
するとどうだろう。
いきなりヤエンのアオリ狙いのアジになにか魚が掛かった。
「そうきたか~」などと言いながら、様子をうかがう。
アジをすっぽりのみ込んでいれば、その鋭い歯でイトを切られる。
ここでヤエンを打ったらおさらばだ。
アジをくわえている状態ならヤエンが刺さる可能性はある。
あとこんな手もある。
それは、アジをくわえている状況で一気にイトを巻き続けると、アジのヒレなどがヒラメの歯に引っ掛かって水面まで上がってくる。
それを網ですくう!という裏技だ。
裏技に出ることに
迷った揚げ句、裏技に出ることにした。
一気にラインを巻き、水面で同行者にタモを構えてもらう。
「上がってきた、ヒラメだ!」、「多分ハリ掛かりしてないから一気にすくって!」と声をかけ、水面でヒラメをすくい上げることに成功した。
上げてみると、奇跡的にアジの尾に掛けていたハリがヒラメの口に刺さっていた。
こんなこともあるのだなと、よく分からない状況でなんとかまずヒラメを釣り上げられた。
さあ次はアオリイカだ。
時合いなのか、周りのイカダでもサオが曲がり始める。
うまく釣り上げられるイカと同じくらいの数、いやそれ以上の悲鳴とため息。バラシだ。
静かなイカダなので周りの様子もよく分かる。
いよいよ本命のおでましだ
そんななか、ついに私たちのサオにもアタリがきた。
「きたきた!アオリだ!」。
そう叫ぶと、同行者がタモを持ってこちらに来る。
しかし戦いはこれからだ。
ヤエンの準備を、と思う間もなく、一気にアオリがロープに向かって走る。
まずい、ロープとラインが交差すると、ヤエンを打てない。
強引に寄せようとするが、ラインを伝わるゴリゴリ感。
ロープに擦れているのだ。
これではらちがあかないと、少し強引に寄せたところでアオリはアジを離して逃げてしまった。
嫌な空気が漂う。
バラシ病は伝染すると言われるだけあって、早いうちに1匹釣り上げておきたい。
その後、ヒラメなのかウツボなのか、魚のアタリは数回あったが、全てヤエン仕掛けにきてしまい、フッキングすることなく逃げていくばかりだった。
追加のアジを頼み臨戦態勢
最初に第二竹丸で購入したアジが残り少なくなり、船長に電話をして追加を頼むことにした。
まもなくしてボートでアジを届けてくれ、それを受け取っている最中に悲劇が。
ジージージーッと、ものすごい勢いで置きザオのラインが出ていく。
明らかにアオリだ。
ところがその方向がまた、ロープと交差する方向だったのだ。
そして一瞬でロープを越えて走られ、またもや無念のバラシとなった。
3度目のアタリは「もうチャンスを逃すまい」と、手持ちで攻めていたときだった。
アジをサオさばきで操作していくと、ぐっと重みが乗りイトが走った。
「今度こそ」と仲間を呼び、ヤエンの準備だ。
十分にアジを食わせた後、慎重に引き寄せる。
「でかいぞ!」。
重さからキロアップは確実だ。
いよいよヤエン投入
ついにヤエンを投入する時がきた。
この日3回目のアタリで初投入だ。
慎重にヤエンを送り、そろそろという時に一気にイカが走った。
「掛かったか!」と、グッとアワセを入れるとなんと痛恨の空振り。
またしてもバラシだ。情けなくて涙が出る。
その後、時間ギリギリまで粘ったが、アオリイカの回遊はなく、ついに本命を釣り上げることがないまま終了となった。
この日の釣果は、お客さん合計8人で3匹と、アタリの割には数が伸びなかったようだ。
ハラハラドキドキのスリルが醍醐味
これがアオリイカのヤエン釣りの楽しみでもあり、このドキドキ感と釣ったときの達成感を忘れられず、人はまた海へと通うのだ。
ヒラメの他には大きなカサゴが釣れて、完全ボウズは逃れたものの、悔しさの残る釣行となった。
当日は水温がまだ低く、これからが春のデカアオリイカの本格シーズンだ。
ぜひともこのハラハラドキドキを味わいに第二竹丸のイカダに乗ってほしい。
<北名古屋市・滝藤崇之/TSURINEWS編>