渓流魚をむやみに大量キープしない方が良い理由 学ぶべきルールとモラルとは?

渓流魚をむやみに大量キープしない方が良い理由 学ぶべきルールとモラルとは?

全国の渓流釣りは、2月~3月にかけて一斉に解禁を迎えた。華やかな釣果報告が各地から届く一方で、この時期に度々問題に上がるのが「渓魚の持ち帰り問題」だ。今回は、なぜ「渓魚を持ち帰る」という事が問題となっているのかという部分を深掘りしていきたい。

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(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)

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荻野祐樹

釣り歴は約25年。得意ジャンルは渓流釣りと、カワハギ・タチウオ・メバル(全て餌釣り)等。解りやすい!をモットーに発信していきます。

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渓魚は持ち帰る?

まずは何故渓魚を持ち帰るのかという事を考えていこう。

釣った魚は美味

著者はキャッチ&イート派であり、大の魚好きだ。渓魚は大変美味なため、食べる為に釣っていると言っても過言ではないのだが、著者のように「食べるために釣っている」という方も多いだろう。とはいえ、食べきれない量を持ち帰るのは命に対して極めて失礼な行為なので、食べきれる分だけにしてほしい。勿論、持ち帰る際のサイズにも注意が必要だ。

渓流魚をむやみに大量キープしない方が良い理由 学ぶべきルールとモラルとは?小型は即リリースを(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)

見栄が働く

昨今はSNS社会と言っても過言ではないが、10匹釣れたという報告よりも100匹釣れたという方が、当然インパクトが大きく、より「釣りが上手い人と思ってもらえるかも」という見栄が働く。だが、リリースしてしまうと「証拠が無い」と突っ込まれる可能性があるため、ズラっと並べた写真を撮影しがちだ。これは現代社会ならではのネットリテラシーとモラルの問題と言えよう。

何故問題となるのか

釣った魚を食べる派の方々は、何故「釣った魚を持ち帰る」行為が問題となるのか、気になるのではないだろうか。詳しくみていこう。

ストック量

渓流に生息する渓魚は、漁協の放流を除くと外部からの流入がほぼ見込めないため、そもそものストック量が河川ごとにある程度決まっている。釣れば釣るほど数が減っていってしまうのだ。

成熟期に問題

アマゴやヤマメの寿命は一般的に2年~3年程度。1歳半頃から成熟し産卵が可能となり、多くはその年の秋に産卵し、死んでしまう。解禁直後は、秋に産卵を控えた1歳半程度の魚(12cm~17cm程度)が多数釣れるわけだが、仮に成熟前に釣り切られてしまえば、その場所は子孫を残せる親魚たちがいなくなる事になり、その川自体が死んでしまう。

産卵数が少ない

成熟した1匹の渓魚が一度に産卵する卵の数は50粒~300粒で、魚類としては比較的少ない部類に入る。一方、数釣りが話題になるワカサギの場合は一度の産卵数が千~2万粒と大変多く、稀に2~3年生きる個体もいるものの基本的には1年しか生きられない年魚だ。ワカサギなら沢山持ち帰って良いという事では勿論ないが、この産卵数の比較からも、渓魚を多数持ち帰る事があからさまに危険であることが判る。

渓流魚をむやみに大量キープしない方が良い理由 学ぶべきルールとモラルとは?生態を知ると重要性が解る(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)

ちゃんと食べている?

今シーズン、数多くのSNSで目にしたのは、一人暮らしと思われるアングラーが、僅か数日で100匹を超える渓魚を持ち帰ったという事実だ。これは本当に自身で消費しているのかと疑いたくなるような数字だし、このアングラーは小規模な支流で根こそぎ釣るというようなことを頻繁に行っていた。渓魚の事を考えると、これは大変良くない行為と言える。

承認欲求との繋がり

前項でも書いた通り、より多くの釣果を叩き出す事によって「上手い人」と思われたいという承認欲求が働いている事実は見逃せない。だが本当に上手いアングラーというのは、SNSにアップして承認欲求を満たすのではなく、多くのアングラーの手本になるような行動を自発的に行う人たちの事を言うのではないだろうか。

持ち帰る際の注意点

では続いて、どの程度持ち帰るのであれば問題ないかという点について注目してみよう。

放流魚か否か

全国各地の渓流釣りが楽しめる河川の多くは漁協が管理している。成魚放流も頻繁に行われており、これは渓流師に楽しんでもらうという「管理釣り場」のような側面が大きい。こういった魚であればある程度なら持ち帰っても問題は無いと考えるが、一方で河川に残留した放流魚達が次代を繋いでいくため、度が過ぎないようにしてほしい。

渓流魚をむやみに大量キープしない方が良い理由 学ぶべきルールとモラルとは?こちらは管理釣り場のアマゴ(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)

どの程度食べるのか

例えば3人家族だと仮定し、全員が渓魚好きである場合、塩焼き・ムニエル・西京焼き・天ぷら等を一通り楽しむのであれば、20cmクラスなら9匹~15匹が妥当なところだろう。25cmクラスなら5~8匹もいれば十分だ。

逆に言えば、20cmクラスを30匹以上をキープするなら、この計算に従うと6~9人の大家族となる……。くれぐれも「釣りすぎたなら近所に適当に配ればいいか」といった安易な考えはしないで頂きたい。

渓流魚をむやみに大量キープしない方が良い理由 学ぶべきルールとモラルとは?十分な持ち帰り数だ(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)

漁業細則

渓魚に限らず、釣りの対象となる大多数の魚は持ち帰って良いサイズが決められている。渓魚であるヤマメ・アマゴ・イワナの場合は15cm~17cmの場所が多い。このサイズ以下は当然ながら即リリースだし、持ち帰っていい数が決められている河川もあるので、事前に漁協のHPや釣具店等で確認しておこう。

針を呑んだらキープ?

時折、規則を下回るサイズの魚が針を呑んだ状態で釣れてしまう事がある。適切なサイズの針を使用し、正しいタイミングでアワセを入れればこうなる事はほぼないのだが、この場合は即座にハリスを短く切ってリリースしてほしい。この場合の生存率は我々アングラーが考えているよりも高いのだ。

消費するまでキープしない

例えばある日に15匹持ち帰り、当日に9匹食べ、食べきれなかった6匹は冷凍したとする。この残り分を消費するまでは、釣行してもキープしないようにする……といった心がけも重要だと考える。個人のモラルの問題になってくるが、末永く渓流釣りを楽しむためだと考えたい。

渓流魚をむやみに大量キープしない方が良い理由 学ぶべきルールとモラルとは?美味しく命を頂く(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)

素晴らしい渓流を次代へ繋いでいくために

1匹釣れた後も「もう1匹、もう1匹……」と次を追い求めてしまうのがアングラーの性。より良型が釣れれば嬉しいし、悩ましいサイズをとりあえずキープした後に良型がバカバカ釣れ、嬉しい悲鳴をあげる……なんて事も極稀に起こりえる。

だがどんな時でも、我々アングラーは「大自然の中で遊ばせてもらっている身なのだ」という事を知っていてほしい。末永く渓流釣りを楽しんでいくためにも、ルールやマナー・モラルを大事にして、明日もまた渓流へと向かおう。

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<荻野祐樹/TSURINEWSライター>

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