北海道と並ぶホタテの一大産地である青森県の陸奥湾。しかしここ数年、深刻な不漁に陥っています。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
陸奥湾のホタテガイ養殖がピンチ
二枚貝の中でも高級な食材として需要の高いホタテガイ。わが国では北海道と青森が二大産地であり、後者は主に日本最北の内湾である陸奥湾での養殖生産が盛んとなっています。
しかしそんな陸奥湾のホタテ養殖が今年、大変な危機に見舞われています。
ホタテガイ稚貝(提供:PhotoAC)ホタテガイの養殖は、天然の幼生である「ラーバ」を採取し、それを育成していきます。しかし今年はこのラーバの発生量が極めて少なくなっているのです。
青森県水産総合研究所の調査によると、ラーバの数は陸奥湾の東湾、西湾いずれも過去10年間の同時期と比べて非常に少ない水準となっているといいます。ホタテガイの産卵はこの時期すでに終了していることから、ここからラーバの数が増えるということは考えにくく、同研究所は漁業者に対し「ラーバ捕獲のための網の数を増やす、もしくは投入回数を増やすなどの対策を」と呼び掛けています。
ここ数年は「極めて不漁」
しかし、実は陸奥湾におけるホタテガイ養殖はここ数年ずっと芳しくありません。2022年にはすでにラーバの不漁が報告され、翌2023年はさらに少なくなり、今年(2026年)と同様の呼びかけがなされています。
さらに翌2024年秋にはホタテガイの50%以上が斃死するという恐ろしい事態が発生。例年7万t以上ある水揚げ量は、2025年は2万t代に落ち込み、県の経済に大きな打撃を与えました。
養殖されるホタテガイ(提供:PhotoAC)ある年に不漁になると、翌年に産卵する親貝も減ってしまうため不漁が連鎖してしまう形になります。実際、今年のラーバの発生量激減は2025年の不漁が大きく影響しているとみられています。
原因はやっぱりアレ
かつて一大産地であった陸奥湾が、なぜ今ここまで不漁に苦しめられているのでしょうか。その理由はやはり、いまわが国の漁業に巨大な悪影響をもたらしている「海洋温暖化」です。
北方性の貝であるホタテガイの適正水温は18℃程度とされており、20℃を超えると成長が鈍化するといわれています。さらに25℃を超えると斃死が始まるというのですが、2023年の陸奥湾の水温は27℃にまで上がっていたといいます。
いつまでもおいしいホタテガイを食べるために(提供:PhotoAC)日本沿岸の海洋温暖化は地域ごとに様々な原因があるとみられていますが、全体として世界平均の2倍以上の速さで温暖化が進んでいる状態です。世界のどんな国よりも、温暖化対策に本腰を入れないといけない状況にあるといえるでしょう。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>


