伊藤さとしのプライムフィッシング。その日その釣り場で最良の釣りを目指す。
1カ月をメドに釣り方、エサ紹介などを伊藤の実釣を交えて解説する第12回。今月のテーマは「グルテンを使ってみよう。」昨今は両ダンゴからいきなりウドンセットに切り替えてしまい、グルテンを触ったことがないなんて人も、いるとかいないとか。そこでグルテンの基本を、もう一度ここでおさらいしてみよう。今回は特徴などについて考える。
グルテンが下火?
昨今はグルテンを使わない人が増えていると聞く。なかには触ったこともないなどと言うツワモノもいるとか。
だが聞くと、そういう人でも所属会の順位は上位を占めている。つまりグルテンを使わずとも、他のエサで年間をまかなえてしまうからであろう。
伊藤はどうか?
「野釣りでは使うけど管理池では新ベラ放流があった時など、特殊なタイミングに限られるのが現状かな。」
それはつまりグルテンよりも、両ダンゴまたはウドンセットのほうが釣れるからですか?
「極論から言えばそうだよね。勝てる(釣果を出せる)釣りがあるならそっちを選ぶのが釣り人だろうし、負けると分かっているエサを使うのもナンセンスだし。」
なぜグルテンが売られているか
なのに釣具店ではいまだ豊富なラインナップでグルテンが売られているし、今春は新たなグルテンエサもマルキユーから発売予定ですよね。なぜでしょうか?
「関東にいると感じないかもしれないけど、野釣りがメインの地方の釣り場では、いまだグルテンの優位性があるからじゃないかな。ウドンセットなんて通用しない。ここは両グルテンだよ、みたいな釣り場が。」
なぜそうなるのでしょうか?
「魚影とジャミ、それと水深や底質とかいろいろな要素が絡んで、ここはグルテンのほうが強いとなるのかもね。関東でも冬はよくあるじゃない。ダンゴを打ってはダメ。やるなら両グルだよ、みたいな釣り場が。」
確かにありますね。でも、得てして冬場が多い。やはりそれはジャミとの関係でしょうか?
「そうだよね。それと魚の活性。高活性の時はバラけるエサに反応するでしょ。
ところがグルテンは両ダンゴほどバラけたりしない。夏にグルテンが効きづらいと言われるのは、そう言った面もあるんだよね。」
グルテンの長所
冬(低水温期)は活性が落ちるから、バラケ性が低く、待ち釣りができるグルテンの長所が生きてくる。そういうことでしょうか?
「そうだね。とくに野釣りではね。これが管理池だと話が違ってくる。でもたとえ管理池でも、底釣りとか釣り方を限定すれば、まだまだ両グルテンの釣りは、通用する機会があると思うよ。現に今日の実釣は両グルテンの底釣りでいい感じで釣れているからね。」
ちなみに竿を出したのは2月12日(火)釣り場は埼玉県加須市にある加須吉沼。
もみじ桟橋の入口付近南向きに座り、竿18尺両グルテンの底釣り。エサはグルテン四季、アルファ21が各25㏄に水が50㏄。強風で釣り続行が不可能になった11時までに14枚の良型を引き抜いた。周囲のセットの宙釣りと比べても引けをとらなかった。
「良型が食ってると聞いていたから、気難しいのかなとやる前は考えてたけど、フタを開けたら意外にもグルテンを食ってきてたよね。これがもしバラケを使った段差の底釣りとかでは、流れに負けてしまって釣りにならなかったかもしれないよ。」
つまり麸エサほどバラけないから、こぼれエサが流れていかない。流れるとそれを追いかけて、魚もハリに付いたエサから離れてしまう。そういう理屈ですよね?
「それもあるし、そもそも上下のハリが底に着いているから、流れづらいっていうメリットも少なからずあったんじゃないかな。」
グルテンを使う時には
そういうふうに考えてみると、まだまだグルテンが活躍する場は多そうですね?
「そうだよ。それに今後は各地で乗っ込みの釣りになるでしょ。そうなるとグルテンの出番はさらに増えるはずだから、今からしっかりグルテンを触っておきたいよね。」
でもグルテンを使うと手が荒れませんか?
「それは確かにある。油分を奪われてしまうからね。まあ釣りの最中はムリでも、家に帰ったら保湿クリームなどを塗って、手のメンテナンスも忘れないことだよね。」
エサボウルの掃除が面倒だって人もいますが?
「そういう人は100円ショップとかで売っている紙製のお皿を使えばいいんじゃないかな。つまり使い捨て。
あとはタオルにグルテンが付いてヤダって人には、これまた100円ショップで売っている圧縮タオルが便利だよ。使う前はとてもコンパクトなのに、水を含ませるとタオルの大きさまで広がるんだ。グルテンをよく使う時期は、紙製皿と一緒に私もよく使っているよ。」
ただし「ゴミはその場に捨てずに持ち帰るか、所定のゴミ箱に!」ですよね。
「そのとおり!」
次回も「グルテンを使ってみよう」です。
<週刊へらニュース 伊藤さとし/TSURINEWS編>
加須吉沼