様々な和の料理に欠かせない「青のり」。実はいま資源のピンチを迎えているようです。
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青のりの名産地がピンチに
四国を流れる「日本最後の清流」として知られる四万十川。実は「青のり」の名産地でもあります。
四万十川の河口には、青のりの一種である「スジアオノリ」と「ヒトエグサ」が繁茂し、古くから漁獲が行われてきました。清流のイメージが強い四万十川産の青のりはブランド力もあり、高値で取り扱われることも多いです。
四万十産青のり(提供:PhotoAC)しかしそんな「四万十川の青のり」がここ数年、深刻な不漁に見舞われています。とくにヒトエグサについては令和4年度以降漁獲がなく、養殖すらうまく行っていない状況だそうです。
デリケートな「青のり」
知らない人はいないほど有名な食材である青のりですが、その原料となる藻類「アオサ」は意外とデリケートな生き物です。特に高級青のりの原料となる前記の2種については「高すぎない塩分濃度」「適水温」「十分な日光」という条件を満たしているところでないとうまく生育できません。
四万十川の河口(提供:PhotoAC)四万十川は全国の河川の中でも水質が良く、きれいな水が一気に海に流れ出るという特徴があったため、その河口域はアオサの生育適地となってきました。しかし近年は四万十川の汚濁が進み、水に含まれる浮泥の量が増え、これがアオサの生育に大きな負の影響をもたらしていると言われています。
アオサの生産量では三重県が1位となっており、四万十川で採れなくなっても即座に市場価格が高騰するということはありません。ただし高級たこ焼き、お好み焼き店では「四万十川産青のり」にこだわるところも少なからずあり、そういうところでは変更を余儀なくされるでしょう。
四万十川流域では「最後の清流を守ろう」という運動も盛んであり、川に濁りをもたらさない農法や、水質浄化に大きな役割をもつ湿地帯の造成などが進められています。これにより本当の清流を「取り戻す」ことができれば、再びその河口にアオサが茂る日が来るかもしれません。
対策は「陸上養殖」?
一方、青のり漁師にとっては数年であっても待つのは厳しいことです。そこで近年、四万十川流域では青のりの「陸上養殖」が行われています。
陸上養殖では、地下から組み上げた海水を養殖プールに入れ、そこでアオサ類を育てます。地下海水を使うことで水温が一定に保たれ、また浮泥や汚染物質の影響をなくすことができるそうです。種苗は四万十川のものを用いており、天然物と同じ味わいになるよう試行錯誤が続けられています。
養殖アオサ(提供:PhotoAC)現在では年間数tのアオサが陸上養殖で生産されており、四万十産青のりとして販売もされているそうです。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>

