渓流師であれば、普段何気なくエサとして使用しているのが「川虫」と呼ばれる水生昆虫だ。河川には実に多種多様なタイプの川虫が棲息しているが、そもそも我々渓流師は、彼らの生態をどの程度知っているものなのだろうか。そして、その生態を知る事が、果たして釣果に結びつくのか……。このような観点から、渓流エサ釣りで使用される川虫の生態を紹介したい。今回は前編とし、キンパク・ヒラタ・ピンチョロを知っていこう。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)
キンパクの生態
ではまず、代表種であるキンパクの生態をみていこう。
何の幼虫?
キンパクは小型の「カワゲラ」と呼ばれる昆虫/羽虫の幼虫の総称で、体長は1.5~2.5cm程度。実に多種多様な種が存在している。成虫は羽化後に摂食活動を行わず、交尾・産卵を行うと星になってしまう。非常に短命だ。
なぜ「キン」?
体色が黄色っぽいため、纏めてこのように呼ばれている。見た目はそっくりでもキン(金)色ではないものをギンパクと呼んでおり、こちらの食いはキンパクに比べてかなり落ちる印象だ。
初春のみ発生
キンパクは3月下旬~4月初旬頃、一斉に羽化を開始する。そのため、羽化時期である4月以降は急速に数を減らし、河川状況にもよるが4月下旬にはほぼ見られなくなる。こういった事情も相まって、キンパクは春先限定の特攻エサとなるのだ。
どこで採れる?
採集場所は、主に流れのある水質の良い川。水深よりも底の状態が重要で、砂礫やこぶし大の石が転がる、水通しが良い川底に生息している。採集方法は下流側に網を立て、上流側の石や砂利を蹴とばすようにすると網に入る事が多い。
こういった場所を狙う(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)ヒラタの生態
次に紹介するのはヒラタだが、渓流エサ釣りで使用される「ヒラタ」は主に二種類いる。詳しくみていこう。
何の幼虫?
カゲロウと呼ばれる多種多様なタイプが存在する昆虫/羽虫の幼虫の中でも、特に扁平な体を持つ種を纏めて「ヒラタカゲロウ(ヒラタ)」と呼んでいる。こちらもキンパク同様、交尾・産卵を行うと星になってしまう短命な生物だ。
サイズは大きくても2cm程度で、キンパクに比べると非常に柔らかくて脆い。高温に弱いので、エサ箱を定期的に冷やすなど、管理も少々気を使った方が良いだろう。
ヒラタは主に二種?
釣り人が呼ぶ「ヒラタ」は主に二種おり、それぞれ「オコシムシ」「ナデムシ」と呼ばれている。オコシムシの成虫は主にタニヒラタカゲロウと呼ばれる種で、大きめの石の裏等に隠れていてやや小ぶり。
ナデムシの成虫は主にエルモンヒラタカゲロウという種で、強い流れがぶつかる岩の表面にへばりついていて、オコシムシよりも一回り大きくなる。どちらも食い込み抜群で、最高のエサだ。
ほぼ年中採集可能
タニヒラタなどの「オコシムシ」は3月に羽化時期を迎えるが、エルモンヒラタなどの「ナデムシ」は4月~11月と羽化時期が長いため、場所によっては真夏でも採集できる。このことから、ヒラタは通年使用しても良いエサだと言えよう。
どこで採れる?
どちらも水通しが良い水質の良い川。流れがよく当たる場所で下流側に網を立てて、大きめの岩を起こすようにするとオコシムシが採れる。一方ナデムシは、川の流れが強烈に当たっている、表面がツルツルした岩を探すところから始まる。
こういう岩が狙い目(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)発見したら岩の裏側(下流側)から回り込むようにし、岩の下流側に網を立て、岩の表面をタオルやヘチマ等で優しく撫でると網に入る。著者は名手・井上聡氏が自身のYouTubeにて紹介していた車用ブラシを使用している。
ピンチョロの生態
前編の最後はピンチョロだ。詳しくみていこう。
何の幼虫?
ピンチョロはヒラタと同じくカゲロウの仲間で、特に「フタオカゲロウ」と呼ばれる種の幼虫。サイズは2cm程度で、ヒラタとは違い身体がヒョロっと細長く、外殻は案外しっかりしている印象だ。
なぜ「ピン」?
細長い体を使ってピンピンと身体を弾くように泳ぐため、その動きから「ピンチョロ」「ピンピン」等と呼ばれている。
採集時期は春
水温が低い解禁当初はほぼ見られないが、暖かくなってくる3月下旬月頃から徐々に増え始める。これは彼らの羽化時期が4月下旬~5月であることに起因する。1年に1回羽化する種の為、それ以降は小型の物が多くなり、網には入るもののほぼ使えない印象だ。
どこで採れる?
他の川虫とは少々毛色が異なり、川の淀みや水たまりなどに纏まって棲息している。そのため、植物が覆いかぶさっている淀みや、川の流れが寸断されている場所の落ち葉の中などを探ると纏まって採れる。とはいえ、いる場所とそうでない場所の差が激しいので注意が必要だ。
こういった場所が良い(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)時期に合った川虫をチョイス!
今回は前編という事で、解禁してすぐの頃から採集でき、かつ春先に効果がある川虫を3種紹介した。陸生昆虫がほぼ見られない3月~4月初旬に、渓魚が最も飽食しているであろう川虫を使用する事で、より警戒心を減らすことが出来るはずだ。
低水温の中で口を使ってもらうためにも、マッチ・ザ・ベイトを心がけ、より良い釣果を目指してみてほしい。
<荻野祐樹/TSURINEWSライター>

