渓流師にとって欠かせない餌となるのが、渓魚が常食している川虫だ。川の中には実に様々な川虫が棲息しているが、これら川虫は使用する時期を使い分けることで、より渓魚達の「普段の生活」へと近づくことが出来、直接的に釣果へと結びつく。今回はそんな川虫の中から、クロカワムシ・オニチョロ・スナムシと、その外の川虫にスポットを当てて紹介していく。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)
スナムシの生態
スナムシという生物をご存知だろうか。渓流魚の餌としては大変マイナーな部類ではあるがよく釣れるため、今回紹介させていただきたい。
何の幼虫?
ここで言うスナムシは、モンカゲロウというカゲロウの仲間の幼虫だ。身も柔らかくヒラタに近いが、その姿は細長く、どちらかというとピンチョロにやや似ている。
これがスナムシ(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)水中で脱皮・羽化する「亜成虫」と呼ばれる時間があり、その姿を模したフライも存在する。ちなみに、ヤマトビケラというトビケラの仲間をスナムシと呼ぶ事もあるが、今回は別種とさせていただく。
なぜ「スナ」ムシ?
モンカゲロウの幼虫は、川の淵や川岸にある砂・泥底の中に生息しているため、その生息場所からスナムシと呼ばれている。
採集時期は初夏以外
4月初旬頃、羽化を控えた大きめの個体が簡単に採集できるので、この時期が狙い目。本格的な羽化時期は4月下旬~5月で、この時期以降はパッタリと見られなくなる。4月限定の餌と言えるだろう。
どこで採れる?
流れの緩やかな砂の中に潜って生息しているため、他の川虫とは採集場所・採集方法が大きく異なる。
こんな所を狙う(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)まずは上写真のような場所を見つけ、丈夫な網で川底の泥をガバっと掬った後、流れの中でその泥を濾す。その後、網の中に残った砂利をかき分けるようにしてくと、モソモソと這い出てくる。
それ以外の水生生物
では最後に、前編・後編で紹介した6種以外に「餌」となりえる水生生物がいるのかに注目してみよう。
ヤゴ
成虫はご存知、トンボ。川虫採集をしている最中によく網に入るのは(河川にもよるが)クロサナエのような成虫が4~5cm程度の小型のサナエ属のものから、コオニヤンマ、オニヤンマのような大きな物まで多種多様だ。
羽化中のコオニヤンマ(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)共通して言えるのは、ヤゴは他の川虫に比べて圧倒的に体(外殻)が硬いものが多いということ。成虫なら餌になりえるが、ヤゴは難しそうだ。
マゴタロウ虫
こちらはヘビトンボという昆虫の幼虫で、トンボと名がついているが全くの別種。パッと見はムカデのような外見で、5cmを超す大型の物もいる。噛みついてくる上に他の水生昆虫を殺してしまうため、餌としては扱いが難しい。
寒いと丸くなるようだ(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)源流でのイワナ狙いで特効餌になると聞いたことがあるが、著者は良い思いをしたことが無くほぼ使用していない。ただ釣れた渓魚の胃の中からは頻繁に出てくるため、餌としての可能性は十分にある。
甲殻類
著者はよく渓魚の胃の内容物を調べるのだが、昨年釣った渓魚の腹の中から川エビと小さな沢蟹が出てきて、大変驚いたものだ。とはいえ、常に動き回る渓流釣りでは、数多くのエビやカニを生きたまま管理する事は現実的ではない。餌としては除外だろう。
川虫をローテーション
前編・後編に分けてご紹介した6種の川虫を時期ごとに使い分けるならば、3月=キンパク・ヒラタ(オコシムシ)、4月=ピンチョロ・スナムシ・ヒラタ(ナデムシ)・オニチョロ、5月以降=ヒラタ(ナデムシ)・クロカワムシ(本流)、となる。
解禁直後のイクラと、合間の増水・渇水期に陸生昆虫やミミズ・ブドウムシを使用すれば、渓魚のための餌ローテーションが完成するという訳だ。川虫の入手が釣果のカギを握ると言っても過言ではないので、計画性を持って川虫を採集し、良い釣果へと繋げてみてほしい。
<荻野祐樹/TSURINEWSライター>

